写真上:ほんの20秒間ほどの振動実験を観るために、日本全国から500人以上の伝統構法関係者が駆けつけた。
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伝統木造設計法構築に向けて、実物大実験!


伝統構法の家を、振動台の上で揺らしてみたら…

E-ディフェンスの実験棟。内部に3次元振動台がある。下の画像は”大地の割れと地震の姿”、及びこれに対応するE-ディフェンスの”三次元の動き”を三色で表現したE-ディフェンスのロゴ。

兵庫県三木市に、独立行政法人防災科学技術研究所が運営する「兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)」という、実大三次元震動破壊実験施設があります。その名の示す通り実大・三次元・破壊というキーワードで特徴づけられ、実物大の構造物を「大振動台」に載せ、実際に起きた地震と同じ力を前後・上下・左右・を加え、建物が破壊に至るまでの過程を科学的に分析・記録することができる、世界で唯一の施設です。この施設は、阪神大震災後12年めに「大地震時に構造物のせいで人命が失われることを減らすこと」に役立つデータを得るためにオープンしました。

2008年末、このE-ディフェンスで、財団法人日本住宅・木材技術センター(通称・住木センター)と独立行政法人防災科学技術研究所の主催により、伝統木造住宅を揺らす実験を行いました。この実験は、平成20年度から3カ年計画で国土交通省の補助により進められている「伝統的木造軸組構法住宅の設計法作成及び性能検証事業」の一環として行われたもので、これまで建築基準法での位置づけが曖昧であった伝統木造の扱いを決める根拠となるデータをとることを目的としています。

この実験のなりゆきには、木の家ネットのメンバー全員が最大限の関心を寄せてきました。よそながらに様子を見ていただけではなく、10数名のメンバーがこの事業の委員や実験後の損傷観察メンバーとして実験に関わり、2日間の公開実験当日には全国からのべ80名近いメンバー(とその同伴者)が見学につめかけました。

さて、この実験の結果は一体どうだったのか? なぜこれほどまでに木の家ネットのメンバーはこの実験に注目しているのか? 試験体として使われたのはどのような建物で、今後、伝統木造の性能評価事業はどのように進んで行くの? を、ここにご報告します。

実験の目標

この実験は、地震の揺れ(中地震・大地震・基準法想定外の激震など)に対して、伝統構法による木造住宅の構造要素がどのような特性を示すかを調べるために行われました。試験体には、建築基準法に定められた木造住宅の必要壁量を「ぎりぎりでクリアする設計の住宅」を木組み&土壁の伝統的な手法でつくった建物が使われました。

実験の結果

(1)基準法レベルはクリアしていること(2)阪神・淡路大震災のJMA神戸波でも、結構もちこたえること、が分かりました。また、さらに繰り返して大震災の震動を与えて、どう壊れていくかを調べることで、基準法以上の余力をもった伝統木造の設計法を構築するための検証データを得ました。


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建設途中の実験棟。加振機がある実験棟の横に実験準備棟という建物があり、 そこで、播磨社寺によって施工された。