11 瑕疵担保保障

担当:宮越喜彦(木住研)(文責)、勝見紀子(アトリヌック)

そもそも誰のための法律なのか 瑕疵担保保険は任意でよい!

この法律は、耐震偽装事件では消費者の保護ができなかったためにとられた政策で、いままで任意であったものを強制にすることで、今後あのような問題発生を防止するためのものです。

回答は小規模ではあるが住まい手との信頼関係を築き仕事をしている実務者が中心ということを前提としておく必要があります。法律の主旨は理解したとしても、実際に建築実務のそれぞれの経験からすれば、瑕疵担保履行法の被保険者になる必要性がないと考えている人達がほとんどです。10年保証ではなく一生保証という考えが作り手側の考えの根底にあるからです。

実際に法が施行され、運用されてみるとさまざまに問題点も浮き上がってきました。実務者側には手続きや検査のために費用と時間が取られ、本来の建物に掛けたいものが、僅かであっても取られてしまうことへの苛立ち。結局、消費者である住まい手に負担が行くことになってしまうこと。保険会社の設計基準も実務側から見れば建築基準法との二重規制を掛けられているという認識。いい加減な仕事をする者のために保険料を払うことの不条理など。このような現場の実感を解消するには、そもそも誰のための法律なのかというところから考え直すことが求められているように思われます。

回答の整理からは「瑕疵担保保険は任意でよい」という声が上がっています。

1. 瑕疵担保履行法に対する実務者の捕らえ方


①そもそも誰のための法律なのか

大事なことがカバーされていない。そのため本当に保証が受けられるのか不安である。
それは、免責等によって実質的に利用することのできない制度であり、施主の利益保護になっていない。
保険を使わない人が、保険を使う人の分の保険金を支払っていることに矛盾を感じる。
つまり、いい加減な仕事をする人のために、まともな仕事をしている人がお金を出しているようなものではないか。
「請負」という本質から外れている制度であり、施主、工務店ともに負担を強いられている。
住まい手の中にも不要と考える人はいる。
天下り団体づくり、メーカー対策でしかない。
保険を担当するたやめに利権団体、天下り団体を増やしているのではないかという厳しい指摘。
役人の立場保全のためのもの。
保険会社だけが儲かる仕組み。
勉強会などでの役人と保険業者の説明には、自己保身の説明が目立ち情けなくなったと手厳しい評価。
住まい手と信頼関係を構築している大工が建てれば10年以内に保険を適用する事態は発生しない。メーカーの手抜き工事を助長するだけ。
丁寧に仕事をしている施工者に失礼であり、悪者の尻拭いをさせる悪法である。

② 工務店は一生のお付き合いと考えており保証期間10年では家に対して責任はもてない

職人は、親方や兄弟子の手がけた家の補修も受継いでいくもので、法で縛られてすることではない。
「つくり手の自己責任」の問題である
ものをつくる側がつくったものに責任を持つのは当然と考えているため、瑕疵担保保険を「強制的に義務付け」ることには疑問がある。
国や保険会社に責任を持って欲しいとは考えていない。
機械が家を造っているのではない。住まい手と施工者が信頼関係を築き、その上で家は建つはず。顔も名前も知らない検査官に「合格です」と言われても「?」である。
郡部では顔の見える形で家づくりをしていることもあり、メンテナンスを含めて仕事ができている。瑕疵担保履行法は人間の関係性の薄いと言われる都市部だけでよいのではないか。
10年の瑕疵保証に何の意味があるのか?長期優良住宅と言っていることとつじつまが合わない。地域で活動している工務店は築後からもずっと長期保証である。

③ 施主判断の範囲ではないか(施主の自己責任)
・・・2)を前提として

今の家づくりに必要なセーフティネットではあるが、施主の自覚の下に施主が入るものではないか。
大手ハウスメーカーであれば安心という風潮の広がりで「発注者責任」を自覚できない建て主が多くなっている。
「建築主」=「消費者」の考えになっていることには問題がある。
外壁真壁など、保険会社が認めない仕様は免責となるが、施主が自己責任でそれを選ぶ場合には保険が意味を成さない。

④瑕疵担保保険は任意でよい!・・・①〜③を受けて

悪質な手抜きやミス、倒産に対する対処だけでよく、任意でよい。
施主と作り手の顔の見える関係で進められている現場に合っては必要ない。次元の低い話であり、任意の保険でよい。
施主に説明した上で、入る入らないの判断があってよい。
施主とつくり手の信頼関係があれば不要な制度。
責任の取れない設計や施工は自分の首を絞めることになる。
国民を子ども扱いし、制度に責任を負わせるのではなく住まい手とつくり手の責任と自由を担保する仕組みが必要。
他の法制度へ。あるいは利用。
施工者のみが被保険者であるところに問題がある。
設計ミスや施工ミスに対応する建築家賠償責任保険や工事保険を充実させ、施主に保険加入の情報開示を義務付ける。
売買契約と請負契約で内容を変えたら良いのではないか。
偽装事件は建築で扱うものではなく、商取引における詐欺事件ではないのか。

2. 瑕疵担保履行法の施行に伴って実務者が考える審査、運用面の問題点

① 伝統構法への対応ができていない

伝統構法には免責事項が多すぎる。
免責の場合には保険料も下げるべきである。
都市計画区域外など建築確認がいらないところで行っている石場立ての伝統構法住宅にも瑕疵担保がかかるため建て難い状況となっている。
免責事項が多くて施主に重要事項説明をするのが心苦しい。

② 建築基準法とのダブルスタンダードとなり規制強化となっている

建基法の存在意義を無くすに等しい法律となっている。
建基法と微妙にずれるところがあり、仕様を決めるときなど困る。
瑕疵担保の検査と建基法の検査の一本化は可能なはず。2重にかかる手数料などの見直しが必要。

③ 地域性、多様性に対する阻害要因となってしまい、「ものつくりの心」が薄れてしまう

保険会社の基準に引っ張られてしまうことは問題ではないか。
保険会社は安全な方向でしか考えていない。
地域で培ってきたやり方がある。
たとえば、雨漏りを考える場合でも台風の常習地域とそうでない地域で、一律の仕様ということはありえない。
建て主に喜ばれたいと思って仕事をしているのに、脇からこうしなくてはいけないと言われるのはいかがなものか。

④保険への不安や苦情

まともな仕事をやってきた者には保証される機会はない。なのに強制される変な保険でる。
保険の内容を詳しく読むと保険が下りることはほとんどない。
保証もしてもらえないのに書類など手続きが面倒である。
最終的には施主のためのことであるが、手続きや検査の対応など面倒が増えるばかりである。
施主直営工事(分離発注)の保険申込み対象は誰になるのか。建設業許可のない大工が行なうのか。建設業許可のある基礎屋が行なうのかなど問題がでてくる。

⑤免責でも保険料を払わなければならないのか

構法により免責事項が多かたりしても保険金が変わらず、値引きされないのは不条理である。保険料の見直しがあっても良い。
適用外(保険が支払われない)項目に保険金を支払うのはおかしい。
免責になる要件のために、わざわざ3条申請をしなければならないなんて、おかしい。

⑥各部基準に対して問題点と考えるところ

① 地盤・基礎
基礎決定に地盤調査や調査会社の考察に従わなければならないというのは、過剰に安全な基礎を要求される。
施主より委託されている建築士の判断を無視することになりかねない。
布基礎で十分な地耐力が出ていたのに、調査会社はべた基礎を薦める。ベタ基礎で十分なのに地盤改良を薦めるなど、過剰設計を要求された。
基礎は保険の適用外と聞かされたたが、あきれ返った。本当なのか?
設計段階で地盤調査を行なっていても、保険申込み時にも行わされた。ともに同じ業者ということもあるのではないか。一方で、危険そうな地盤に対しては対応がなされていないのではないか。

② 火打ち
梁桁に一律に火打ち梁を入れるように一律に指導されてしまう。
床板に厚板を使う場合、太い梁を渡り顎で組む場合には火打ち梁は入れられない。入れる必要がないのに要求されるのは理不尽。

③ 外壁
外壁をサイディングにした場合に雨漏りはわかるが、板壁なのに通気工法にしろと言われた。

⑦検査・検査委員に関して

検査機関が木造を理解していない。「荒壁を付ける」といったらそれだけで特別視された。
建築士として設計した住宅の各工程の監理をしている。この法の運用でも現場の検査がありますが、その検査員の募集は私たちに届きます。なんなんでしょう?
現場を見れば一目瞭然であっても、調査データのみでしか判断できない。
一級建築士の資格を持つ私たちの判断が認められないというのは何のための資格であるのか。
検査員、保険会社で言うことに食い違いがある。
各社ばらばらの内容でチェックされ、強要されることがあった。

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