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なにがいったいふつうの家なんだろう、って考える。今の家って、莫大な借金を背負って建てたかと思うと、30年ローンが終わったのと同時に建て替えなきゃいけない。古くなって味が出るなんてことはなくて、ただただぼろくなちゃって、住む気にならない家。自分が死ぬ前に壊さざるを得ない家。どんなに今それが普通だってったって、それって、おかしいんじゃないかな? なんで、家がもたないのか。今の新建材の家は、見た目きれいだし、新しいうちはいいかもしれないけど、その後の使い回しや転用がきかないんだよね。だから、ダメになれば即、ゴミ。再利用できない。それで経済がまわるっていうことなんだろうけど、環境的には罪をつくりだよね。 木を組んでつくる昔の民家だったら、直しながらずっと住んでいける。解体して、また別の家を建てることだってできる。昔のふつうの人が住んできた民家が実際そうなんだから。古民家工房でつくりたい家って、そういうあたりまえの家なんだ。 ところが、今の世の中は、あたりまえにまともなことやろうとすると、障害がありすぎる。ちゃんとしたものを手に入れようとすると、途中でつながってない、しりきれとんぼ。技術を伝承していくわっかも途切れていて、先を聞こうにも、それを知っている人に出会うのもなかなかむずかしい。 だからといって、自分の選んだ道は決まっている。だから、教わることができるものからはめいっぱい吸収しながら、自分で考えたり、勘をはたらかせたりしてやってくしかないね。自分がやっていることがすべて合っているとは限らない。まちがっているところもあるだろう。最終的には、後の世代に建てた家がどう残っていくかどうかで、証されるんだろうな。 |
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クルマが好きでね。ランドローバーのディフェンダーに乗ってる。そのクルマのどこがいいって、50年も前から型が変わってないんだよ。どっか壊れても、パーツを取り替えて乗り続けることができる。日本にも、50年前につくられたこれと同じ型のクルマに乗っている人が3人いるっていうよ。そういうのっていいよな。 今じゃ、クルマは1、2年たてば、まだ乗れるのに買い換えるのがあたりまえ。電化製品だってそうでしょ? 修理しようとすると「新しく買った方が安い」って。長く使い続けていった方がいい「生活の道具」が、経済をまわすための「商品」になっちゃってる。基本仕様にいろいろよさそうなオプションをくっつけていって「はい何万円」って心をくすぐってね。 でもそういうオプションって、ほんとにそれがなきゃダメなのかっていうと、そうでもないんだ。「あった方が便利かな」でくっつけていて、結果的に、膨れあがってることが多い。長くもたない家なのに、高くなる上に、将来には莫大なゴミになるものを増やしている。なんか、どこかおかしなことになってると思うよ。 メンテナンスしながら、住み続けることのできる家、乗り続けることのできるクルマ。ちょっと前までは、それがすごいことでもなくて、あたりまえのことだった。ばあちゃんの時代まではあった「もったいない文化」。ここいらで復活してもいいんじゃないの? |
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「もったいない」という感覚で、メンテナンスをしてやれば長く使える、輪廻転生できる家をつくるには、新建材を使わない、木の家がいい。それも、木を使ってる、っていうだけでなく、がっちり組んでありながら、またほぐすこともできる木組みの家がいい。ものごとの道理を、順を追って考えていけば、そうなる。 そして、木組みの家づくりでは「木のクセに逆らうな」っていうのが鉄則。寺社建築で見習いしてた時にいろいろ教わったし、現場でも「木の自然に逆らうとこうなるんだな」って、見て覚えたこともたくさんある。だからプレカットはよくないんじゃないかな、と思ってる。機械は木のクセまでは見られないからね。ちゃんとした家が建つ材料はなかなか刻めないよ。 古民家で、木のクセをそのまんまに使ってる梁ってよくあるじゃない? 製材されてしまうと分からないその木の個性が、そのままに使われてるっていうのは、おもしろいね。材も、買ってくるんじゃなくて、山に入って立っているその木を見て、どう使うか決める、っていうのが本来だと思うよ。 |
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| だから、いい製材屋とやっていきたい。大工が材料を見て、手で刻むにしても、その前の材になるまでの段階で、きちんと木を見て挽いてるかどうかで、決まるからね。たとえば、材には、あとから乾燥して変な風に割れないようにあらかじめ「背割り」を入れる。それを、木そのものの表・裏でなく、木目がきれいな方、節のない方を表に出すために「腹割り」にしてるところもある。それでは、家の材としては使えないんだ。 |
| そのあたりを、きちんとした仕事をしてくれる材木屋さんとの出会いに恵まれた。天竜の石川木材さん。山主さんがやってる製材所で、木への思いもあるし、木のことちゃんと分かってる。いい材を挽いてくれるんで、ずっとつき合っていけると思ってる。あそこで挽いた材、昔の大工に見せてみたいな。「あたりまえだな」って言われるかな。 |
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