【終了しました】7/5 山梨県北杜市で「なるほど!地域の家造り!!」勉強会
次世代に自然環境豊かな美しい大地を残す為に、地域材・職人を活かして200年先までも文化として残こす事のできる家造りを考える全6回の「垣根のない勉強会」を行います。
地域住民・行政・建築者といった垣根を越えて、歴史・山の現状・木の性質・職人の技・これからの暮らし、という流れで、住まいを中心にした話し合いをもとに、美しい大地を残す手立てをともに考えていきます。
その第1回を、7/5(土)に行います!
次世代に自然環境豊かな美しい大地を残す為に、地域材・職人を活かして200年先までも文化として残こす事のできる家造りを考える全6回の「垣根のない勉強会」を行います。
地域住民・行政・建築者といった垣根を越えて、歴史・山の現状・木の性質・職人の技・これからの暮らし、という流れで、住まいを中心にした話し合いをもとに、美しい大地を残す手立てをともに考えていきます。
その第1回を、7/5(土)に行います!
工程と素材の美しさ
1991年から1994年まで4年間、東京から約50回通い続けた愛媛県北条市のKさん家づくりから私の土壁体験が始まります。1964年の東京オリンピックから始まる高度経済成長は、都市部での大量の住まいを要求に答えるべく、安く早く大量にできる建材を主体とした乾式工法が住宅産業の中心的な工法にすえ、関東地方では竹小舞や荒壁を着ける左官工事がほとんど消えました。構造用合板下地に防水紙とラス網を張り、軽量モルタルを塗ってから漆喰塗りが一般的な左官技法と考えていた私にとって、「家は竹小舞を掻いて泥壁をつけるものだ」と、土壁仕事が当たり前の状態で残っていた愛媛県は実に新鮮な経験でした。小舞を掻くのを仕事としている「えつり屋」さんが竹小舞を掻き、泥は今治市の方から粘土に藁スサを混ぜてミキサー車で現場まで運んでくれ、数人の左官職が荒壁を付けるなど、作業は分業化して仕事として成り立っていました。現在でも名古屋から西の地域では、まだまだ竹小舞土壁の家造りが普通に行われています。
竹小舞が終了した段階での家は、このまましばらく保存したいと願うほど気持ちがよく、美しいものでした。竹小舞を抜けた日の光が落とす格子状の壁、竹小舞を抜ける風の気持ちよさなど、工事途中での一工程がこんなに人を喜ばせる力があるものなのかと、声に出したいほど嬉しい経験でした。荒壁の工程は高度の左官技量を競うものではありません。しかし、「今日、生きててよかったね」という小さな幸せが、廻りのひとに伝わっていくように感じております。
以来、建て主の家族には、仕事を休んででも消えてしまう竹小舞の状態を体感してもらうことを続けております。岩手県二戸市のY邸では、竹ではなく葦で小舞が掻かれておりましたが、同様に美しさを感じました。隠れてしまう建築工程が審美的に評価されることは今の時代の家づくりにはまれなことですが、土壁の竹小舞の状態には確かにじっくり体験して味わう価値があります。瓦下地のトントン葺きも同様です。一瞬立ち止まって記憶する経験は、きっと後から思い出になってくれるでしょう。竹小舞土壁の家づくりは、急がず比べない家づくり、つまり自分の家とじっくりと取り組む生き方にはぴったりあっています。
建て主参加の家づくりの原点
岩手県二戸市Yさんの家は、土壁下地の材料が竹ではなく葦でしたが、なんと冬の間に延床60坪の家の壁という壁全部(外壁も中間仕切り壁も全て)の下地を主人一人で掻き上げていました。雪が解けて春になり、庭で水あわせを行う作業は特性の畦の中で解かせた粘土を、木の枝で編んだ簾に通して石などの塊を取り除くという作業でした。これも家族の仕事です。荒壁付け当日は、10人を越える近隣の人たちが手伝いに参加してくれました。才採り棒に取り上げた粘土を、へっぴり腰で鏝を持つ塗りつけ担当へ配る姿が、ほほえましく見えたものでした。素人の仕事なので平らには塗られていません。ただ一人の左官の親方が土素人集団が着けた荒壁を追いかけながら均していくのです。プロが指導すれば、素人集団でも家はできる。わかってはいましたが、目の前で繰り広げられている現実には驚きました。手伝いの方々へのねぎらいに用意されたご馳走と酒の山を横目で見ながら、現代に残る結いの感動を胸に仕舞って現場を後にしました。
専門家に以来する場合、小舞の掻き方には手間に応じて幾つかの方法があります。竹や縄にも種類があり、材料費は違います。荒壁にもドロコン屋さん直から、藁スサを足してさらに水合わせを行い時間を掛けるなどの手間の掛け方に違いがあります。ただ、材料2割手間8割の手仕事の左官工事では、高度の技術をそれほど要求しない荒壁塗り工程に、建て主参加の可能性が残っています。丁寧な仕事を求めたければ、じっくりと時間を掛けれて注意深く仕事を続ければ、あるレベルまでは素人でも達成できるのが荒壁塗りなのです。以前、東京の古老の左官職から、中塗りからが本職の出番という話を聞いたことがあります。手仕事が好きで器用なひとなら、竹小舞掻きは考えるほど難しくはありません。荒壁付けは体力が要りますが、休み休み行えばいつか終わります。忙しい現代ですが、週休二日が一般的であれば、工程の一部に参加する程度は誰でもできるはずです。これまで、20年数年土壁の家づくりを続けてきましたが、程度の差はあれ、自分の家の壁を家族でつくる体験をしてもらっています。お金で買ったものなら飽きたら捨ててしまっても、自分達の家族で作り上げた家は大切に扱ってもらえると信じています。
産地を特定できる信頼できる素材
愛媛県ばかりではありませんが、静岡県から西の地方では壁と材料となる粘土の色が黄色・山吹色・朱色など鮮やかであり、荒壁や中塗り仕舞いの蔵や住宅の外壁が山の緑や田んぼに映えて、とても魅力的な景観を形作っています。粘土は重いので、家のそばで採れるものを壁に塗ることがどこでも当たり前に続けてきた訳です。当然の結果として、荒壁や中塗りの壁の色が黄色であれば、近くの土も同じような色をしています。関東地方では、荒壁の粘土に荒木田土を使うのが一般的であり、青灰色の壁自体は仕上げには最適とはいえませんが、西の地方で見かける荒壁土はそれ自体が十分仕上げとして魅力を持つ色合いをしています。地場の粘土で仕上げた建物が作り出す風景は、紛れもなくローカルカラーといっていいものです。愛媛県北条市の現場に頻繁に通い続けた理由も、建材としては売っていない地場の色土の再生と利用が目的でした。がけに上り粘土魁を収集して砕いて粉にし、篩にかけて粘土粉の粒子をそろえ、のり按配・スサ按配の確認のために数十枚の塗り見本をつくり、数ヶ月の暴露試験をしてから、物になる調合の色土を外壁と内壁に塗ったものでした。建材として流通していない以上、こうやって自分達で元素材から始めるしかないのですが、この手順を踏めば足元の粘土が壁になるという貴重な経験となりました。
産地偽装・性能偽装・ラベルの張替えなど、人をだますことが普通の世の中のできごとにぞっとしますが、左官の仕上げ素材も調合や成分が明らかでなっている材料ばかりではなありません。こんな時代、どうすれば信頼できる素材で家ができるのでしょうか。決め手はありませんが、素材の造り手に聞くのは確かなやり方の一つです。設計士として自分の扱う素材のほとんどはその製造現場まで行って原素材と製造工程とを確認してきました。土壁の材料も粘土層を採掘している山まで見ることができます。東京で荒壁付けを行う場合、自分達の使う荒壁土は、埼玉県児玉の瓦工場から分けたもらうことが多いのですが、最近では建材屋でも荒壁土を置いている店があり、産地も教えてもらえます。中塗り土や仕上げ土は、愛知県豊田市で色土の製造を続けいる業者のものでです。仕上げの土佐漆喰は、高知県の田中石灰の練り漆喰を利用しています。おそらく、色土も石灰も藁スサも、土壁の素材は小規模生産を続ける専門店がなんとかやっているのが実際です。ただ、つくる素材にはしっかりとした自信がもって続けていることが、話を聞いてみて同じく感じる業界です。まだまだ、信じられる世界が土壁の世界には残っています。
木組みの家には馴染みやすい
循環型社会実現が国際的な共通命題になって久しい現在、持続可能な森林から算出された木材をより沢山使用することが建築物の環境負荷低減性につながると評されています。これ自体はその通りで、当たり前なことなのですが、問題は木の使い方にあると思います。自然素材の木材はどんなにしっかりと管理していてもバラツキがあり、だから一本一本の材木の特性を見極めながら丁寧に使うのが活かした使い方につながるはずです。ただ大量に使うのであれば、一本一本の木材の欠点を取り除いた集製材やベニヤにして使うのが手っ取り早いやり方でしょう。プレカット工場に以来しての構造材の墨掛け刻み加工が、90%を超えて久しいと聞いておりますが、手刻み加工のコストと比較して機械工場加工を選択した結果、自分の仕事をなくし、自分の経験を活かす場も若手の育成機会も消滅して、心中穏やかではない大工さんも少なくないと察します。ムクの木が売れずに困っている原木市場ではとことん安根で買い叩かれ、製材所では仕入れ原木を早く換金するために人工乾燥を行い、6寸角が挽ける中目材から相変わらず4寸角を引挽き続けています。プレカット工場にしても、新規の高性能機械を導入できる体力のある工場のみが勝ち残る厳しい競争の業界のようです。頻繁に山まで出かけていかなくても、林業家・製材所・大工など、木の家づくりを取り巻く関係者全体が消耗し自信をなくしている様相が見えてきます。
もう、どれだけ大量に早くできるかを競うこと、初期の建築コストの安さを競うこと、ハウスーメーカーのスタイルを後追いする競争など、一切やめて自分の地域で地縁的な家にもどりませんか。プレカット工場に一任するのをやめて、再び自分達だけで刻み・建て方・造作の一切をする本来の大工業にもどりませんか。木の特性に合わせた伝統的な家づくりは、林業家の育てた木の個性を活かし、自然乾燥にこだわる製材所を潤し、大工に自信と誇りを取り戻すはずです。大量にはできないのですから、大もうけとは縁のない生活になります。しかし、地域での信頼と自らの自信は取り戻せるでしょう。伝統な木組の家には通し貫と土壁が似合います。竹や縄も木と同じ自然素材だし、粘土の藁スサも木も同じく再び土にもどります。ゴミとして捨てる材料はほとんどありません。こんな家づくりの現場では職人衆も元気で、和やか空気に包まれています。鳶も大工も左官も瓦屋も板金屋も単なる組み立て工ではなく、それぞれの関連を熟知した上での連携プレーで一軒の家全体に関わります。材木を扱う大工衆は職方の中心ですが、土壁は家の構造と仕上げの両方に関わるので工程の中心を担っていると思います。
・性能が研究により数値化されてきた
グローバル化の時代、民族言語の違いに関係なく互いに理解できる評価軸を設定していこうという考えが建築にも影響しています。環境評価面ではCASBEEの各項目で仕様がランク付けされ、計画内容と結果が見える数値となって評価されようとしています。省エネも構造強度もある基準を一度設定してみて、数値を出して比較してみるのは確かにわかりやすい良さがあり、具体的な行動につながり易くなる効果があります。土壁の耐力壁としての強度や、架構体の中における役割などが現在も続けられてる一連の実験の結果、土壁の特性がだいぶ明らかになりつつあります。地場の竹や藁や粘土を使ってどこでも作られてきた土壁ですが、竹小舞掻き・荒壁土水あわせ・荒壁塗り表塗り裏返し塗りなど、一連の作業を丁寧に行った壁は塗り厚が厚いほど強く、ねばりがあることが理解されてきました。手に入り易く施工も簡単な土壁は、地震の度に古い家の倒壊した様子が放映されますが、注意深く作られたものは心配が要らないということです。強度的には、まだまだ解らないことが多い土壁ですが、今後も続く研究に期待したいと考えます。
強度の評価よりずっと前から研究が続けられてきたのは、土壁のもつ調湿調温機能です。極端な温度差を嫌う味噌やしょうゆ・酒など醸造小屋はなぜ土壁なのか、漆塗りの作業小屋はなぜ土蔵なのかという疑問から発した研究です。土壁の家の内部は、夏冬の外部の一日の温度変化に対して変化がとても緩やかになります。私自身も、1994年の夏冬、川越市の土蔵と、東京都練馬区の塗り屋の室外に自動温度湿度計測器をすえて記録をとったことがあります。6月のちょうど今頃、外部の湿度が80%~100%の間で変化していたのに対して、室内は70%で一日変化なしという結果でした。もちろん、窓の開放度などにも影響されますが、土壁には確かに湿度を一定に保つ効果があることはわかりました。では、温度はどうでしようか。こちらも外部の変化に比べれば一日の変化は穏やかに変化します。外気温の影響はあり、夏と冬では6度から27度程度の範囲で変化していました。
土壁の室内がからっとしていて過ごしやすいというのは本当です。省エネ関連の断熱材の性能競争が激しくなっていますが、中外真壁の家は断熱材を入れる隙間がないため、温熱環境の評価は高くはありません。ただ、一度温まると冷えにくいのが土壁です。私の経験では、真冬-15度になる安曇野の常念岳ふもと、2階が中外真壁のSさんの家が、薪ストーブ一一台で冬を乗り越えられたのは土壁の蓄熱性能だと家の人から聞いたことがあります。CASBEEでの温熱環境・室温設定では、冬期22度、夏期26度の室温を実現する設備容量を確保するのがレベル3の評価ですが、夏に関しては湿度が低くなるのでエアコンなしでも土壁の家ならある程度過ごすことができます。
木造町屋と土壁の可能性
戦後一貫して燃える木造住宅は都市づくりの嫌われ役であり、どうしたら都市の不燃化を進められるかに都市計画の注意は払われてきました。しかし、燃えない家造りは、モルタル樹脂系吹き付けタイルか不燃サイディング張りの家が中心となる町並みが広がることにつながり、景観的には時間が経つほど味わいなく薄汚れた町並みが残りました。景観的な評価と都市の不燃化を整合させるにはどうしたらいいのか。京都市内の木造町屋保存の可能性を探る意味合いで始まったとお聞きする土壁の耐火性能実験は、この点で都市部での木造住宅の作り方をかなり広げてくれました。土壁下地であれば、外部に羽目板張りが可能となり、軒裏には野地板の厚みが30㎜以上あり軒桁に45厚の面戸で垂木の間を塞いで火の進入を防げば、軒裏に木を現す仕様が可能となりました。粘土には内部に水が含まれているため外部から火で熱を加えても、粘土の水分がなくなるまで室内側の温度が上昇しないという優れた特性があります。加えて木が燃える速度は1分間に0.6ミリ程度なので、土壁+外部羽目板の組み合わせは防火性能としては高く評価していいのです。景観的にも、柱や梁を現した真壁の家には独特の美しさがあります。
性能が数値化されてより高い品質確保に向けての同じような動きが始まったとしても、一方で、自分らしさ、地域らしさ、国の誇れる景観などはより強く求められるものです。この国の建築材料として長く親しまれてきたのは木と土と紙ですが、土の燃えにくさの特性が新たな街づくりに可能性を広げてくれそうです。東京の都心部での建て買え工事にあたり、30~40年間街並の一部として眺められてきたモルタルの家が、ムクの木と漆喰塗りの家に代わって現れた後、道路を行き来するひとが一息ついて眺めていきます。もちろん住み手の家族には自慢できることでが、嬉しいのは一度は忘れられた土壁漆喰塗りの木の家に関心がある人が少なくなく、同じ地域での新たに仕事につながっていくことが多いことです。木造真壁の家が町並としてつながっていくことはないとしても、地域にほっとするようなスポットが生まれたことを歓迎する人は多いようです。木造町屋の再生に土壁がますます力となってくれそうです。
コストと工期の壁を乗り越える工夫
木の家や土壁は工費が高くて難しいとか、工期が長すぎて現代には合わないなどとの意見をよく耳にします。土壁の家づくりばかりが続いている設計事務所としては、そういう意見もあるのかと思うしかありませんが、よくもまあ3~4人の小さな事務所が24年間に役100棟近くもの家づくりを経験できたのは、土壁にこだわってて仕事を続けてきたからだと思います。事務所を始めて以来ずっと分離発注建て主直営というスタイルで続けてきましたので、材木は製材所で買い、大工さんには大工手間を払って加工・組み立てを頼み、土壁は当然左官屋さんに直接依頼することになります。設計監理と工事管理を同時に引き受ける作業は責任が重く、長時間のきつい作業の連続ですが、駆け引きなしの現場は精神的なストレスが少ないものです。担当の左官屋さんができるといえばできる、という簡単明瞭な関係です。もちろん、工事の始まる前には、荒壁工事・外部漆喰塗り工事・内部中塗り土仕上げ工事・玄関土間三和土工事・など各項目ごとに数量を拾い、左官屋さんと工事単価を打ち合わせて見積もりを集計し、建て主の要望通リに進めた結果の見積もり原価の現実を見てもらいます。たいてい、当初の予算よりオーバーしているので、どこを優先するかを決めて工事費の調整に入ります。荒壁は必ず付けます。外壁も塗ります。残るのは内部の壁仕上げですが、もともと左官の世界では「お金がたまったら又仕事に掛かりましょう」というのが普通だったので、無理せず荒壁ままでやめておくこともあります。時には、「素性のわからない材料でむりやり仕上げるくらいだったら、荒壁の家で菰(こも)被って寝るからいい」、というこちらに気合を入れてせまる筋金入りの建て主もいます。設計士も、簡単には妥協変更しないタフな精神の人間になります。
家一軒の荒壁工事費は、地域差があって一律には答えられません。人件費も材料費も高い東京での経験では、延べ床面積が30坪程度の家の荒壁工事費は、外壁廻りのみ荒壁付けとしておよそ80~100万円程度です。荒壁土水合わせに2人工、竹小舞掻きに10人工、荒壁表塗りに10人工、裏返し塗りに5人工程度は掛かりるので、材料費や運搬経費を加えれば妥当な金額でしょう。壁の隙間をなくすためにチリ廻り塗りや、耐力壁の構造強度を増す目的で施す中塗りは別計算です。これで、構造材であり、仕上げにもなる家の外壁の下地が出来上がるのですから、価値はあります。
時間があって器用な人なら、自分達で小舞掻きの作業や荒壁付けを一部行うこともできるでしょう。その場合、プロは他人の行った下地には続けて仕事をしないというルールは守った方が無難です。羽目板張りなど、仕上げ塗りを続行しないことが明らかな土壁のみセルフビルドとすれば、確かにコスト削減につながります。いずれにしても、建築の初期コストのみで判断するのではなく、この家に住み継ぐ世代にとって、価値のあるものをどれだけ残せるかを考えて優先順位を決めるとが大事だと思います。
建築基準法の改正等に対して実務者の意見を伝えていこうという動きの中で、伝統構法の大きな要素である土塗り壁に対して、地域性の視点が不足していること、また告示1100号にあってもその改善点が指摘できることなどが見えてきました。そこで、土塗り壁の再評価に向けて実務者からの提案を行なうにあたって、その実態調査のアンケートを行ないました。
1.概要
1-1) お答えいただく土壁は次のどれですか?
普段、施工している土壁 25
古い民家の解体や保存現場で見た昔の土壁 4
1-3) 場所
埼玉県 3
東京都 2
福井県 1
岐阜県 1
静岡県 1
愛知県 3
三重県 4
滋賀県 2
大阪府 1
奈良県 1
岡山県 2
山口県 1
福岡県 1
佐賀県 1
長崎県 1
熊本県 2
宮崎県 1
1-4) 施工時期
普段施工している 22
その他 4
1-5) 半間の寸法
910ミリ 21
940ミリ 1
955ミリ 4
985ミリ 6
1-6) 貫の寸法
30ミリ×105ミリ 1
30ミリ×120ミリ 3
27ミリ×105ミリ 3
27ミリ×120ミリ 6
27ミリ×145ミリ 1
24ミリ×120ミリ 2
22ミリ×91ミリ 1
22ミリ×120ミリ 1
21ミリ×105ミリ 2
18ミリ×100ミリ 1
18ミリ×105ミリ 2
18ミリ×120ミリ 1
15ミリ×150ミリ 1
15ミリ×105ミリ 2
15ミリ×75ミリ 1
京都はやや瀟酒、田園、農村型
いなか
1-7) 小舞の種類
竹小舞 27
木小舞 0
2.竹小舞
2-1) 間渡し竹
柱に穴がを彫ってあって、そこに竹をとがらして、さす。
告示問題点 釘??
横にかかってるのが
丸竹 13
割竹 18
篠竹 1
2-2) 間渡しの位置
貫の上下少し離れた所 10
貫と貫のまんなか位 11
2-3) 小舞竹にはどういう竹を使いますか?
かかってない
丸竹 2
割竹 25
篠竹 1
2-4) 丸竹小舞の場合、その寸法
・あるもの。10ミリくらいから30ミリくらいまで臨機応変につかう
・30ミリ
・15ミリから10ミリ
・30mm~45mm程度
2-5) 割竹小舞の場合、その寸法
・20ミリ 2
・20~25ミリ 5
・25ミリくらい 6
・25ミリ~30ミリ 2
・20ミリ~30ミリ 5
・30ミリくらい 3
・33ミリくらい 1
2-6) 竹小舞の縦横の空き寸法(穴の大きさ)はどれくらいですか?
・20ミリ×20ミリ 2
・20ミリ(縦)×30ミリ(横) 1
・20~30ミリ×20~30ミリ 2
・25ミリ(縦)×30ミリ(横) 2
・25ミリ×25ミリ 1
・30ミリ×30ミリくらい 1
・30ミリ(縦)×45ミリ(横) 1
・35ミリ×35ミリ 4
・35~40ミリ×35~40ミリ 1
・46ミリ×46ミリ以上 1
・30~50ミリ×30~50ミリ 1
・30~40ミリ×30~40ミリ 2
・40ミリ×40ミリ 2
・45ミリ×45ミリ 2
・50ミリ×50ミリ 1
・50ミリ~60ミリ×50ミリ~60ミリ 1
・60ミリ×60ミリ 1
・65ミリ~70ミリ×65ミリ~70ミリ 1
・90ミリ×90ミリ 1
《 追記 》
2-5)と2-6)を照合し小舞のピッチを割り出したところ、以下のようになった。(有効回答数25)
・45ミリ以下(告示仕様) 0
・45以上60未満 9
・60以上70未満 10
・70以上90未満 4
・90以上 2
* なお、このうち横長長方形の組み方をするのは2例
2-7) その空き寸法を決める根拠は何ですか?
・指の太さ
・柱、貫との相対性
・作業ができることと、土のコンディション
・エツリやさん次第
・作業性と小舞への土のめり込み
・編み安く、土も裏表良くつく
・施工できる範囲
・指2本が通る幅
・指2本入るくらいの隙間
・指が入る程度
・土が裏側へ出るのにちょうど良い大きさにする。
・小舞を掻きやすい、施工性
・竹の大きさと同等
・今までの慣習です
・人差し指が入る間隔
・編み良さ、塗り易さ
・しりません
・掻き易さ、土の密着
・小舞屋さんにおまかせ
・土の粘度(硬さ)
・裏と表の泥がひとつになるように
・大体。要は土が咬めば良。
2-8) 竹の入手先はどこですか?
竹屋さん 18
自家製 9
2-9) 竹の産地
国産品 23
輸入品 2
わからない 2
4.小舞
4-1) 小舞縄の種類
藁縄 20
棕櫚縄 8
麻縄 5
ビニール縄 2
釘留め 2
パーム 1
いぐさ 1
4-2) 縄の巻き方
・螺旋状これは何巻き?
・縦、横共に千鳥掻きとする。
・きまりはないです。
・エツリやさん次第
・力竹と竪横の竹交点を十字に巻いていく。
・上下で解けても外れないように、くくりながらになるように。1回手前の縄の下に下に来るように。
・以前の写真の通り。縄を直角方向に回していく。貫板には、縄を巻きつけない。
・間渡し竹にそって巻いていく
・螺旋状に巻く方法と、千鳥状に巻く方法の二種類。
・シングル巻が多い、工期と予算
・間渡し竹どうし交差する場所はたすきに縄を編みます。
・間渡しに交互に交差しながら
・まず最初に縦竹を間渡し竹(横)に1周まわし、貫部分は斜めにかける。縄を掛ける竹は、半間に3本程度。その他の縦竹は貫にのみ縄を掛ける。
横竹は柱から2本目両側を縦竹の上下を縄でまわす。中央も1本同じようにまわす。
・これといった決まりはありません。締めすぎもよろしくありませんが、間渡し竹と絡む竹だけをくるくるまくだけです。昔は、壁のあっちとこっちに村の独身の男女をペアで組ませ、編んでいたようです。もともとは素人(村人の応援)の仕業だったようです。
4-3) 小舞の横竹はどちら側か?
外壁側 4
室内側 19
特に決まっていない 4
貫の割れを気にしない方 1
仕上げ材による 1
工法による 1
4-4) 最初にどっちの側から塗るか?
外壁側(横小舞) 4
外壁側(縦小舞) 12
室内側(横小舞) 3
室内側(縦小舞) 2
横小舞から(内外関係なく) 1
特に決まっていない 2
左官屋次第 1
工法による 1
工程による 1
季節や、現場の状況で決める 1
・縦から先に塗る。縦は土が垂れてもいいので先に塗ってしっかり乾かすことが出来るから後から裏側を塗る作業がやりやすい。
・横小舞から塗る方が付きはよいのではないか。
5.土
5-1) 土の産地
熊谷市内
荒壁は 群馬県
地元(三重県) 2
愛知県 三河地方
埼玉県
地元(埼玉県)
滋賀県の信楽方面と聞いている
不明
福井県織田町
長崎県大村市
岡山県内産
多治見
三河土+舘山寺の土
鈴鹿
佐賀県
福岡県
岩国市
熊本県小川
地元埼玉
熊本県八代郡氷川町吉野地方の赤土
岐阜県関市
県内
岡山県(矢掛)
現場の近所
5-2) 土の入手方法
建材店(泥コン屋) 20
自家製 5
解体現場 2
田んぼ土 1
瓦屋 2
現場の土 2
5-3) 藁の入手方法、すきこみ具合、発酵までの時間のみきわめなどについて、教えてください。
・農家からもらってきたり
・藁は契約してる農家から。 繊維素の多い藁をいただいている。あしの長さは6cm~8cm位。
発酵期間は、4週間以上で季節、天候により長さはかえる。見極めは鏝滑りで判断する。
・藁は、出来る限り、無農薬か減農薬の田んぼでもらう。
藁の量はかなり多いほうだと思います。
「土のつなぎが藁」というより、「藁のつなぎが土」って感じです。
少しでも時間が許す限り、藁を足して足して・・・
色が灰褐色になるのを目安にしてます
・壁屋さん次第
・泥コン屋に任せている。
・前もって農家にお願いしておく。
藁が土になじんで来ると発酵してつちの色が変わる
匂いがキツクなってくる。
・2トンの土に、2トンの藁ぐらい。
ぱっと見た感じはいっているのが解からないぐらいに寝かした後、さらに塗る何週か前に藁を入れる、塗るのに支障のない程度にならす。
・一般的には、インスタントで発酵は無い。以前20年以上前は1年位が当たり前。
夏場では1ヶ月くらいが良い。
見極めは、匂い。
・短くて3ヶ月くらい 土を寝かすほど左官さんは、施工しやすくなる。
表面が茶色でも土の中は、ねずみ色でくさいほどいい土壁になる。
・藁は古畳を使っている。初めにすき込んでおき、出荷前に再度入れる。
・藁は農家からか、泥コン屋さんから、土の色が変わりスサが柔らかくなったとき。
・地元の農家
・泥コン屋から発酵済の泥が入るが、藁の量が少ない時は、自家製の藁を刻んで現場で混ぜながら使用する。
・藁自家製
・藁は何十年も頼んでいる瓦屋さんにお任せしています。その他必要な場合は、うちの大工さんちの藁を貰っています。すきこみ具合は、瓦屋さんの職人さんの決まり事でお願いしています。
・特に指定はしていない。今後の課題だと考えている。みきわめは、色・ねばり・におい。
・ドロコン屋任せ・・・現場によっては現場での寝かせがまったくないこともある。その場合に竹の間隔が広いと土がこぼれてしまうので竹の間隔が1寸程度になったらしい。
・泥コン屋さんから取るのでわからない。
・ほとんどを、廃棄処分の畳をばらし、はみ切りで適当な長さに切り、アゼを造り水をため、みんなではだしで踏むだけ。時間のない場合、晴れの日はブルーシートを掛けておくと、何かと良い。
5-4) 土は寝かせるか?
・泥コン屋から来るので寝かせない 15
・寝かせている 10
・現場による 2
5-5) 裏返しのタイミング おもてと裏がくっつく。土による。天候、場所・・
・土の乾き具合かな。
・2~3日後。荒壁の裏掻き後裏返し塗りを施工しても、表面が歪まないうち塗る。おおむね、表側が乾いたころ ただし、季節によっては、2~3日、少し水が引いたころを見計らって、乾ききらぬうちに塗ることもあります。
・一週間程度を目途にしている。
・片面の乾き具合で。
・初めに付けた片側の土が乾かない程度の時期土がだれない程度の乾き。
・普通に乾いた状態。
・最近は両面一緒に塗ります。乾きは遅くなりますが、そのほうが強いように思えます。
・ 片壁の乾き具合。
・荒壁土が乾燥後鉄砲返しで、あくる日に追っかけ塗りをします。外壁側からの粗塗りが終わったらすぐ裏返しを行います。
・すぐに。土の付着で一体となると思うので割れ具合を見ながら。
・すぐに追いかけて裏返す。
・3~7日程度。一夜干し程度の乾燥翌日に追いかけて裏返し片面が8~9割位乾燥した頃に塗り返します。夏場は少し早めに塗り返します。
・目で判断する。乾燥具合が十分かどうかを判断する。
・乾けばOK! でも半乾きでもいいと思う。裏を返せばどのみち最初に塗ったほうも、水分を持つ。
5-6) 中塗まで入れると、厚みはどれくらいですか? 現場の柱の寸法に応じて。細い柱に土はつけられない。太い柱を使えば軸力。
・50ミリくらい 1
・60ミリくらい 3
・70ミリくらい 3
・70ミリ~80ミリ 6
・80ミリくらい 9
・80ミリ~90ミリ 2
・90ミリくらい 1
・100ミリくらい 1
・200ミリくらい 1
5-7) 仕上塗
漆喰(既調合品) 17
漆喰(自家製) 10
色土 8
中塗仕上 14
珪藻土 2
半田 1
大直しで止めることあり 1
5-8) 外壁が下見板張りの場合、外側はどこまで施工しますか?
荒壁(裏返しなし) 0
荒壁(裏返しまで) 12
大返し(貫伏せまで) 7
中塗まで 12 わら土が少ない 漆喰
設計による 1
中塗りまですると強度はあがるけれど、コストがあがる。
昔の現場、解体、裏返しもないのもある。
耐力
6.温熱環境等の性能について
6-1) 土壁の場合、外壁はどうしていますか?
真壁(室内、屋外とも土壁) 12
腰板張り(断熱材あり) 2
腰板張り(断熱材なし) 9
板張り(断熱材あり) 4
板張り(断熱材なし) 14
ラスモルタル(断熱材あり) 4
ラスモルタル(断熱材なし) 7
漆喰塗(断熱材あり) 4
漆喰塗(断熱材なし) 14
サイディング 1
GL鋼板張り 2
6-2) 土壁のどんなところを一番評価していますか?
仕上げ材としての魅力 14
断熱材として 5
蓄熱材として 13
耐震要素として 10
調湿材として 17
防火材として 10
遮音材として 3
環境を考えて 3
どこにでもあるものだから 1
6-3) 土壁の温熱性能(断熱、蓄熱、調湿等)について、どう思いますか?自由にご意見をお書き下さい。
・断熱性基本的には評価基準としない。蓄熱性はあるが、従来のままでは一番気温の低い季節では住宅の温熱性能としての評価は低いものと考える。その低さが快適性に対してマイナスと考えるかどうかはまた別の問題。
・蓄熱、調湿はあるが、断熱としては、厚板の方が上回っている。
・ウチは、藁をかなりの量いれるので、断熱性能は高いと思ってます。
・断熱としての性能はあまり期待していない。蓄熱というより、夏のひんやり感がいい。調湿は期待している。
・計った事はありませんが、住み手に聞いても思った程寒くないと聞く事、
また自分の感覚からもよいのではないかと思っています。
・断熱についてはそれほど期待していません。冬季の蓄熱性能には期待しています。また夏季には湿度を吸収することで、室内の温熱環境について効果があると思います。真夏の木陰で涼むような感覚。これが好きなので、建主さんにも薦めています。
・蔵や、大壁まで土をつけると、断熱性はとてもすばらしいと思うが、3寸ぐらいの土に断熱は期待できないので、外部に土壁とよく似た強度のフォレストボードで外部側柱間にはめ込みます。断熱、蓄熱、調湿、遮音、のほか、重量感、調臭、既製品にない表情、微生物や、酵素などもすんでいてくれる。他にもいろいろ化学的に照明出来ないが、感じるものなど深いことも多くあるような気がする。
・蓄熱材としては、壁面が暖かくなり、家全体の温度環境を整えてくれる。湿度も50~60%に年間維持してくれる。(わが家で実証済み)
・断熱性能はかなりのものだと思います。ただし床や開口部の断熱は不可欠ですが。
・日当たりの良いところで軒が深く通風がいい そんな場所で土壁の良さがでるのではないか
・日本の風土に適した、調湿環境を保持できる素材であり、断熱・蓄熱性能に関しても、他の素材より抜きん出た物があると思われます。
・体感には室温だけでなく、むしろ輻射や湿度などの影響の方が大きい。蓄熱要素や調湿性能が加わることで、家は大変快適なものになると思う。また、特にエネルギーを使うことなく、働いてくれるところが素晴らしい。
・エコポイントにあおられ、今後さらに高断熱で気密の高い住宅が増えると思います、特に東海地方以西の4地域ではエネルギー基準をそのまま適用する、あるいはメーカーの主導で高性能のサッシを導入すると、夏期にはオーバーヒートしてしまう、冬季には日射取得が減って、縁側の日だまりを奪われると言う、笑うにも笑えない悲劇を引き起こす可能性があります、そんな時は土壁を使用すると熱容量の大きさがオーバーヒートを解消してくれるでしょう。最近三和土の土間を計画ことが多いが、土の蓄冷と蓄熱による冷輻射・温輻射の気持ちよさは格別です、土の調湿機能が湿度の環境を改善していることも一因だと思います。
・蔵造りの土壁(壁厚200mm)にすることにより断熱性能は高いと考えます。いちばんの利点は調湿作用にあると考えます。
・蓄熱や調湿の効果を考慮した温熱性能は素晴らしいと思っている(特に九州では)。それを考慮した評価基準が欲しい。
・断熱性能はや気密性能は建材に負けるが、調湿性能は非常に優れていると思う。梅雨時でもエアコンや除湿機に頼らなくても、快適に過ごせる。
・すきま風など無い様に適切に施工することで、快適かつ人が人らしく生活する理想的な温熱環境が出来ると考えています。
・断熱性は低いと思いますが、調湿効果が高いと思います。蓄熱性も一度温まると冷めにくい感じがします。
・なるべく蓄熱体として利用できるよう設計する。
・諸性能は十分である
・断熱、蓄熱、調湿。どれをとっても他に劣るものなし。日本のみならず熱帯気候の諸外国でも使われています。現代では、解明できないほど、高度な技術をもっていた日本人。昔の冬が暖かかったわけではなく、現在のような断熱材ごときは、作ろうと思えば造れたのではないかと思う。だが、土の性能を知っていて、変わる何かを造る必要がなかったのではないでしょうか?今でも、夏場の土壁の蔵などは、驚くほどひんやりです。
6-4) 土壁にしにくい理由
施工コストの高さ 19
工期の長さ 20
断熱性の低さ 4
隙間が生じること 3
重量が重いこと 1
意識のなさ 1
古いという先入観 1
現場が汚れる 1
施行できる左官が居なくなった 1
世の中の流れ 1
説明不足 1
7.その他
7-1) 平成15年12月から告示によって土壁が耐力壁として活用しやすい評価になりましたが、ご存じでしたか?また、その影響はありましたか?
・知っている 現場との整合性について意識はしていない。
・知っていたが特に影響はなし。
・知っている。影響はない。
・筋交いなしでも、結構いけるようになった。
・知っていたが、民家再生なので、影響はなかった。
・土壁の家にすじかいを併用する事が極めて少なくなった。
・土壁+筋違やパネル類で耐力壁を造っていますが、その量を減らす事ができました。また引き抜き金物類も無くすことが出来たり、小さくすることが出来るので(込栓なども多様する前提)木へ余計なものなどをつけずに施工が出来ています。
・知っている。耐力壁にカウントして設計するので細かい仕様の確認が必要になる。しかし、施工は、どうしても職人さんの技術がたより。お互い意見を出し合い確認しながらつくって行きたい。また、過剰に土壁の耐力に期待しない+αの工夫が必要だと思います。中塗りの施工がポイント。ということがわかった。
・壁倍率に入れることが出来て、今までよりはプラスになったことは多い。しかし、もっと高い評価が出来るのではないかと思うところや、施行のばらつきによる、数値の出し方の不安定さを、
考えていく必要性が深まってきましたね。
・土壁は、外壁には施工するようにしています。耐力壁としてです。でも土壁だけでは、足り得ません。面材で不足分を補っています。
・土壁だけで2階建ての設計が可能になったこと。
・検査員が土壁の事を知らない
・筋交いを入れない土壁のみの家ができるようになった。
・現場でのトラブルにはなっていないが、告示の仕様が実状に合わない部分が有る。竹の間隔、貫への釘打ち
・土壁がやりやすくなった。
・筋交いにて構造計算してある建物で、告知どうりに間渡し竹のホゾを穴あけして編まなければいけなくなり、壁を解体して修繕したことがあります。
・壁量計算で筋違を減らすことができました。木組みがしっかりと組んであったら筋違は必要ないと感じます。
・壁量計算がやりやすくなった。しかし、層間変形角1/120での評価でなく、1/60で評価してほしい。
・筋交いの量を減らすことが出来るようになった。それに伴って金物も減った。出来ればもっと金物を減らしたい。
・知っています。補強の為の合板の枚数が減りましたが、まだ、評価が低いと考えています。
・熊本県立大で研究されてたので知っていました。現在も活用しています。
・影響は大きいと思います。土壁とする場合は、外周は土壁で1.5倍でとり、不足分を内部で面材や筋かいでとっています。内部はなるべくコアになるように心がけています。
・イエス。間取りの自由度が増したとおもう。
・耐力壁としての評価が低すぎる。貫に土壁だと、筋交いとは違い、開口以外は、中窓があろうが、地窓があろうが、たれ壁に至っても言ってみれば耐力壁である。実際、片引きの引き込み壁も場合によっては、壁厚7センチとれます。倍率をもう少し上げないと、設計しづらいです。そこは問題です。
7-2) あなたの仕事のうち、土壁はどれくらいの割合ですか?
ほとんどしない 0
半分以下 6
半分くらい 4
半分以上 5
ほとんど土壁 8
必ず土壁 1
その他 3
7-3) 自由意見 土壁について、何でも結構です。
・改修工事のときには既存の土をなるべくとっておき混ぜて使います。新築のときは新しい土を買って使ってます。若い頃農家の住まいを作っていたころはその農家の田んぼの土を使ったりしていたと思います。今は、土壁を使った仕事が少ないので建材店でもストックが無く、仕事にかかる前に土を用意しなくてはなりません。
・土の粘性により配合が変わるので構造壁としての粘土を使いたい。たとえば、田んぼの底土などは、粘性として疑問がある。
・出来る限り、現場の近くの土でつくることが目標です。
・関西は土の質がいいと思う。民家再生が主なので、新しい土と古い土と半分づつ混ぜています。
・結構職人まかせだったのですが、もっと勉強せねば。
・私が購入している泥コンやどうやら硬いらしい。最近は泥コン屋も寝かせて納品してくれるので、ひび割れも少ないような気がします。
・土の性質は地域によって違う。現場(関東)の土を四国のポリテクセンターで試験したが、瀬戸内海域の花崗岩質(まさ土)と関東の粘土質(荒木田)ではハッキリ強度に差があると実感しました。みなさんも試験をする事をオススメします。また、小舞の掻き方も地域によって違うので一律にこうです。というのは間違いの元です。構造組や竹の種類、藁のまき方など、教科書にかいてある事が全てではないので、左官屋さんや、昔えつりをやっていた方々によく聞く事が大切です。
・繊維だらけで、壁が大きく変形しても、つぶれるが、崩れない壁が理想かな。
奈良の中村さんから聞いたけど、土は寒い時期にゆっくり乾かすといいと聞きましたが、この冬塗った壁はとにかく乾くのに時間がかかったが、大割れがなかった。ゆっくり乾かすが、かびない時期がいいのかなと感じました。
・砂の量が多いと割れにくいが、弱いように感じる。寝かせる期間は、匂いや鍬で返してやり、色が変色していると発酵が進んでいる。寝かし過ぎ(1年とか)がいいのか分かりません。
・手で土をつかんで開いて、かたちが残っている土は壁土に使えると左官さんから聞いた事があります。
・岡山県内でも、男土で経年変化によって黒ずむ土とか、試行錯誤で石灰分を含む土などあります。本来地産地消の上に成り立っている、日本家屋ですので、近くで取れる良質な土が、その地方に適している素材だと思われます。
・私たちのまわりに無限に存在する土はいちばん人になじむように思います。粗塗り、中塗りと調合の違いにより表情が違いますが、その時々に素晴らしい表情がうまれます。仕上げ塗りの漆喰壁に市売品の色漆喰で仕上げたことがありますが、なにか不自然な表情に感じました。土と漆喰を混ぜて仕上げた壁は目になじむ表情に仕上がったように感じました。あくまでも私の主観です。
・泥コン屋が次々と廃業し、今後が不安。無害の自然素材である土をもっと積極的に利用してほしい。
・積極的に採用する事が、大切。
・私の地方の土は粒度の問題で余り強度が出ないことが分かっているので、なんらか粒度調整出来れば、関西地方の土に近づいた強度が出るのではと考えます。
ただ、中塗り土は砂を混ぜて強度が上がる為、それに頼っている感じです。
・奈良は郊外ではいまでも割と土壁の家が建てられますが、竹屋さんにせよ土屋(左官や)にせよわりと自分のやり方にこだわって(執着)いるように思われ、学術的なデータはなかなか信用してもらいにくい雰囲気があるようです。
・矢掛の泥は「はねない」(荒壁と中塗が離れない、裏と表が別れない)。ネバすぎないからだと思う。
・土は建材ではありません。我々と同じ生き物です。乾いたからって死んでるわけではなく、常に呼吸し共存するものと考えるべき。瓦や陶器などとは違い、土壁の土に至っては、どこぞの名土ではなくその土地にある土をその土地に建てた家に使うのがベストだし、私が土なら一番うれしい事。
7-4) あなたのご職業 左官屋さんからの聞き取りの場合は、聞き取った方の職業を教えて下さい。
左官 4
大工 11
建築士 17
現場監督 3
その他 2
by ヨハナ
・2回に分ける
【初回】
時期:6月末アップ:
対象者:一般
内容:
1)土壁とは?:こんなのも土壁、あんなのも土壁(中塗り仕上げ、外板張り、外腰板張り、漆喰仕上げ、ラスモルタル)
2)温熱環境:△気密・断熱はいまひとつ→けど、気もちはいいよ 理由◎蓄熱性(冬ほんわか)、調湿性(夏サラッと)
3)雨漏り、すきま:△雨水浸入(台風後、柱とのすきまや吸気口から)→けど乾くから大丈夫よ 対策=外は腰まで板壁とか→瑕疵保証コンテンツの該当箇所にリンク
3)地震:最近は耐震要素をしてカウントされている!(土壁告示)△土壁の被害写真 初期剛性を保った後は、徐々に落ちることで建物の変形能力を引き出す(伝統構法建物の特徴)。自分が落ちて、建物を救うけなげなヤツ!
4)なぜ土壁が広がらないか?:△コスト、工期の長さ(←湿式工法)5)どうしたら広がるかな:土壁のよさを知ってもらう、結いやワークショップ形式もあり
■本文左のスペースで、大まかな施工の流れと多様性について触れる(和田洋子さんのイラスト)
【次回】
8月半ばアップ:プロ向け、9月の新委員会シンポジウムも射程に
対象者:プロ、新委員会、行政
※監修をお願いする(鈴木先生、中司先生)
※もし、新委員会の土壁アンケートフォーマットができていたら、リンクさせる
内容:
1)土壁告示の紹介、実務者アンケートの反応:
設計者=○筋交いを使わずにつくれるようになった! △けど、倍率が低いので土壁のみではむずかしい
施工者=×指が血だらけになるよ。間渡し竹を貫に釘で固定?
2)土壁告示通りの土壁って?
2008年の実大実験、3枚おろしにバサッと崩れた
←空隙が少なく、へそが十分に裏側に出ず、裏返ししても、表裏が一体になっていない
3)実際の施工
土壁のピッチ、実際は? 告示通りには施工していない。
ピッチの根拠は? 指がまわること、土が裏がわに出るのにちょうどいい。
バンブーネットと実際に施工されてる土壁の比較
4)土壁を構造要素として見る
ピッチが細かければ:初期剛性は増すが、それを越えるとバサッと落ちる
ピッチがある程度大きければ:ポロポロと落ち始めるのは早いが、バサッと落ちることはなく、剪断割れが徐々に入っていき、ゆっくりと落ちる。土が落ちて小舞が平行四辺形状に変形することで、建物自体の変形が許容される。
5)新委員会土壁WGに期待すること
新委員会の大方針:伝統構法を変形性能で評価する
土壁WGでも、告示のピッチを、そのようなピッチに決まっていった背景から見直しをしていただきたい。
【その土地の土を】
・土は建材ではありません。我々と同じ生き物です。乾いたからって死んでるわけではなく、常に呼吸し共存するものと考えるべき。瓦や陶器などとは違い、土壁の土に至っては、どこぞの名土ではなくその土地にある土をその土地に建てた家に使うのがベストだし、私が土なら一番うれしい事。
・手で土をつかんで開いて、かたちが残っている土は壁土に使えると左官さんから聞いた事があります。
・出来る限り、現場の近くの土でつくることが目標です。結構職人まかせだったのですが、もっと勉強せねば。
【地域性〜土の性質】
・土の性質は地域によって違う。現場(関東)の土を四国のポリテクセンターで試験したが、瀬戸内海域の花崗岩質(まさ土)と関東の粘土質(荒木田)ではハッキリ強度に差があると実感しました。みなさんも試験をする事をオススメします。
・関西は土の質がいいと思う。
・岡山県内でも、男土で経年変化によって黒ずむ土とか、試行錯誤で石灰分を含む土などあります。本来地産地消の上に成り立っている、日本家屋ですので、近くで取れる良質な土が、その地方に適している素材だと思われます。
・矢掛の泥は「はねない」(荒壁と中塗が離れない、裏と表が別れない)。ネバすぎないからだと思う
・私の地方の土は粒度の問題で余り強度が出ないことが分かっているので、なんらか粒度調整出来れば、関西地方の土に近づいた強度が出るのではと考えます。中塗り土は砂を混ぜて強度が上がる為、それに頼っている感じです。
【地域性〜施工】
・小舞の掻き方も地域によって違うので一律にこうです。というのは間違いの元です。構造組や竹の種類、藁のまき方など、教科書にかいてある事が全てではないので、左官屋さんや、昔えつりをやっていた方々によく聞く事が大切です。
【改修と新築とでは?】
・改修工事のときには既存の土をなるべくとっておき混ぜて、新築のときは新しい土を買って使ってます。
・民家再生が主なので、新しい土と古い土と半分づつ混ぜています。
【構造として効かせたい】
・土の粘性により配合が変わるので構造壁としての粘土を使いたい。たとえば、田んぼの底土などは、粘性として疑問がある。
・繊維だらけで、壁が大きく変形しても、つぶれるが、崩れない壁が理想かな。
・奈良は郊外ではいまでも割と土壁の家が建てられますが、竹屋さんにせよ土屋(左官や)にせよわりと自分のやり方にこだわって(執着)いるように思われ、学術的なデータはなかなか信用してもらいにくい雰囲気があるようです。
・砂の量が多いと割れにくいが、弱いように感じる。
【寝かせ方】
・私が購入している泥コンやどうやら硬いらしい。最近は泥コン屋も寝かせて納品してくれるので、ひび割れも少ないような気がします。
・寝かせる期間は、匂いや鍬で返してやり、色が変色していると発酵が進んでいる。寝かし過ぎ(1年とか)がいいのか分かりません。
【乾かし方】
・奈良の中村さんから聞いたけど、土は寒い時期にゆっくり乾かすといいと聞きましたが、この冬塗った壁はとにかく乾くのに時間がかかったが、大割れがなかった。ゆっくり乾かすが、かびない時期がいいのかなと感じました。
【土壁を支える環境】
・泥コン屋が次々と廃業し、今後が不安。
・若い頃農家の住まいを作っていたころはその農家の田んぼの土を使ったりしていたと思います。今は、土壁を使った仕事が少ないので建材店でもストックが無く、仕事にかかる前に土を用意しなくてはなりません。
【仕上げ材としてのすばらしさ】
・私たちのまわりに無限に存在する土はいちばん人になじむように思います。粗塗り、中塗りと調合の違いにより表情が違いますが、その時々に素晴らしい表情がうまれます。仕上げ塗りの漆喰壁に市売品の色漆喰で仕上げたことがありますが、なにか不自然な表情に感じました。土と漆喰を混ぜて仕上げた壁は目になじむ表情に仕上がったように感じました。あくまでも私の主観です。
【もっと土壁を】
・無害の自然素材である土をもっと積極的に利用してほしい。
・積極的に採用する事が、大切。
【日本の風土と土壁】
・日本の風土に適した、調湿環境を保持できる素材であり、断熱・蓄熱性能に関しても、他の素材より抜きん出た物があると思われます。
・日当たりの良いところで軒が深く通風がいい そんな場所で土壁の良さがでるのではないか
・断熱、蓄熱、調湿。どれをとっても他に劣るものなし。日本のみならず熱帯気候の諸外国でも使われています。
【適切な施工で最高の温熱環境】
・すきま風など無い様に適切に施工することで、快適かつ人が人らしく生活する理想的な温熱環境が出来ると考えています。
【蓄熱性による温輻射】
・蓄熱、調湿はあるが、断熱としては、厚板の方が上回っている。
・断熱についてはそれほど期待していません。冬季の蓄熱性能には期待しています。
・エコポイントにあおられ、今後さらに高断熱で気密の高い住宅が増えると思います、特に東海地方以西の4地域ではエネルギー基準をそのまま適用する、あるいはメーカーの主導で高性能のサッシを導入すると、夏期にはオーバーヒートしてしまう、冬季には日射取得が減って、縁側の日だまりを奪われると言う、笑うにも笑えない悲劇を引き起こす可能性があります、そんな時は土壁を使用すると熱容量の大きさがオーバーヒートを解消してくれるでしょう。最近三和土の土間を計画することが多いが、土の蓄冷と蓄熱による冷輻射・温輻射の気持ちよさは格別です、土の調湿機能が湿度の環境を改善していることも一因だと思います
・諸性能は十分である 蓄熱材としては、壁面が暖かくなり、家全体の温度環境を整えてくれる。
・なるべく蓄熱体として利用できるよう設計する。
・蓄熱性も一度温まると冷めにくい感じがします。
【夏のひんやり感、調湿性に期待】
・また夏季には湿度を吸収することで、室内の温熱環境について効果があると思います。真夏の木陰で涼むような感覚。これが好きなので、建主さんにも薦めています。
・蓄熱というより、夏のひんやり感がいい。
・体感には室温だけでなく、むしろ輻射や湿度などの影響の方が大きい。蓄熱要素や調湿性能が加わることで、家は大変快適なものになると思う。
また、特にエネルギーを使うことなく、働いてくれるところが素晴らしい。
・蓄熱や調湿の効果を考慮した温熱性能は素晴らしいと思っている(特に九州では)。それを考慮した評価基準が欲しい。
・断熱性能はや気密性能は建材に負けるが、調湿性能は非常に優れていると思う。
・湿度も50~60%に年間維持してくれる。(わが家で実証済み)いちばんの利点は調湿作用にあると考えます。
・断熱性は低いと思いますが、調湿効果が高いと思います。
【断熱性はそこそこ】
・梅雨時でもエアコンや除湿機に頼らなくても、快適に過ごせる。” ウチは、藁をかなりの量いれるので、断熱性能は高いと思ってます。 “計った事はありませんが、住み手に聞いても思った程寒くないと聞く事、また自分の感覚からもよいのではないかと思っています。
・蔵や、大壁まで土をつけると、断熱性はとてもすばらしいと思うが、3寸ぐらいの土に断熱は期待できないので、外部に土壁とよく似た強度のフォレストボードで外部側柱間にはめ込みます。
・今でも、夏場の土壁の蔵などは、驚くほどひんやりです。
・断熱性能はかなりのものだと思います。ただし床や開口部の断熱は不可欠ですが。
・断熱としての性能はあまり期待していない。調湿は期待している。
・現代では、解明できないほど、高度な技術をもっていた日本人。昔の冬が暖かかったわけではなく、現在のような断熱材ごときは、作ろうと思えば造れたのではないかと思う。だが、土の性能を知っていて、替わる何かを造る必要がなかったのではないでしょうか?
・蔵造りの土壁(壁厚200mm)にすることにより断熱性能は高いと考えます。
【まだまだある要素】
・断熱、蓄熱、調湿、遮音、のほか、重量感、調臭、既製品にない表情、微生物や、酵素などもすんでいてくれる。他にもいろいろ化学的に照明出来ないが、感じるものなど深いことも多くあるような気がする。
【土壁は日本の文化のひとつ。もっと普及していってほしい】
・伝統、環境、いろんな面でもっと普及すればよいのに、と思っています。多くの家に土壁が使われるような日本になってきたとき、国民性もかなりよくなってきたと、感じることが出来るような、文化だと思いますね。
・土は伝統文化の継承、資源循環という点でも、土に還りゴミを出さないという点でも、木の文化と共に重要で馴染みの深い素材だと思います。
・これからも、土壁の家を受け継いでいくそして伝えていく大切さを以って努力して続けて行きたいと思います。
【工期と予算でなかなか土壁が採用できない】
・今、計画中の住まいで土壁の話が出てはいるんですが、工期と予算で消えそうなところです。
・できれば土壁で設計したいが、コストと工期を理解してくれる施主と出会うことが
・土壁の良さを伝えて、どんどん使ってほしいが、コスト面と工期の関係で断念する施主が多い。
【施工数を増やすことが大事】
・様々な問題を解決するには、とにかく土壁を採用する事だと考えています。適切に評価し、日常的に施工する事が何より大切です。
・土壁にできるケースがとても少ない。しかし、毎回トライしたいくらい魅力ある素材だと思うし、関西ではある程度施工数があるようですが、関東での土壁の施工実績をふやし、後の世代に土壁文化と技術はなんとか残したい。
【家づくりは時間をかけること】
・しかし離れや、仮住まいのある田舎(私たちの地域)では今でもほとんどのお客さんが土壁を使用しています。やはり家作りは時間をかけないと良いものは出来ないと思います。
【結いでの土壁つけ。ワークショップ、セルフビルドの可能性】
・近年住宅は建てるものでなく買うものと言う消費行動が羽振りを利かせ、顔の見えない家づくりが当然のごとく行われています、これが瑕疵担保履行法を成立させた一因であることは明らかです。土壁は、誰もが楽しく協働で作業できる工程があり、職人と一緒になって汗を流すことが出来、顔の見える家づくりにとって必要不可欠です。捏ねる””擦る””磨く””押さえる”などの作業を通じて壁が多様な表情を見せることも魅力です。
・土壁ワークショップなどは伝えゆくための一つの方法であると思う。
・えつり、荒壁は、自社施工を基本でやってます。
・土壁は手間のいる仕事です。しかし、手間がいる仕事だからこそ素人でも参加することが可能です。現代はサイディングやモルタル塗りが主流ですが、ある程度の職人だけで仕上げます。土壁は高度の技術が必要ですが、竹小舞を組んだり土を運んだり、蔵づくりの土壁の場合土を竹小舞に打ちつけたりと、素人の入り込むよちがあります。数十年前まで存在した、結いの制度は素晴らしいものだと感じます。
【左官や周辺業者の廃業が心配】
・土壁の家が減ることで泥コン業者が値上げをしたり、廃業をしたりしている現状が心配です。今まである産業(小さいながらも)ですので、きちんと目を向け、評価をしていかなければいけないと考えています。こういうことこそ行政の頑張りに期待したいです。
・廻りをみると左官屋さんの高齢化と土壁をやる人が少なくなっている。
【法律、行政への意見】
・土壁仕上げの家には、強制換気設備は不要とか、瑕疵保証の免責分を減額とか、特権が必要。ハウスメーカーや建材屋に振り回される現状を打開したい
・土壁の温熱性能と構造性能を評価しないと「長期優良住宅」という波の中では消えていく
・地域ごとの仕様を活かしつつ、強度を確保する為に必要な基準ができるとよい。たとえば、凍結防止剤や竹の防虫処理の是非についてなど。
【総合意見】
昔は、土でなんでも造れた。家の壁がなくなり、土間がなくなり、かまどが、焚物風呂が、瓦までもがなくなりそうな時代。怖いのは、造れる職人が、技術を継承させないままいなくなる事。私どもも土壁の住宅をやれば、年に一棟。一年がかりだ。手間ばかりがかかる家なので、ハウスメーカーには無理。かといって、個人の大工さんだと、瑕疵担保履行法や建設業法など、障害だらけ。一概に、土壁だけの問題ではなく、国や法律なども含めた大きな問題だと思います。自由意見ですが、終わらないのでやめます。
7-1) 平成15年12月から告示によって土壁が耐力壁として活用しやすい評価になりましたが、ご存じでしたか?また、その影響はありましたか?
【筋交いを入れない土壁の家がつくりやすくなった】
・土壁がやりやすくなった。土壁+筋違やパネル類で耐力壁を造っていますが、その量を減らす事ができました。また引き抜き金物類も無くすことが出来たり、小さくすることが出来るので(込栓なども多様する前提)木へ余計なものなどをつけずに施工が出来ています。
・筋交いを入れない土壁のみの家ができるようになった。
・筋交いの量を減らすことが出来るようになった。それに伴って金物も減った。出来ればもっと金物を減らしたい。
・筋交いなしでも、結構いけるようになった。土壁の家にすじかいを併用する事が極めて少なくなった。
・壁量計算で筋違を減らすことができました。木組みがしっかりと組んであったら筋違は必要ないと感じます。
・壁倍率に入れることが出来て、今までよりはプラスになったことは多い。
・間取りの自由度が増したとおもう。
・土壁だけで2階建ての設計が可能になったこと。
【まだ評価が低い】
・補強の為の合板の枚数が減りましたが、まだ、評価が低いと考えています。
・過剰に土壁の耐力に期待しない+αの工夫が必要だと思います。
・もっと高い評価が出来るのではないかと思うところもある。
・耐力壁としての評価が低すぎる。貫に土壁だと、筋交いとは違い、開口以外は、中窓があろうが、地窓があろうが、たれ壁に至っても言ってみれば耐力壁である。実際、片引きの引き込み壁も場合によっては、壁厚7センチとれます。倍率をもう少し上げないと、設計しづらいです。そこは問題です。
【プラスアルファをどうしているか】
・土壁とする場合は、外周は土壁で1.5倍でとり、不足分を内部で面材や筋かいでとっています。内部はなるべくコアになるように心がけています。
・土壁は、外壁には施工するようにしています。耐力壁としてです。でも土壁だけでは、足り得ません。面材で不足分を補っています。
【壁倍率評価以外の告示の問題点】
・現場でのトラブルにはなっていないが、竹の間隔、貫への釘打ちなど、告示の仕様が実状に合わない部分が有る。
・施工のばらつきによる、数値の出し方の不安定さを、考えていく必要性が深まってきましたね。
・筋交いにて構造計算してある建物で、告知どうりに間渡し竹のホゾを穴あけして編まなければいけなくなり、壁を解体して修繕したことがあります。
・壁量計算はやりやすくなったが、層間変形角1/120での評価でなく、1/60で評価してほしい。
【施工、職人さんとのやりとり】
・中塗りの施工がポイント。ということがわかった。
・耐力壁にカウントして設計するので細かい仕様の確認が必要になる。しかし、施工は、どうしても職人さんの技術がたより。お互い意見を出し合い確認しながらつくって行きたい。
【ほかの問題】
・検査員が土壁の事を知らない
【影響はない】
・影響はない(2)
・民家再生なので、影響はなかった。
アンケートをとった動機
ことのはじまりは、土壁告示(建設省告示1110号)で「左官の指が血だらけになる」くらい細かく掻くことを規定されている竹小舞のピッチに関する意見交換でした。ML上で盛んに交わされた情報や意見には、竹小舞に対する認識の違いや、おそらくは地域性から生じるのであろう「当たり前」な施工方法の違いがありました。改めて、それぞれが当たり前だと思っている施工方法には、どういった違いがあるのだろうか、という疑問が生まれました。それは地域性なのか、そうではないのか。そして、それは一体どれくらいのバリエーションがあるのだろうか。そんな経緯から左官屋さんから聞き取りをして「土壁アンケート」を取ってみようということになりました。設問は数名の会員で検討し、HP上で回答を募集しました。
アンケート結果を見ての感想
■1■ 木小舞がない
有効回答数は27でした。福井からの1件を除くと、関東以西からの回答ばかりです。今でも土壁が普通に施工されているのは、関東より西の地域が多いということでしょうか。もともと竹小舞は東北以南、それより北の地域では木小舞が使われていたこともあって、木小舞のページも作ったのですが、回答は得られませんでした。
■2■ 間渡し竹の位置
竹小舞で意外だったのは、間渡し竹の位置が「貫の上下少し離れたところ」という回答と「貫と貫の中間」という回答が、ほぼ同数だったことです。これまで見た竹小舞の技術書では「貫の上下少し離れたところ」または両方を採用した方法しか見たことがありません。しかし、私の知っている左官屋さん(岡山)は「貫と貫の中間」で施工します。これは地域差かと思い、回答別に地域を確認しました。一部例外はありましたが、おおむね愛知から東の地域は「貫の上下」、関西以西では「中間」がほとんどでした。
■3■ 竹小舞のピッチ
また、問題の竹小舞のピッチを竹の寸法と穴のサイズから割り出してみたら、告示仕様(45ミリ以下)はひとつもなく、一番狭いピッチでも45ミリから60ミリ、最も多かったのが60ミリから75ミリでした。そして、ほとんどの回答(19/25)がこのふたつ(45ミリから75ミリ)に集中しています。このくらいであれば指が血だらけにならずに施工できるのですが、現在の告示では「規定外」となってしまいます。そして、その寸法を決めている大きな要素は「身体感覚」「慣例」でした。これには納得です。以前、実験のために「告示仕様」と「うーんと荒い編み方」をお願いしたのですが、どうしても「いつものピッチ」に戻ってしまい、申し訳なく思いながらも編み直しをお願いしたことがありました。きっと「体が覚えて」いるのだと思います。
■4■ 縄の編み方
縄の編み方の様々でした。貫に縄をかける人、貫にはかけない人、千鳥編みあり、螺旋あり。印象的だったのは「昔は壁のあっちとこっちに村の独身の男女をペアで組ませ、編んでいたようです」というロマンチックな回答でした。竹小舞編みは一種のお見合いとして活用されていたのでは?と思うだけで楽しくなります。
■5■ 小舞の縦横
小舞の縦横については、私は横竹が室内側で、縦竹(屋外)から塗るのが「当然」だと思っていたのですが、そうではない人も若干名いました。面白かったのは、縦竹から塗る人も横竹から塗る人もその理由が「塗りやすい」と同じだったことです。結局、どっちでも自分が塗りやすい方から塗ればいいのではないかと思います。
■6■ 土の入手経路
土に関しては、ほとんどの人(20/32)が「泥コン屋さん」と呼ばれる業者さんから地元の土を入手していました。変ったところでは「瓦屋さん」からという回答が2件ありました。明治後期に建った長屋を解体修理時に、床下から多量の瓦土が出てきたことがありました。海抜が低く、海に近く、建物が密集しているその地域で、あまり丁寧な維持管理をされていたとは思えない建物が、床下が腐らずに長い間無事で建ち続けた原因のひとつには、床下の瓦土の効果ではないかと思っています。瓦土や田んぼ土はなかなか入手が難しいと思いますが、より良い土壁になるならば入手ルートを開拓するのも私達の仕事ではないかと思いました。
■7■ 土を寝かせるか
土を寝かせる人、寝かせない人もおおむね半々でした。これは土の成分によるのではないかと思います。岡山県南の土は寝かせ過ぎると良くないと左官屋さんから聞きました。同じ県内でも県北では「鼻が曲がる」くらい臭くなるまで寝かせるそうです。土の酸性度が高い土は発酵してもカビが出ないが、酸性度が低ければカビが出るということも聞いたことがあります。
■7■ 裏返しのタイミング
塗るタイミングや裏返しのタイミングは、これはもう土の特性や天候で左官屋さんの「経験知」でしか計れないようです。「すぐに」という人も居れば「1週間を目途に」という人も居て、「これが正しい」という一定の法則は見られませんでしたが、科学的な土の成分を分析すればもしかしたら明らかになるのかもしれません。しかし、その地域で伝えられてきているやり方が一番その土地の風土や土に適しているように思います。
■8■ 断熱材の有無
断熱材の有無についても回答してもらったのですが、ほとんどの人は断熱材を入れないようです。これは、回答が比較的暖かい地域から集まったからかもしれません。断熱効果自体は期待できないことは知ってはいるが「夏のヒンヤリ感」「真夏の木陰で涼むような感覚」「土の蓄冷と蓄熱による冷輻射・温輻射の気持ちよさ」などを合わせて考えると、単に断熱性能の数値だけでは解決できない「それを上回る効果」があるように思えます。実際、ウチも土壁(真壁かつ薄い)ですが、夏でも外から帰ってくるとヒンヤリしています。これは壁に直射日光が当たらない(=日当たりが悪い)ことと関係している気がしますが、特に夏は快適です。
■8■ 土壁にしにく理由
土壁にしにくい理由は、ダントツで「工期の長さ」(20/53)「コストの高さ」(19/53)のふたつでした。
両方合わせると全体の74%になります。これから長い間住み続けることを考えると、その工期やコストは耐用年数で割ると十分納得できると思うのですが「安い」「早い」「簡単」な住宅を求める建て主さんが多いという現実も垣間見えました。昔は、家は代々住み継ぐものだったけれど、核家族化とも関係して、現代では家に対する考え方が変わり、それが土壁の衰退に繋がっているという事情も見えました。
■9■ 告示についてどう思うか
告示については、ほとんどの人が知っていて金物や構造用合板、筋交の量を減らすのに活用していました。しかし、評価が低いこと、小舞ピッチが細かすぎること、釘を使用しなくてはいけないことなど、不満も多く聞かれました。読んでいて辛かったのは「筋交いにて構造計算してある建物で、告示どおりに間渡し竹のホゾを穴あけして編まなければいけなくなり、壁を解体して修繕したことがあります」という意見でした。壁の解体はかなり大変です。作る数倍の労力が必要だし、何と言っても自分が作ったものを一度壊すという作業はキツイと思います。それが正しい評価ならば仕方ないけれども、果たして告示仕様だけが正しくて、それ以外はダメなのでしょうか。私はそうは思いません。もっと地域性を考慮した法律を心から望みます。
■10■ 自由意見
自由意見も活発に色々出ましたが、できれば左官屋さんの経験知を科学的に検証してもらって、法律で全国一律に決めるのではなく、その土地にあった土壁を当たり前に施工できるようになるといいなと思います。
メッセージ(一般)
土壁の美しさや柔らかなテクスチャー、調湿性能、夏のヒンヤリ感は高く評価されていますが、その高い評価にも関わらず、プラスターボード+クロスで作る家に比べて施工軒数は圧倒的に少ないというのが現実です。
アンケート結果からもわかるように、土壁は全国一律ではありませんし、美しい土壁を作るためには、長い時間修行を積んだ左官屋さんの智慧や技術が不可欠です。土や竹は工業製品ではないので、それぞれに適した使い方をしなければなりません。その使い方に地域性が出るのは当然だと思います。今の法律では、その土地の土に適した使い方という観点がありません。はなから告示の仕様は積極的に無視している人、気にしながらも施工が困難なのでやむなく告示通りにしていない人、建築士や検査員がノギス(定規)で確認するので無理をして施工をしている人、親方から教わったやり方でやっている人等様々ですが、全員一致しているのはいい土壁を作りたい、いい家を作りたいという気持ちです。法律を守るということと、いい土壁を作るということが必ずしも一致していないことは問題です。木の家ネットではどの地域でもいい土壁が作れるように、国にお願いしていきたいと思っています。
また、地震の際に“ヒビが入る”ことを心配される人も多いと思います。実は、土壁は地震時に“ヒビが入る”ことで地震力を吸収し、建物の軸組(いわば骨格)を守ろうとする健気な部材です。“壊れてしまう”のではなく“壊れてくれる”のです。たとえ地震の時に土壁が壊れてしまっても、軸組さえ大丈夫なら土壁は補修可能です。昔の人はそういうやり方で長く住み続けてきました。そういった視点が今の家づくりには欠けているように思います。本当の意味での「長期優良住宅」とは、適切な維持管理をしながら長く大切に住み続けられる家ではないでしょうか?
メッセージ(委員会)
もともとは土壁告示の規定と現場がどれくらい乖離しているのか、実務者は本当に告示仕様がいいと思っているのか、そうでなければ実務者が考える「いい土壁」とはどういった仕様なのか、その仕様に根拠があるのか等を調べるためにアンケートと施工写真を集めようという話が木の家ネットの中からあがりました。ちょうど同じ頃、新しい「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会」が発足し、前の委員会にはなかった土壁WGが作られたので、土壁の再評価をお願いするとともに、実務者からの提案を行おうということになりました。実務者が抱えている問題のひとつに建設省告示第1110号(以下、土壁告示)があります。土壁告示については、以前から現場では否定的な声があがっていました。「小舞間隔が細かすぎる」「小舞竹が太すぎる」「貫に釘で打ちつける?」限界耐力計算では告示を使用しないとはいえ、現場は告示の呪縛に右往左往しています。土壁の再評価に向けて実務者からの提案を行なうにあたって、実態調査アンケートを行ないました。
問題の竹小舞のピッチについては、60ミリから75ミリという回答が一番多く(10)、次いで45ミリから60ミリ(9)でした。45ミリから75ミリという回答を足すと有効回答数25のうち19にのぼります。この範囲であれば構造的に大きな問題はないという実験結果が出るといいな、と思います。
土についても、寝かせ方、塗るタイミングや裏返しのタイミングに色々な意見が出ました。これは土の成分によるのもではないかと思います。私達実務者は科学的なことはわかりませんし、検証したくても自分達で実験をする費用も時間も技術もないのが現状です。研究者の方々にお願いしたいのは、土壁の科学的な検証や構造特性の解明です。そのための協力は惜しみませんので、どうぞよろしくお願いいたします。