07 既存不適格

担当:治田竜一(治田工業)

過去の建物にまで現行基準法に適合させようとすると、古い家や町並みが残らない

今回のアンケートにおいて”既存不適格”に対して寄せられた皆さんの意見を整理し、中でも多い意見を抽出してみると下記のようになりました。

1. 既存不適格規定が古い建物の保存や再生の障害に

「建物の文化的価値を無視している」「100年以上も建っている建物に現行の法規を適用するのは・・・」などと、一方的な規制に対しての不満が多く、特に現実の問題として、古い建物の保存や再生にとって大きな障害となっているとの意見が多くありました。その理由としては、

・既存部分まで耐震改修を求められるのでは、改修時の負担が大きすぎる

など、経済的理由が大きなウェイトを占めていますが、ほかに

・街並みが崩れてしまう
・金物、合板を使っての改修工事に対する抵抗感
・昔の家にまでシックハウス対策をすることの現実性
・住宅ストックを活かそうとする時代にとって逆行している
・完了済み証がない、完了検査を受けていない

などあらゆる弊害を持っていることも指摘されています。

2. 今後の方針や対応

一方でこれらの諸問題に対してにも多く意見が寄せられ、

・実態の把握が必要
・緩和措置が必要(増築部だけに適用するなど)
・法改正、見直しが必要

中には、
・自己責任で良いのでは
・無申請で施工するしかない、無申請で施工するように仕向けている

との意見も見受けられました。

総括すると、一部に現在の方向性に賛成意見がありましたが、大多数は建築の実務や、実生活の上でも”既存不適格”という問題は多くの人たちが直面する問題であり、具体的な解決策なしに進められているたいへん大きな問題であるということが浮き彫りにされていました。

ですが現実としてに現行法規に則さない改修工事が多く為されている事も問題であり、住宅ストックの有効活用かつ、良質な住宅ストックの確保、維持には現行法規の見直しや整備が急務であり、また、伝統建築の保存、伝統文化の維持においてもとても重要な問題であるということが言えるのではないでしょうか。


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