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ちんちん千鳥の 鳴く夜さは
ガラスを閉めても まだ寒い |
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北原白秋の詞による童謡です。千鳥は、小さな水鳥。チーチーというかすかに鳴く声はもの哀しく、古くから詩歌の題材となってきました。この童謡の設定では、時は夜。家の中にいる主人公に、水に浮かんで鳴いている千鳥の声が聞こえるという情景です。町じゅうを掘割がめぐる水の都、柳川出身の白秋らしい歌ですね。「ちんちん千鳥の鳴く声は ガラスを閉めてもまだ消えぬ/ちんちん千鳥は親なきか 夜風に吹かれて川の上/ちんちん千鳥はお寝らぬか 夜明けの明星はや白む」と歌は続き、心やさしい主人公が千鳥の境涯を思いながら夜明かししてしまったことが分かります。
主人公が寝ている、あるいは夜更かしして書き物でもしている部屋を想像してみましょう。そこは障子の入った畳の部屋。障子の向こうには縁側があるのでしょう。夜だから雨戸をたてています。でガラスは? 明かりを採り入れるばかりか、外の景色が見えながら、風雨や寒さを遮るガラスは、明治時代になって、日本家屋にも建具として取り入れられはじめます。雨戸のすぐ内側に、木の枠にはめこんだ「ガラス障子」として使ったのです。「雨戸は閉めた。それでも寒いので、その内側のガラス障子も閉めたのではないか」というのが木の家ネットの推論です。
夜更けにうすら寒さを感じ、主人公は障子をあけて縁側に出て、ガラスを閉めようとしたのでしょう。その時、家の中よりはずっと寒い川の上でひとり鳴く千鳥の小さな声が、幽かに聞こえたのです。「親はないのか、まだ寝ないのか」ものがなしく、か細く鳴く千鳥に、主人公は気持ちを寄せるのです。「ぎやまん」「びらうど」といった言葉を散りばめ、異国情緒を謳いあげた白秋のことですから、ガラス障子を取り入れたのも早かったことでしょう。当時としてはまだものめずらしかった「ガラス」。その一言からも、白秋の「ハイカラぶり」がうかがえます。 |
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