14 建築士法・資格

担当:畔上順平(けやき設計)

「法・資格の改正」もあるが、木造を正しく理解し大工と協働できる建築士が必要

このテーマに回答しているのは98%が設計士・大工工務店の方でした。職業柄、現実問題に直面していることを感じます。逆に一般の方々にはあまり馴染みのないテーマであると思われます。

大きく括ると、「設計士の能力不足」を指摘する厳しい意見と「細かく厳格化するよりもある程度を設計士に任せてほしい」といった厳しくなった士法に対するテーゼを
唱える意見に分かれました。

1. 木造に特化したあらたな資格制度を
 提案と反対意見

「設計士の能力不足」を指摘する意見の中で、最も多く見られた意見が、「新しい階級の建築士を創設する」といった意見です。たとえば「木造一級建築士」や「木造構造建築士」など、木造に特化した建築士制度をつくり、木造を理解する建築士を増やすべきだというものです。

また、これに対しては反対の意見もあり、「現建築士の位置付けが空洞化する」といったものもあります。木造を理解する建築士を増やす方法として、「マイスター制度の導入」や「教育面での育成」「勉強会や話し合い」を積極的に増やしていくべきといった意見もありました。

2. 建築士に任せてほしい、建築士の仕事をさせてほしい

「細かく厳格化するより設計士にある程度任せるべき」といった意見が多く見られるましたが、その理由は2つあるようです。1つめは、「建築士の資格とは何なのか?」「どうせ責任を取るなら自由にやらせて」といった「建築士の存在意義」を唱える意見です。

2つめは、「様々なものが厳格化されたことによって生じる業務の増加」「書類の保存やデータの管理などに時間を取られる」「講習会などへの参加の増加」など、時間とお金のバランスが合わないといった意味合いの意見が多く見られました。

一部の建築士からは「値段の高い講習会は天下りの役人の給料になるだけだ」「建築士など取らなければ良かった」といったような苛立ちの声や、ネガティブな意見も見られました。

3. 伝統木造を伝えてきたのは、大工

一方、一部の大工からは「木造は大工が培ってきたもので、建築士ではない」「伝統木造を正しく伝えていけるのは大工しかいない」といったような、木造界において建築士制度が馴染めない風潮も根強いようです。

■まとめをしてみて

建築士法や資格を厳格化し、厳しくしていく必要性を訴える意見も多く寄せられたが、堂々巡りになってしまう危険性もある。士法がどんなに変わったとしても、良い木造建築が増えていくわけではない。

今回木造というテーマだけに絞れば、伝統的な木造建築を正しく理解し、大工と共に協働できる建築士が増えていけば良い木造建築が増えていくということではないだろうか? 少なくとも大工さん達からvs建築士的な意見が出ることは減っていくと思う。

伝統木造でも現行法に合わせた設計が必要であり、建築士が必要なのだから資格や法ということだけに捉われることなく、もっと実務的な面で建築士たちのレベルアップを目指すことが求められているのかもしれない。

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