中野区江原町の松井郁夫建築設計事務所に9名のメンバーが集まった。まずは松井さんのファシリテーションでKJ法の概要を学んでから、アンケートの回答を分類していった。
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「改正建築基準法再改正にむけての要望アンケート」全回答のまとめ


2009年9月、前原誠司国交省大臣は、就任早々に「建築基準法の見直し」を掲げ、2007年の改正基準法の影響で低迷している建築分野をもりたてていく方針を明らかにしました。一方で、これまでのように最低基準を示すのではなく、この国の建築やまちづくりのあるべき姿の理念を建築基本法として制定すべき、という議論も、昨今さかんになってきています。

こうした流れの中、かねてから、建築基準法で冷遇されてきた伝統木造が正統に扱われることを願って来た職人がつくる木の家ネットでは、2009年11-12月、現場の実務者が現状をどのように捉えているのかを知り、問題点がどこにあるのかを浮き上がらせることを目的として、公開で「建築基準法再改正にむけてのアンケート」を行いました。

まずは、11月の木の家ネット第9期総会熊本大会の場で木の家ネットの会員に事前アンケートを実施、その回答をまとめ「中間発表」として発表した上で、12月に回答を公募。合計でのべ819回答が寄せられました。

2009年末までに、集計をし、およその傾向をテーマ別の8枚のシートにまとめました。

2010年に入り、寄せられた回答をより客観的に再整理してみようということで、2010年2/28と3/7の二日間にわたって、東京のつくり手メンバーが「KJ法」という情報整理法を使ったワークショップ形式で分類・整理作業を行いました。

詳しい報告を次ページからしていますが、まずは、KJ法を使ったまとめから見えて来たことを、作業に参加した設計士の計ちゃんと、おなじみ大工のよっちゃんとのおしゃべり形式により、17のテーマに沿って、お届けします。それぞれのテーマからは、報告本編を見ることができますので、併せてご覧ください。

KJ法による「建築基準法再改正にむけてのアンケート」まとめ

【ワークショップ実施日】
2010年 2/28(日)、3/17(水)

【参加者】
五十音順:畔上順平、勝見紀子、小林秀行、岸本耕、林美樹、治田竜一、松井郁夫(ファシリテーター)、宮越喜彦、持留ヨハナ

よ 計ちゃん、お疲れ!去年の暮れのアンケート、おれなんか言いたい放題、答えっぱなしだったけどさ、おまえたちでKJ法ってのでまとめ直してくれたんだってね。

計 いっぱい回答があったから結構大変だったけど、ようやく終わったよ!立場によって、いろいろな考えや意見があるんだなあって、おもしろかったよ。自分の考えや意識がどのあたりにあるのかなんていうのも分かって、やってよかったよ。

鑿(のみ)キャラ(上) は「大工のよっちゃん」、曲尺(かねじゃく)キャラ(上) は「設計士の計ちゃん」です?よろしく おつきあいください!

イラスト:持留 匠

よ で、そのKJ法って言ったっけ? どうやるの?

計 KJ 法っていうのは、川喜田二郎ていう学者が考案した、カードを使った合意形成や問題抽出したりする技術なんだ。いろいろな意見はひとつひとつをカードにしておいてね、そのカードの要点を直感的に捉えていって、似たようなこと言ってるカードを集めてグループをつくるんだ。そしたら、それぞれのグループにキーワードをふっ てくわけ。いくつかグループができるから、グループ同士の関係性を見ていきながら、模造紙にペタペタ貼ってくの。それを眺めて、関係性を見つけていくんだ。会社経営や製品開発、論文作成、住民参加のワークショップによく用いられてるらしいよ。

よ ふ?ん。集まったカードを整理して、何が言えるか見つけてくわけだね。

計 そう。似てるけどちょっと違うニュアンスのことを言ってたり、時には、同じことについて正反対の考えもあったりね。けど、どういう意見の分布があるか見てくと、なんとなく全体像が見えてくるんだよ。

よ ふ?ん。けどさ、すごい量のカードだったっしょ?

計 のべ819の回答を、カード化するのにちょうどいい分量のまとまりに分割したら、1210枚ものカードになってさ・・。

よ おれも思いの丈をみっちり書いたけど、そういう人多かったみたいだもんな?。で、それをみんなで、一斉に作業するわけ?

計 いや、回答が17のテーマに分かれてたから、まず初日は、ひとつのテーマを2人で受け持って「これはこういうことだね」と確認しあいながら、やってったよ。お昼をはさんで午後までに大体1テーマずつ終わって、みんなで発表しあってね。まる一日で半分も終わらなかったから、残ったテーマは持ち帰り作業さ。今日は、その宿題を持ち寄っての、2回目の発表会だったわけ。

よ 宿題もあったのかっ! 大変だったな。おまえも偉いよなあ?

計 まあ、乗りかかった船だしな。いっしょに参加してたメンバーにも刺激されて、俺も担当したテーマのまとめまでは仕上げたよ。これが、みんなでまとめたもの、見る?

01 全体的な考え方:
日本のすばらしい木造建築を後世に残せるような法律を


[ 01 全体的な考え方 ] の
まとめはこちら
このテーマの担当者:

木の家ネット事務局の持留ヨハナ
ストゥディオ・プラナの小林秀行さん

よ これは俺も書いてていちばん力が入ったよ。「伝統構法と在来工法を同じ土俵にのせるのに無理がある!」ってな。

計 そういう意見、多かったよ。 伝統構法が建築基準法に位置づけられていないことが、今の基準法が抱えている大きな課題だという認識は、みんなもってるんだね。おもしろいのは、なんで伝統構法を守るのか、っていうことでね。日本の文化や日本人のアイデンティティーを受け継いでいくのに、木の建築文化を置きざりにするわけにはいかないでしょ!っていう考え方が、みんなの根っこにあるんだね。

よ そうだよな。戦後このかた、伝統構法は置いてけぼりだったからな。

計 なまじ基準があることで、「基準をぎりぎり満たしてさえいればいいんだろ」って、最低基準を目標にする風潮が広がっちまうんだよな。俺は、本来職人は「よりよいものづくりを」っていう意識で仕事するもんだと思うけど、世の中全体がそうでなくなってきちまったんだよな?

よ 

計 戦後の混乱期のあと、高度経済成長に入って住宅産業が誕生し、大きくなっていくわけだけどつくり手の良心というよりは売り手側の論理でものごとが動いていったからな。「なるべく早く安くつくって、大きくもうける」という売り手側の論理は、最低基準をうまく使いながら、ふくれあがっていったんだな。地震や台風など災害等の影響もあるけれど、基準法も基本的にはそういった流れで改訂を重ねて来てるというわけだ。

よ 建築だけの問題じゃなくて、世の中全体がそういう流れだったんじゃないか? なにか大切なものを忘れて突っ走ってきたツケが今になって、いろいろな場面で出てきているよ。

計 これからはもう、今までのように最低基準さえ満たしてればそれでいい、というわけにはいかないと思うよ。環境や地域との調和、資源を無駄にしないで循環させることなど、トータルに家づくりあるいは建築を考えなくては、という意識は高まってきている。それは多くの回答からにじみでてたね。

よ 最近よく聞く基本法っていう話に通じることだな。技術とか基準を考えていくにも、 理念をしっかり持った上で考えなきゃいかん、ということだろうな。

02 基礎について:
石場建ては伝統構法には欠かせない要素

よ 基礎はコンクリートって基準法には書いてあるけど、伝統構法をちゃんとしていこうという動きのなかでようやく「石場建て」もちゃんと考えようという動きになってきてるんだってな。

計  そうなんだ。「石場建てができるようにしてほしい」という意見がやっぱり多かったな。床下の通気がよくなるから長寿命につながるとか、最近の実験では地震の入力を逃がす可能性があるとか、いろいろな面から石場建てに期待してるのがよく分かるよ。

よ なにしろ、今の基準法じゃあ、土台があって、基礎と緊結することが大前提で、2階建てだと石場建てはかなりやりにくい。昔の建物の多くは基準法じゃあ、アウトってことになっちまう。

計 けど、もともとあった構法だから、というだけでは認めるわけにはいかない、ということなんだろう? 「足元フリー」が地震に対して有効なのかどうか、まだ検証されていないようだし、台風の影響だってあるからね。これから実験や検証がされていくようだから、どうなっていくのか、動向に注目したいところだね。

よ なかには、がんばって石場建て、限界耐力計算で確認申請して、ピアチェックまで通してやってる仲間もいるけど、俺なんか、してみたいな、と思いながらそこまで踏み出せないでいるな?。けど、石場建てはできるようになってほしいし、そうなったらぜひやってみたいよ。もともと、日本の木造の技術だからね。ふたたび使えるよう、知恵を絞ることが、この時代の俺たちの役割だたと思うよ。

計 石場建てをやっていなくても、思い入れはもっているというつくり手は多いよね。技術的なことだけでなく、寿命という点で素材としてのコンクリートへの不信感とか。地震に対しては建物と地面とは切り離して考えるべきではないかとか、現代の設計思想とはまったく違う考え方もあるようだね。

03 接合部:
「木組み」を正当に評価し、活用できるしくみを

計 現代工法とは違った考え方は次の接合部についての意見にもあってね。基準法で前提となっている「金物結合」への違和感を書いている人がたくさんいたよ。

よ そうさ。 とにかく、木と金物は相性が悪い。金物つけることもあるけど、法律で決まってるから、しかたなく使ってるということが多いな。

計 金物は材木を傷つける、木同士の木組みと違って経年変化していくと錆びたりするなど、金物を使うことへの疑問、そして、木組みがいかに理に適っているかを、多くの人が書いてるね。

よ 木の一本一本のクセを見て、ちゃんと手間掛けて作ってんだからね。木組みをちゃんと認めてほしいよ。

計 今でも木組みができないわけではないけれど、もっと正統な評価をしてほしいとみんな言いたいんだよね。最近じゃいろいろな実験も行われているから、そのデータが木組みを設計する時に使えるようになってくれると、一歩前進できるんだけどね。 国にも木組みができるようなデータの整備を急いでもらいたいよね。

04 耐力壁:
伝統木造を活かせる多様な耐震要素がほしい!

よ 耐力壁ねー。耐震性っていうと、なんですぐ「耐力壁」の話になるのよ? そこからして、俺、おかしいと思うんだけどさ、どうよ?

計 そういう意見、けっこう多かったね。実務者の考え方としては、伝統木造の建物は壁だけでなくて骨組みである軸組でもっていて、その軸組が傾いたり、粘り強いことが、地震に対しても有効なんだという考え方が根強いね。

よ 初期剛性は土壁などに期待するけど、より大きな地震には、柱の曲げや貫、差鴨居など木のめりこみを活かした軸組み全体の変形性能がきいてくるんじゃないの?俺はそういう感覚でいるよ。

計 そういうものを評価するとなると、壁倍率とは違う考え方の筋道が必要になってくるよね。

よ 大体さ、今のフツーの建物って、壁だらけだろ? あれって、なんか、外に対して閉じてるって感じで、家ってそういうものじゃねえだろう、って思うんだよ。 壁だけで考えているからああいうことになっちゃうんだ。まだまだ、使える木造の力が活かされてないんだよ。

計 昔からの日本の木の家は、風通しとか外とのつながりを大事にして、開放的な間取りだったからね。

よ もうひとつ、真壁づくりで木を見せてるから、ということも金物を使いたくない大きな理由だね。せっかく木組みで作ってるのに金物がついてたら、台無しだよ。

計 たしかに、今の家は大壁で覆ってしまうから、金物接合でも木にならないという面もあるかもしれないな。

よ 構造材を見せる真壁づくりにするのは、メンテナンスの上でも大事なんだよ。大壁づくりで構造材が壁で覆われてしまうと、いつのまにか中で腐ったりしていても、分からないことがある。だいたい木が見えなきゃ「木造です」なんて、言えないよ。

計 耐震性だけでなくて、どう自然とつきあうのか、どうやって長持ちさせるのか、ということまで関わってるよね。伝統木造の目から見ると、どのテーマから入っても、答は総合的になっていく感じはあるね。

05 木材の扱い:
伝統構法に適した木材基準・評価が必要!

計 これは、そんなに今の基準法と抵触するところがない割に、多くの反応があった項目。それだけ、つくり手の木材への関心度が高いということなんだろうね。木材についての基準は「緩やか」であるべきとか、基準を数値で決めるな、という意見が多かったな。

よ そりゃそうだよ、木は工業製品じゃなくて生きものなんだから。 ひと口に杉って言ったって、一本一本みんな違うからね。

計 木は乾燥してる方がいいんだから、含水率は低い方がいい材だとか、必ずしもそうでないこともあるのに、数字が一人歩きしていて実態にそぐわないことへの不満も多かったよ。

よ そうだよ。高温乾燥材の中には、色も臭いも悪いし、バサバサなものもある。含水率が20%以下なんていうと、大概、鑿や鉋の歯の当たりが悪いね。特に、内部割れの材料なんかじゃ、ホゾ作れないしな。 手刻みで木をおもてにあらわしに使う仕事っていうことを考えると、数字だけで木は評価できないね。

計 といってもさ、伝統木造の立場から見たって、いい材とそうでない材とがあるんだろ?

よ どうだったらいいって、なかなか言葉にあらわしにくいけどな。目て見て、手で触って感じることだからな。

計 無垢の木のよさをなんとかあらわせる評価基準がつくれないかという意見もあったよ。

06 防火:
木の家を建てたい、もっと木を使いたいのに使えない!

よ 防火の規制ねー。地域指定によっては、これのせいで、木を外装に使いたくても使えないことがあるんだよなー

計 そう。ある程度の厚みがあれば軒裏に無垢材をあらわしで使えるようになっては来たけれど、法22条地域や準防火地域の外壁や内壁にまだ木がとっても使いにくい。そんな回答が多かったよ。

よ せっかく木の家をつくってもさ、防火の規制のために石膏ボードやグラスウールは使いたくないよ。木の家にそぐわないし、ゴミにもなるしな。 平成12年に法律が改正されてから、外壁だけでなく内壁にまで規制が及ぶようになって、やりにくくなってる。前の方がよかった面もあるよな。

計 木が炭化することによって燃え残る性質を見据えた「燃え代設計」の応用で、厚い無垢板が使えるというような知恵が出るといいんだけどな。ほかにも、防火戸の仕様、台所なんかの火気使用室の内装制限、排煙設備などへ見直しの意見もあったね。

07 既存不適格:
過去の建物にまで現行基準法の要求をすると、古い家や町並みが残らない

計 「既存不適格」も、伝統構法の位置づけということと表裏一体の大きな問題としてとらえられていたね。 法律が改正されれば、前の基準で建てられた建物でも「既存不適格」となってしまうからね。

よ なにしろ、今の耐震基準を満足しなければ、古い家を増改築できないんだからな。このあいだ頼まれたけど、かかれないでいる仕事があってさ。古い家を増築して住みやすくしたいって施主は思ってるんだけど、既存不適格だから全部をいじらなきゃ、手続き上直せないってことになっちゃう。そこまではとても出せないって、そのままになってるよ。

計 そうやって朽ちるに任せているか、愛着を持っている家でも直すのでなく建て替えてしまうか、ということになっちゃってるんだよね。町並みが残っていかない原因のひとつでもあるな。

よ 特に、耐震診断を受けて、低い数字が出たりするとな。もう無理かって、あきらめちゃうんだよな。けど、ほんといって、昔の建物や伝統構法の家だった場合、今の基準法に合うように直すことが建物にとってほんとにいいことなのか、疑問な場合もあるよ。

計 そのあたりは、伝統構法の位置づけがはっきりしてこないと、解決しづらい問題だよね?

よ そんなこと言ってる間に、どんどん古い建物が壊され、日本の町並みがなくなっていってるという現実を、もっと真剣に考えてほしいよ。

08 建築確認:
建築に対する理念をもった大改革を

よ これも不満や文句、多かったろ? 耐震偽装事件の再発防止策として3年前に基準法が改正されたけど、それ以来、確認申請を通しにくくなってるもんな。

計 申請の手間が増えすぎ、変更がしづらい、審査が遅いなど、実務の現場では問題が噴出して、景気低迷の要因にもなったね。「厳格化」ということで、窓口対応も必要以上にかたくなってることもあるんだろうね。

よ 窓口が現場をあまり知らない上に、マニュアル化されちゃってるから、ほんと、やりづらいよ。杓子定規で、状況に応じた対応ができてないからね。責任をかぶることになるのが怖いからか、自分で判断するのを嫌う傾向があるように思うよ。

計 特に、石場建ての伝統構法の家では、限界耐力計算で確認申請できてたのが、適判送りにまでなっちゃって、とんでもない時間と費用がかかってしまうことになった。ひどい話は、石場建ての確認申請を受けてくれるところがほとんどないなんっていうこともあるらしい。これでは法の運用上も問題だよね。適判送りをやめてほしい、というような現状を改善する声が出ていたね。

09 シックハウス:
自然素材でつくられた家には、強制換気義務除外を!

計 通称シックハウス法もそもそも、なんのためにできた法律なんだっけ?と、原点に立ち帰る視点からの意見が多かったね。

よ 本来は、新建材を大量に使った気密性の高い家が増えて、人体に有害なガスが出て室内に滞ることが問題になって、それを規制するための法律なはずだろう? なのに、換気扇つけるための法律みたいになってる。俺も必要ないと思いながらしかたなく付けてて、腹立つこと、多いよ。

計 新建材を使ってない自然素材の家だったら、必要ないでしょ?という実感としてあたりまえの意見が大半だね。「持込み家具の問題があるから」というのは確認申請の窓口でよくきかされる理由だけど、「家具の方を規制すべきで、建築だけで規制するのはおかしい」という声もあったね。

よ 規制すべきは、有害なものを出す元だってことだよな。無垢材と土壁の家には不要だと俺も思うよ。俺さ、こう見えて、意外と弱いんだよ、化学物質に。その俺が材料を切ったり、張ったりしてて言うんだから、間違いないよ。

10 エコ:


[ 10 エコ ] の
まとめはこちら
このテーマの担当者:
吉川の鯰の岸本耕さん

計 「伝統構法はエコである」ということを確信している意見が大半だったな。

よ でも、そう思ってはいても、今はやりのエコポイントなんかでは、まったくその対象にはならないからね。そういう矛盾が口惜しいよな。

計 むしろ、「高気密=省エネ基準のポイントが高い」ということが「エコ」という基準にしているからね。基本理念が違いすぎる。

よ 土壁の家だったら夏にエアコンなしだって生活できるし、ましてや、土に還らない廃棄物を出さない建設工程なんかがもっと評価されてほしいと思うよ。

11 瑕疵担保保障:
そもそも誰のための法律? 任意でよいのでは??

計 これは去年の10月から施行されたばかりで、保険会社の対応も混乱してることもあって、回答数が多い項目になったね。

よ 俺たちつくり手としては、自分で手がけた建物は、一生のおつきあいと思っていて、不具合があれば直すのはあたりまえと考えている。だから、保険なんかいらないと思ってるよ。

計 よっちゃんが言うように任意で十分だ、という意見が多かったな。 これはつきつめて考えると、つくり手と施主の関係性の問題になっていくんだよな。信頼関係がなりたってるとは限らないというところから、でてきた法律だからな。

よ 結局はさ、保険屋のための保険なんじゃないの?

計 そういう意見もけっこうあったよ。今まで任意であったものが強制になれば、桁違いに対応物件数が増えることになるからな。ほかに、伝統構法への対応ができていなくて免責事項がやたらと多い、保険の基準があるためにものづくりの工夫の範囲がせばめられてしまう、検査員が伝統構法を分かってないなんていうのもあったな。

よ 伝統木造は検査員の手持ちマニュアルには、のってないんだろうからな。

12 長期優良住宅:
伝統構法こそ長期優良住宅!

計 これも鳴りもの入りで去年から施行された住宅政策だけど、けっこうみんなの評価は辛いね。

よ そうさ。長期優良住宅ってうたっておきながら、100年以上もすでに長持ちして今も建ってる伝統構法の家は、その基準を満たせないんだからさ。おかしいと思わないか?

計 長期優良住宅の基準に問題あり、という意見がいろいろ出ていたよ。耐震基準が合板をバンバン張ってないととても満たせないとか、無垢板の下地に化学処理をした耐水性のものを使えとか、土壁の外に厚い断熱材を入れろとか・・

よ 結局は、住宅メーカー仕様ってことなんじゃないの?もともと景気対策だかなんだかしらないけどさ。ほんとに長持ちするの?っていうような仕様で長期優良だなんて言っちゃって、素直に自然素材を使って家づくりをしている者からすると、看板に偽りあり!だぜ。

計 実際に応募してみた伝統木造の作り手が直面した問題なんかが具体的に報告されてたよ。応募してみたものの、取り下げた人もいるみたい。

よ 言葉と中身が一致してない政策だよな。おれたちがつくる家の方が、建物の寿命とか環境負荷とか考えたら、よっぽど長期優良住宅だと思うんだけど・・

13 都市計画:
用途地域の見直しなどで、美しい町並みの実現を

計 このテーマへの回答は少ないんだけど、 美しい街並みにつながる都市計画のための見直しを、という意見があったね。これまでのような規制だけでなく、「美の基準」づくりが必要なんていうのもあった。

よ 防火面から素材を規制することはあっても、景観をよくするための規制ではない。むしろ景観面ではどうなの?っていう場合も多いからな。

計 実情に合わない地域を実地調査した上で、地域の景観に関するカルテをつくるべき、という意見もあったよ。建築基本法につながるテーマだね。

よ これからは、一軒家を建てるにも、まちづくりの視点が欠かせないと思うよ!

14 建築士法・資格:
木造を正しく理解し大工と協働できる建築士が必要

計 これは答える人の立場によって、意見が分かれたな。木造を理解している建築士が少ないから木造に特化した資格をつくれという人もいたり、反対に、新たな資格をつくっても問題は変わらないという人もいたり。

よ むずかしいんだよな?そのあたりは。マイスター制度がいいっていう人もいるしな。けど、ドイツみたいにそういう伝統があればまだしも、人が人の資質を定めるというのは、なかなかできないことだよ。

計 建築士法の改正で、今までにない書類の提出や意味なく時間とお金がかかる強制の講習が増えたことに対して「もっと建築に専念させて」という意見も設計士からは多く出てたね。一方で、大工からは「伝統木造を伝えて来たのは大工であって建築士でない」という意見も多かったよ。

よ おれとおまえみたいに、大工と設計士がいい感じになっていったら、そういう言い方にはならないと思うんだけどな。

計 うれしいこと言ってくれるね。やはり、お互いの持ち分で協力し合える関係というのが大切。これだけ社会が複雑化し、多様化している状況になればなるほど、なおさらだね。

15 相続制度:
相続税法が日本の原風景をこわしている面もある

計 建築基準法という技術的な法律からぽ?んと飛んで、相続税法。これは新築というより、古いいい家に住んでる人たちのテーマだね。

よ 代が変わって、相続しても持ちきれなくて、古くていい家をつぶさなきゃならないなんて話、よく聞くね。

計 美しい町並みがしだいに歯抜けになっていく原因となっているよね。世代を超えて住みつづけるような仕組み、どうしたらいいかを相談できる窓口が必要という意見もあったよ。

よ せっかくおれらが長持ちする家つくったって、住み継いでもらえる相続の仕組みがなかったら、元も子もないからな。 。

16 これからできる設計法:
伝統に学び、現場で柔軟な対応ができ設計法を

計 これも去年の木の家ネットのコンテンツでさんざん扱ったテーマだけど、もともとの日本の木造技術である伝統木造をちゃんと評価して普通に建てられるようにしてほしい、環境面での優位性なども考えたらそうするべきだ、という意見が多かったね。

よ 実務の俺たちとしては現場で使えるものがでてきてほしいと、ほんとに思うよ。 使えるといっても、やたら面倒な手続きが必要なんていわれるのも、困るよ。

計 現場サイドだけでなく「伝統構法は広く国民に問うべき構法」という意見を書いていた人もいたよ。短い時間であせってつくることで、使いづらいもの、伝統構法の性質に合ってないものがでてきたらかえって困る、という懸念を書いている人も多かった。

よ この3月末で委員会の編成が変わるって、国会中継でもやってたってよ。これからどうなるのかな。動きを気をつけて見とかないとな。一本一本の木を見て、どう使うか考えてやっている俺たちの声もちゃんと聞いてもらいたいね。

17 その他:
教育、大工育成のしくみ、金融政策の見直しも

計 テーマとしてあがってきてないところにちゃんとテーマを見いだして書いてくれてる人もいたよ。住宅ローンのことに触れてる意見もあったね。

よ そうそう、これは、言えるよね?。どうしても伝統木造となると工事期間が長くなりがちだからな。中間のつなぎ融資などがないと工務店としては資金繰りが苦しくなるからな。

計 伝統構法を応援する銀行とかでてきたらおもしろいのにね。ほかには、多かったのは、伝統構法の継承のためには教育や人材育成に力を入れることが必須、という意見。

よ それ、ほんとに大事なことだよ。伝統構法を未来につなげるためには、子どもの頃から木の家づくりについての正しい認識をもってないと、判断するすべがないからな。

計 伝統構法の家づくりは、地場産業の活性化、環境負荷の少なさなど、家単体としてだけでなく、総合点は高いと思うんだ。けれど、そのことに気づけないと、どうしても、目先のことだけで選んでしまうからね。

よ そういうメッセージをおれたちからしてかないといけないじゃないかと思って、総合学習の出前授業っていうの、こんどうちの子が行ってる学校でやってみようかと思ってるんだ。鉋掛けなんか、子供たちは喜ぶんだよね。

計 へえ?、いいんじゃない? どんどんやってほしいな!