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火の用心(後編)


伝統構法の見直しについて、「火の用心」を2回の特集でお送りしています。前回は「燃えやすい木でつくる家は、火災の時に心配?」という疑問に対して、十分な太さ・厚みをもった木材を構造材に使う「燃えしろ設計」(火に遭って、炭化する部分を考慮に入れて建物の構造を考える設計)をきちんとすれば、木材の表層だけが炭化することで構造的な強度を保ち、火災による崩壊を防げることを知っていただきました。(詳しくはこちら)今回は、「日本の伝統構法に見る防火の技術」について、お送りします。

theme 3 伝統の家づくりに見る防火の知恵

■美しさと防火性能を兼ね備えた外壁って?

太平洋戦争中、米軍による空爆によって壊滅的なダメージを受けた日本。木の家の町並みがすっかり焼け野原になったことは、戦後まもないころの人たちにとってぬぐい去れない記憶となり、都市防災の観点から「家屋は燃えない、燃えにくい材料で造るべき」という「木造不要論」なる考えまで出てきました。

といっても、ずっと木で家をつくってきた日本人が、急に煉瓦や石で住宅をつくるようにはなるわけはなく、家は木でつくりながら、延焼を受けやすい外壁や軒裏は防火被覆し、屋根は燃えにくい材料で葺くという方法で家づくりを考えるようになりました。そこで登場したのが、いまもっとも一般的になった「モルタル住宅」と、より時代が新しくなって登場した「サイディング住宅」です。

モルタルとは、セメント・水・砂を混ぜて練り合わせたものです。木でつくった家のまわりに防水紙、ラス網を張り、その上から左官屋さんがモルタルを塗っていきます。その上から吹き付け塗装をする、あるいはモルタルそのものに色をいれて、あとから表面を掻き落とすなど塗り方は多様で、仕上がりはさまざまです。

サイディングとは、金属板や石綿セメント板を成型した外装材のことで、これを外壁に張ります。その表面は、素材そのままではなく、石調、タイル調、木調など、別の材料「のように見える」表面加工が施されています。

あなたの家の近くを歩いてみてください。そして、住宅の外壁がなにでできているか、数え上げてみてください。木や土といった素材そのものの力が表にあらわれている家がどれほどありますか?隣近所の家並は調和しあっていますか??・・・モルタルや○○調のサイディング貼りの家がごちゃごちゃと並んではいませんか??あなたの好きな町並み、美しいと思える町並みを思い浮かべてみてください。それはどんな町並みですか?

「燃えにくい町にするためには、モルタルかサイディングしかない」ということではないはずです。日本にも、構造は木でつくりながら、外壁を土や漆喰で塗り上げた防火に対する技術を生かした建築がありました。その代表格が、城郭であり、一般の住宅にも「土蔵造り」「塗り家造り」といった左官の技術として伝わって、日本の各地に美しい家並、町並として今なお残って、その地域の大切な資産として受け継がれています。木や土といった自然素材そのものの美しさや、周囲の環境との調和にも気を配るこれからの家づくりのために、伝統の技術の中に生きるすばらしい知恵を、見てみましょう!

introduction

■防火と地域指定の関係

建築基準法や消防法では、家をつくるにあたってどのぐらいの火災への備えをしたらよいかということを定めています。といっても、家が密集しているところ、疎らなところなど、立地条件はいろいろです。そこで、都市計画法によって各市町村では、防災上重要な地域や火災が発生したときに大きな被害が予想される地域を「防火地域」、木造建築物が密集ししていて道路が狭く、火が燃え広がりやすい地域を「準防火地域」、郊外の住宅地を「22条地域」と指定し、それぞれの地域で、建てることのできる家を制限しています。

たとえば、鉄筋コンクリート造の建物は「耐火構造建築物」、柱や壁を不燃材料で被った鉄骨造や、柱や壁、軒裏を石膏ボードなどで覆って一定時間以上の火災に耐えられるようにした木造は「準耐火構造建築物」、外壁にモルタルなどを塗った木造建築物は「防火構造建築物」など、となります。ちなみに「防火構造建築物」の中には、次ページにあげる土蔵造り、土塗り真壁造り、漆喰塗りといった、伝統的な要素も含まれています。

東京都では、「防火」「準防火」以外に、独自に「新たな防火規制」条例を制定しました。施行は、平成16年10月頃の予定だそうです。

防火地域指定の概念図


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