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事務所をこの一軒家に移し、実際に自分で汗を流し、暑い夏をしのぐための工夫をあれこれしてみて、実際にここを訪れてくれる建て主さんと「五感を活かして住まう」なんていう話を、しやすくなったように思います。実感もこめてね。それを実現するのが、日本の気候風土にあった、木と土壁の家なのではないでしょうか? 一年中快適室温にするために、家をわざわざビニールで包んで、いらない換気扇をまわす。そんなにエネルギーを使わなくても、もっと着心地のいい家がある。季節に合った暮らし方、住まい方を含めて、家なんだ。そんなことを理解してくれる人が増えました。どんな家に住みたいですか? と建て主さんの要望を訊いて、実際に建てる家にそれを実現していくのがぼくの仕事です。でも、最初のうちは「何畳の部屋が欲しい」とか「台所はこうしたい」という表面的な希望しかあでてこない。それに対して「こういうことができたら、さらにいいよね」という提案を出していくのが仕事だ、と思っています。生活のスタイル、生き方まで含めた提案をしながら「建てたい家はこれだ!」と最終的に思ってもらう。「望ましいように思えても、自分の生活とは合っていない」モデルルームのような提案ではなく、こうありたい生活と家とをつなぐ。そのための応答には時間をかけます。建て主さんとの会話から、納得できる家をいっしょにつくっていくのです。ぼくができるのは、そのためのアドバイスだったり、技術面での協力だったりするのです。 あくまでも建て主さんがつくる家のね。 |
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建て主さんの要望を、しっかりした木の骨組みに起こしていく。それが技術者としてのぼくの仕事です。木拾いや材木の発注も自分ですることが多い。材料まで把握することで、見えてくるものがある。気も引き締まります。伏図や骨組み模型もつくり、継手のイメージも書き込んで、現場の棟梁にぶつけます。そうすると、現場で話し合いが生まれます。ここはもっとこうした方がいい、なんていうもうひとつ上の提案が出てくる時はうれしいですね。 |
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| 「図面が細かい」と言われることがあります。図面は、現場でベストな解決を導き出すための媒体だから、こちらの意図をしっかり書くのです。特に骨組みは、自分が納得できるところまで、よく書き込んでいきます。書いた図面を板図がわりに大工さんがベニヤに貼って使ってくれるのを見ると嬉しくなります。これなら使えると思ってくれていると思うからです。「図面どおりにやって」とは言いません。ぼくの意図を、実際に材料に触れてつくる職人さんに伝え、この図面以上の答えを出してもらうためのたたき台だと思っています。図面を見て、大工さんが「ここはもっとこういうことをやりたい」と思ってもらえたら万々歳です。 板図:材の刻みに先立って、大工が1/50程度の縮尺で平面図や伏図の部材情報を板に書いたもの。 |
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