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「原発はいりません」宣言


ほとんどの人が「原発はいらない」あるいは
「すぐには難しくても、なくしていくべき」

木の家ネットは反原発・脱原発を旗印に集まった団体ではありません。しかし、今回の原発事故をひとりひとりの依って立つところが問われる出来事と捉え、第11期を迎える直前の2011年9月末〜10月に「原発は要る?要らない?なぜ?」というアンケートを実施しました。

その結果を受けて10月8〜10日の第11期総会・宮城大会中の総会で討議し、木の家づくりと原発とが相容れないこと、また木の家づくりを通してめざす社会には、原発は「いらない」ことが確認されたので、このように「原発はいらない」宣言をするに至りました。

実施したアンケートの内容

  1. 原発事故前、あなたは原発をどう思っていましたか?
    [ 必要・ある程度容認・不要・考えはない ]
  2. 原発事故後の今、どう思いますか?
    [ 必要・ある程度容認・不要・考えはない ]
  3. その理由を教えてください。
  4. 原発事故を経て、暮らしの中で心がけていることを教えてください。
  5. 仕事を通して未来のためにしていることがあれば教えてください。
原発事故後、7割が「原発は不要」

回答数100のうち「原発は不要」との回答は、事故前には41人だったのが、事故後は68人と、大きく伸び、「原発は必要」との回答は、事故前に10人いたのが、1人に減りました。また、事故前は「特に考えはない」との回答が20人、全体の5分の1ほどありましたが、今では1人もいません。原発でつくられる電気を何も考えずに使うわけにはいかない時代に入ったことが、よく分かります。

事故後に「原発は不要」と意見を変えた人は、どう感じているのでしょうか?

  • チェルノブイリは対岸の火事に過ぎず、3.11以降の現状を実感をもって予測できなかった。しかし、もう、原子力発を単にエネルギーの問題として捉えたり、ほかの発電方法と天秤に載せて比較し、その有用性の是非を議論すること自体おかしい。ヒロシマ、ナガサキ、ビキニまでは被害者だったが、フクシマは加害者であると同時に多くの人々を被害者にしてしまった。国民的議論が必要。
  • 「火事の危険があるから、火を使うのをやめよう」なんて言わないように「放射能事故の危険性があるからといって原発を急いで止めなくても」と、今迄は思っていました。原発はスイッチひとつで、いつでも中止、廃止できるものとも。「そうではない」ことを、福島の事故で目の当たりにしました。今すべきことは、原発の基本的な問題点を多くの人に伝えること。まずは亭主から、次に、息子、友達、施主、職人さん等、出会う人ごとに。

「ある程度容認」と答えた人は、事故前で29人、事故後で31人。わずかに増えていますが、事故前と事故後では、答えている人が違っています。事故前に「ある程度容認」と答えた29人中の16人は「原発は不要」にシフトしており、事故前に「必要」と答えた人7人とあるいは「考えはない」と答えた人たち10人が「ある程度容認」に移行したとことになります。原発の何たるかを意識するほどの事故がなかったからこそ、関心を持たずに、あるいは漠然と「必要なんじゃないの?」と思っていられたのが、そういう訳にはもういかなくなった、ということです。

「ある程度容認」と答えた人も
本音は「原発は不要」の人がほとんど

「ある程度容認」という意見の理由欄を見ると、「本当は不要と言いたいところだが」という留保付き容認という意見がほとんどです。「安全性を確保して、停まっている原発も再稼働」というのが野田首相をはじめとする政府の見解ですが、そのような意見は見あたりません。「少しずつでも、すぐになくせなくても、やめるべき」という意見が並びます。

  • 今の日本の生活、経済を考えると段階的になくす方向がよいのではないだろうか。
  • 少しずつ分かる福島原発の情報を知れば知るほど、原発は無くしていかなければと考えるようになった。ただし、今とこれからの経済や生活を考えると、直ちに止めることはできない。原発を廃止、代替エネルギーの調達する工程を考えなければいけない。

力も大きければ、危険も大きい原発
そんな力は、いらない

  • 神の領域とでもいえるほど、人間の手におえないようなもの。事故を起こしたときにどう修復したらよいかも分からないものを運用すること自体が、無茶。
  • 人類が手をつけるべきでなかった技術。人類の滅亡が懸念される。

ご存知の通り、今の原子力発電は、核分裂により放出される熱エネルギーを利用した発電方法のことです。化石燃料を燃やして発電する方法と比べ、少ない燃料で大きな電力を生み出せるのですが、その副産物として、いのちにダメージを与える放射性物質をも必ず生み出してしまいます。大きな力は手を出したくなる魅力的なものです。しかし、手を出せば同時に、いのちの危険にもさらされるのです。「人類が手をつけるべきでない」「神の領域」という表現は、その利用価値と危険とが表裏一体であることを示しています。

1953年にアイゼンハワー米大統領が「核の平和利用」を表明すると、日本政府は早々に「資源が少ない我が国にぜひ導入したい」とこれを受け容れました。高度経済成長期、大阪で万博が開かれた頃には原発は「明るい未来の象徴」としなり、手塚治虫にそのような意図があったかどうかは別として、鉄腕アトムはそのプロパガンダ的な存在として国民の目に映りました。1966年には「東海発電所」が東海村で操業を始め、その後も「CO2を出さないクリーンなエネルギー」「日本の原発は安全」といったキャンペーンと並行しながら着々と原発の建設が進み、今ではこの地震大国の日本に、54基もの原発があります。

原発が「いのちにダメージを与える放射性物質をも、必ず生み出す」ことは、事故時でなく平常運転している時でもそうです。動いてさえいれば、どんどん生まれ続ける放射性廃棄物は、決して環境に漏れないように管理されなくてはなりません。この放射性廃棄物の危険性がなくなるには10万年以上もかかるというのです。そんなに長い期間、一体どこで、誰が管理し続けるというのでしょうか?

  • ウラン採掘から始まって、使用済み核燃料(高濃度も含む)の処分に至るまで、多くのリスクとデメリットがありすぎる。
  • 廃棄物の処理(半減期)に10万年もかかると知り、びっくり。10万年前といえば人間がまだ、ネアンデルタール人時代で、これからそのくらい先の時代までの保証を誰が負うのか。そんな先までの廃棄物を出すこと事体が間違っている。

1人だけ「原発は必要」という回答を書かれた方の意見にもそのように書かれていました。

  • 資源のない国においては、効率の良いエネルギー生産法だと思う。ただ、さらに運転時の安全性と再処理活用法の技術開発に期待する。

構造的な差別を前提にしなければ
原発は動かない。

原発の危険性は、原発推進派の人でもちゃんと認識しています。そう認識しているからこそ、原発の再稼働を謳う政府も「何重にも安全性を担保して」とを強調するし、万が一の時に及ぼす影響を大きくしないように、けっして人口密集地には原発を建ててきませんでした。

また、リスクと常に背中合わせの原発の運転には、施設内での点検・調整作業は、必ずつきまといます。小さな不調や事故も起きます。原発で働く人は、累計線量を管理されてはいますが、調子を悪くし、ガンや白血病で亡くなる方も少なくありません。

  • 都会で使う電気をまかなう原発は、人口の少ないところにしか建設されない。本当に安全なら、東京のど真ん中につくるべき。リスクを地方に負わせる差別の構造
  • 原発が安全に稼動していても、核のごみはたまり続け、被爆労働者無しでは安全を保てない。

そうした構造的な差別を前提にしなければ運転できないことを知って、原発でつくられた電気は使いたくないと感じるようになった人は少なくないはずです。

原発は核の潜在的抑止力だから
やめられないという本音

核エネルギーはその強大な力ゆえに、まず大量破壊兵器に利用されました。それが、1945年に広島と長崎に投下された原子力爆弾です。多くの人がその強大な破壊力で殺され、生き残った人も後々まで続く放射能の被害に苦しんでいます。被爆国でありながら、日本が原発を導入したのは「原子力の平和利用」という大義名分があってのことでした。しかし「平和利用」という建前とは裏腹に、非核三原則のために核兵器をもてない日本の防衛のためにこそ、原発の存在が欠かせないと考える人もいます。

日本に原発を導入する時に旗振り役をしてきた読売新聞は社説で「日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ。首相は感情的な『脱原発』ムードに流されず、原子力をめぐる世界情勢を冷静に分析して、エネルギー政策を推進すべきだ」と、はっきりと述べています。当時の経済産業相であった鉢呂氏が原子力政策について「基本的に原発はゼロになる」と述べた直後のことでした。元防衛大臣の石破茂自民党政調会長も「原発は核の潜在的抑止力」との発言をしています。「原発=核の平和利用」とはいっても、実は原発は核兵器と無縁ではいのです。

そのようにして、45年間、こうした構造的な矛盾やリスク、あるいは隠された軍事的な意図が人々の意識にさほど上らないまま、日本の原発は大きな事故を起こすこともなく、運転してきました。今回の事故までは。


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除染を報じる福島日報2012年1月15日。写真: jetalone