木の家ネットつくり手が寄せたパブコメ

【意見募集の告知・時期・期間について】

和田洋子

和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)

せめて1ヶ月程度の期間の募集を

募集要項には「広く国民の皆様から、ご意見を募集」とありますが、「広く」という割には、募集期間や要項の告知がある頁がわかり辛いです。
せめて経済産業省のHP程度に、わかりやすくなるよう改善していただけないでしょうか。

募集開始日が、平成26年12月18日(木)14:30〜16:30に開催された第12回建築環境部会開催と同日で、国民からすれば「不意打ち」「唐突」感は否めません。当日の会議での配布資料3「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方の検討スケジュール(案)」でも意見募集は「12月下旬から1月中旬」となっており、実際の「12月18日から1月6日」とは大幅に異なります。

期間も、その他の多くの案件(任意の意見募集を含む)が概ね1ヶ月であるのに対して、土日年末年始の官公庁休日を除くと実質的に10日にも満たず、現在募集中の案件中では最も短く、参考資料を含めて骨子(案)を読み解き意見を出すには短すぎます。

「広く国民の皆様から、ご意見を募集」するのならば、せめて1ヶ月程度の期間、募集をお願いいたします。

綾部 孝司

綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)

今回の意見募集の時期と期間に関して無理があるのでは?

建築の省エネルギーに関することは、専門家のみならず一般生活者に関しても大変関心の大きい事柄です。まして金銭の負担や建築の仕様見直しを伴う内容だけに、混乱の起こらぬ様に多くの国民から意見を集める事が大切では無いかと考えております。

しかしながら、私自身がこのパブリックコメントの存在を知ったのは数日前。年末年始の多忙な時期を挟んでの意見のとりまとめに予定を変更しての対応となっております。パブコメ募集の趣旨から考えますと、時期と期間に関して無理があるのではないでしょうか。出来る事ならば期間の延長を望むところであります。延長をする事によって、内容をさらに拡充させる建設的な良い意見が集まるのではないかと考えております。

丹羽 明人

丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)

間の延長を

今回のパブリックコメント募集は12月18日から1月6日の20日間しか有りません。パブリックコメントを募集する本来の主旨からすると、国民が最も多忙の年末年始の短期間にあてることが不適切であることは明らかです。期間の延長を強く要求致します。

【はじめに】について

綾部 孝司

綾部 孝司 綾部工務店(埼玉県)

自然エネルギーやバイオマスエネルギーへのシフトを

化石燃料をエネルギーの中心ととらえるのではなく、自然エネルギーやバイオマスエネルギーにシフトしていく事も考慮するべきではないでしょうか。特に国土の70%弱を森林に持つ国として、住宅・建築のエネルギー源を見直す時期にさしかかっていると考えております。東日本大震災以降は、電力が断たれたときでも、室内の一定の快適性が保たれる事が重要であることがわかりました。技術革新は必要である反面、通風や日射、素材による快適性の確保などもう一つの方向性を見定める必要があります。

多くの家電を持たず、低エネルギーで暮らすライフスタイルを推奨してほしい

また、増加の顕著な家庭部門のエネルギーという表記に関して、昨年12/18に開催された社会資本整備審議会 建築分科会 第12回建築環境部会での配布資料家庭用エネルギー消費量に関するデータ(参考資料2)を拝見しますと、照明・家電・他に関する項目にて近年のエネルギー消費の伸びが突出しており、横ばいの暖房よりも早急な対策が望まれます。現実には多くの家電を持たず、低エネルギーで暮らしているライフスタイルも存在しており、これらを推奨する事の方が、よほど省エネルギーには貢献出来るのではないかと考えております。ご一考頂けます様お願いいたします。

川端 眞

川端 眞 川端建築計画(滋賀県)

エネルギーの需給構造の早期安定化と省エネとのどちらを目標に?あるいは両方?その比率は?

「特に東日本大震災以降、電力の供給力が低下する中で」とあり、エネルギーの需給構造の早期安定化を目指すのか、省エネルギー化を目指すのか、その両方なのか不明です。両方なのであれば、その比率をどのように設定するのか、目標を提示してください。

山田 貴宏

山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)

業務用の建築と住宅建築とは、性格が違うので、分けて議論すべき

「業務家庭部門」は、建築物として同列で扱っているが、業務用の建築と住宅建築とではその性格や社会的位置づけは全く異なる。

業務用建築はある特定の役割を果たすことが目的であるから、その建物の物理的性能をあげ規制することは理にかなっている。一方、住宅の省エネ性をも推進することにはもとより同意だが、「省エネ性」、特に「外皮性能」という単一な切り口の基準だけをもうけることで、住宅建築がもつ「多様な価値」がないがしろにされる結果になってしまっては本末転倒である。

議論のなかで、住宅建築とその他の建築は明確にわけて議論すべきであり、省エネ性の規定だけで、日本の建築文化が駆逐されることのないよう、精緻で丁寧な議論を望む。外皮性能以外のルートの評価方法も確保すべきである。

丹羽 明人

丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)

業務と家庭とをひとくくりにしないでほしい

「業務・家庭部門」と有るが、機能性優先の業務用建築と多様な生活の器である家庭部門建築は、建築物としては全く別のもです。しかし、それを一括りにして、「我が国の最終エネルギー消費の3分の1を占める」とする前置きはあまりにも雑駁すぎるのではないですか。多様な気候風土に根ざした多様な生活が左右される問題です。短気に駆け込むように進めるのではなく、きめ細かく、もっと丁寧に検討を進めることが必要だと思います。

家庭部門でのエネルギー使用量は、暖房・冷房は横ばい。抑えるべきは家電と給湯

家庭部門では、「原子力・エネルギー」図面集2012 1-2-12 の家庭部門用途別エネルギー消費量のグラフを見ると、1970年以降で明らかにエネルギー消費が増えているものは「家電」と「給湯」であることがわかります。一方、暖房・冷房についてはほぼ横這いです。「・・・喫緊の課題」とは、これ以上の建物の断熱性UPではなく、『家電』と『給湯』のエネルギー消費を抑える手だてを講じることではないかと思います。

1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(1) 建築物及び省エネ基準の特性に応じた規制的手法のあり方

【新築の際の基準適合義務化】

和田洋子

和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)

冷房なしなのに「居室のみ冷暖房」と同じ扱い?

建築物の省エネルギー性能を確保する事は重要課題だと思います。建築研究所が公開されているプログラムを試用したところ、細かく分類がされていて驚きました。

ところが、冷暖房設備を設置しない場合でも「居室のみ冷暖房設備」を設置するのと同じ消費エネルギーが計上されます。シックハウス法で「新築時にはなくても後から加えるかもしれない」という論理だと想像しますが、暮らしの主義として冷暖房設備を持たない、又は必要としない場合でも「居室のみ冷暖房」と同じ扱いになるのは、納得できません。シックハウス法のような不手際を繰り返さないで下さい。「なし」の場合は「ゼロ」にしていただきたいと思います。

家電の使用量は実態に沿った数値で

家電によるエネルギー消費量は「その他設備」に含まれているのだと思いますが、中上委員が参考資料2として提出された「家庭用エネルギー消費量に関するデータ」(「家庭用エネルギー統計年報2012年版」,住環境計画研究所)でも、2010年以降は給湯や暖房より家電・照明・他(以下、家電等)の方が高くなっています。試算でも給湯設備同等の数値が出ました。省エネ化を実現するには、家電の消費エネルギーも看過できないのがわかります。

しかし、家電消費エネルギーを床面積に面積区分による係数を掛ける方法で評価するのは、その他では細かい区分がされているだけに、乱暴な気がします。算定式から30平方メートルで12GJ、90平方メートルで20GJ、120平方メートル以上は一律21GJです。現実には、小規模住宅に住む単身者も多くの家電エネルギーを消費しているのではないでしょうか。家電の使用量は床面積より暮らし方に依る幅が大きいと思われます。電気回路数に比例するような基準にすれば、新築時に定量的に測れ、公平である程度実態に沿う基準になると思います。是非、ご検討をいただきたいと思います。

*資料番号:平成26年12月18日(木)第12回建築環境部会に於ける配布資料

「ライフサイクルを通じた」エネルギー使用量を考慮してほしい

平成24年の10月から11月に行われた「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準案に関する意見の募集」では、「建築物内における運用時のエネルギー消費量ではなく、その建築物について、製造・運搬・燃料確保の段階および廃棄物の処理の段階までトータルでのエネルギー消費量を評価すべきではないか」という意見に対して、「ご指摘のとおり、住宅・建築物のライフサイクルを通じたエネルギー消費量やCO2排出量の削減は重要な課題と認識しております。今後のデータや知見の蓄積を踏まえ、将来的に検討を進めていくべき課題であると考えております」とご回答をいただきました。

しかし、今回の骨子案を拝見する限りでは1(1)(検討趣旨)に「ライフサイクルを通じた」という文言があるものの、具体的には製造・運搬・燃料確保の段階および廃棄物の処理の段階までトータルでのエネルギー消費量は、反映されていないようです。住宅・建築物のライフサイクルを通じたエネルギー消費量やCO2排出量を考慮した検討を進めていただきたいと思います。

地域特性に合わせ、温暖地は外皮性能でなく、日射熱取得率のみの基準に

「建築物の省エネルギー性能を確保する際には、新築時に外皮・設備等に関し必要な対応を講じることが効果的・効率的である」ことは理解できます。しかし、新築時に外皮・設備等に関し基準を設けることが効果的・効率的であるという理由で、個人の暮らし方を限定し、外皮・設備費増大分の負担を強いるばかりが省エネルギーに繋がる道ではありません。義務化の際には、一律の基準ではなく、建築主の特性に合ったあらゆる選択肢をお願いいたします。

私は温暖な地域(区分6)に住んでいますが、この基準は都市部や寒冷な地域を標準として定められていると感じます。温暖な地方の農村部では、新築でも広縁や大きな掃出し窓で「内と外が緩やかに繋がる」要素を積極的に取り入れ、地域のコミュニケーション作りに一役買っています。こういった「和の住まい」が建てられなくなる事を危惧します。温暖な地域(6、7、8)では、断熱性能を上げるために窓を小さくすると、大きく開け放した窓からの通風が望めなくなり、夏はエアコンで涼を取ることになるでしょう。それは即ちエネルギー消費増大に繋がり本末転倒です。地域特性に合わせて、温暖な地域では日射熱取得率のみの基準にしていただきたいと思います。

杉原 敬

杉原 敬 大工のマイケル(宮城県)

住宅の快適な温熱環境は、室内気温だけでなく、輻射や蓄熱、通風に負うところも大きい。

平成25年省エネ基準では「暖房時の室温20℃」を条件としているが、輻射系・蓄熱系暖房では室温が20℃までいかなくても(16℃ぐらいでも)、身体があたったり、接していたりする面があたたまっていれば、十分にあたたかいと感じている。床暖房でも「頭寒足熱」床上15センチぐらいがあたたまっていれば温熱感としては満足が得られるので、地上1.5mの室温を20℃にあげるまでの必要はない。このように、どのような暖房方法を採用するかで、温熱感は異なるので「暖房時に室温20℃」は必ずしも省エネのための必要条件とはいえない。それよりも低い室温で満足感が得られ、それ以上にエネルギーを消費しないのであれば、省エネという目的は達成されるはずである。推奨法であればともかく、この基準を義務化していく方向であれば、家のつくりと暖房方法と住んでいる人の温熱感との相関関係を、より実態に即した形で調査するべきである。

夏の生活のしかたには「窓をあけて、通風を確保し、扇風機をまわす(外界をうまく室内にとりこむ)」方法もあれば、「窓を閉めて、エアコンを効率的に運転する(外界と室内を遮断して、内部を機械空調する)」方法もある。どちらを採用するかは、立地条件、住まい手の暮らし方などによるものであり、住まい手が自由に選択してよいはず。日本の温暖地では、むしろ前者の暮らし方の方が主流である。冷房エネルギー消費量でいえば、間歇利用する扇風機は、エアコンよりさらにエネルギー消費量は少なく、環境省の「家庭エコ診断」でも推奨されている。省エネ基準でも仕組みを加えるべきだ。

バイオマスエネルギーの評価を

この骨子案の「はじめに」にも書かれている化石資源から再生可能エネルギーへのシフト、CO2削減という文脈から、太陽光発電を採用する場合、一次消費エネルギー量の計算における設計一次消費エネルギー量から、発電量相当分を控除することが認められている。暖房における薪利用も、同様の主旨である評価を与えられてしかるべきであろう。暖房への薪利用は、太陽光による発電とは違って直接的にエネルギーを生み出すものではないが、せめて、薪ストーブ利用について、エネルギー消費量を「0」とカウントしてよいのではないか。

川端 眞

川端 眞 川端建築計画(滋賀県)

都市部や地方の開発地限定の規制に

建築物で消費されるエネルギー量の増大が喫緊の課題であると、らしい文言が書かれていますが、エネルギー使用の合理化を本気で考えるのであれば、まず、自動車の生産制限など、大量生産・大量消費から脱却する政策が第一です。また、建築物を規制するのであれば、集積度の高い都心部のみの規制で充分効果があると思います。ディーゼル規制と同じく、都市部のみ、地方であっても開発地に限るなど、効果的な規制のかけかたが大切です。何百年に亘って続いてきた安定した地域の暮らしを、薄っぺらで画一的な規制で壊してしまっていいわけがありません。

省エネは使用者の意識に負うところが大きい。外皮性能を上げても省エネには結びつかない

骨子案ではやたらと外皮の性能確保を重要視しています。しかし、一般的な建築物の使い方では床面積に占める居住室(空調を行う室)の割合は大きくありません。また、エネルギーの消費量のうち空調の占める割合も大きくありません。つまり、建築物にかかるエネルギー消費量は使用者の意識に負うところが大きく、外皮性能を上げることと省エネは直接結び付くことはありません。

基準適合義務化のあり方において、建築物の用途(住宅・非住宅)と書かれていますが、住宅のなかでも、持ち家と借家の違いは重要です。建築が住まい手の想いや建築家の自由な発想で造れなくなることは、建築文化の衰退に繋がり、絶対に避けなければなりません。

断熱性能は、義務化ではなく、性能表示制度でよい

基準に適合させる時期は新築時が望ましいとありますが、建築物の長寿命化の方法としてスケルトンインフィルといった概念が浸透しています。やはり断熱性能は一律に規制するものではなく、供給側がきちんと説明するといった性能表示制度とすべきだと思います。

山田 貴宏

山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)

住宅建築においては、外皮性能をあげることがエネルギー使用量の削減につながらない。別の評価軸の検討を!

以下、「業務家庭部門」のうち、「家庭部門」=住宅建築について言及。

住宅建築におけるエネルギーの増大、は主に家電製品の量的増加(一人一台)や単身世帯の増加によるところが大きい。実は単位あたりの暖房エネルギーの増加はそれほど大きくはない。よって、規制の検討のプロセスとしては、建物の外皮のみならず、社会的背景を俯瞰した上で、建物ハードの物理的性能のみに省エネの役割を担わせるのは順序が適当ではないと考える。

今回の規制は「外皮性能」+「一次消費エネルギー」の二本立てを検討されているが、外皮性能は主に暖冷房エネルギーの規制にかかわってくる。

暖冷房エネルギーを低減させる、という趣旨には賛成だが、外皮性能だけにその役割を担わせていることには疑問がある。全国の使用エネルギーのうち、住宅部門の暖房エネルギーの割合は5%程度であろう。外皮性能をあげることでその効果(恐らく1、2%程度)を考えるとき、メリット(暖房エネルギー削減)とデメリット(建築コストアップの住まい手負担増、単純な規制による建築文化破壊など)のバランスを丁寧に検討するべきである。省エネはしないよりしたほうがよいのは当たり前だが、大きなメリットが見込めない以上は、その他の価値を大事にするのは当たり前である。

業務用建築は、室内気候をある一定の温度湿度に管理する性格をもっているので、建物の性能として「外皮」や「設備」が重要になってくる。一方で、住宅建築については、外皮の性能も大事だが、その他の評価項目が多々ある。外皮性能だけで単純に基準がつくられてしまうと、多様な価値をもつ住宅建築が破壊されかねない。諸々のバランスのなかで、ある程度外皮性能も大事にしながら、その他の評価軸も丁寧に時間をかけて検討していただきたい。

評価の検討には住宅建築の現場と実際を知らない「学識経験者」だけではなく、「実務者」を中心とした検討をお願いしたい。

丹羽 明人

丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)

寒冷地か温暖地か、都市部か地方か。地域性に合った基準を

「新築時に外皮・設備等に効果的な対策を講じる」とあるが、寒冷地域から温暖地域まで、地域の気候特性と実状に沿ったきめ細かい基準の作成をお願いします。寒冷地では外皮性能を上げた全館冷暖房が是であっても、温暖地ではむしろ採涼採暖を進めるべきです。窓を締めきって機械制御する東京都市部とは大きく違って、通風や陽射しを取り入れたり遮断することでしのぐ地方の生活の実状に沿った家づくりも十分に評価されなくてはいけません。

改正省エネ法で「和の住まいのすすめ」はどうなる?

諸省庁が合同で出された「和の住まいのすすめ」は記憶に新しいところですが、「日本の町並み」や「日本人の暮らし」「暮らしの文化」がこの改正省エネ法によってどのように変わってしまうのかどうか。そのことも十分視野に入れた基準作成を望みます。

LCAサイクル評価を

「新築時に外皮・設備に関し・・・」とありますが、もっと幅広く、製造から使用、廃棄までを総合的に評価する観点も重要だと思います。木や土、竹などの身近に有る自然素材を、地元の職人で造る家づくりは、製造時のエネルギーも低く、廃棄時の環境負荷も低いことは明らかです。いわゆる「LCAサイクル」と同じような評価軸の導入も必要だと考えます。

【特例的扱いの対象】について

和田洋子

和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)

真壁造は、断熱材を入れないことを「敢えて選択」している

「省エネルギー化が困難な構造方法・建築材料を使用せざるを得ない建築物」として想定されている建築物に、真壁造も含まれますか。真壁造りの多くは「使用せざるを得ない」のではなく、意匠や暮らし方の希望を考えて「敢えて選択」します。住宅は性能や効率だけを満足すればよいというものではなく、意匠、使い勝手、住み心地、構造等あらゆる面からの総合的な判断に基づき設計します。高気密高断熱を是とした基準の省エネルギー化を果たすために、その他の面が果たせない残念な家しか建てられないという事態を招かぬよう、ご配慮をお願いいたします。

【伝統的構法の扱い】

和田洋子

和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)

外皮性能に頼らずとも省エネルギー化が可能な「和の住まい」は、高断熱・高気密を是とする基準での外皮性能は問わないでいただきたい

国土交通省が「和の住まいの推進」で提唱されているように「和の住まいや住文化の良さの再認識、伝統技能の継承と育成、伝統産業の振興・活性化等を図っていくことがますます重要」だと思います。もう一方で、建築物における省エネルギー化も重要な課題だと思いますが、この項の「伝統的構法の継承を可能とする仕組みを検討する必要がある」というのは、大いに賛成です。

平成 25 年経済産業省・国土交通省告示第1号「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」第2,1-2(3)では、真壁(土壁)の住宅も想定されていると思いますが、「所管行政庁が適切と認めた場合」に限られるので、各行政庁への適切なご指導をお願いいたします。

和の住まいや伝統的構法は、通風を重視し、深い庇、縁側、障子といった古くから日本で用いられてきた省エネルギーに貢献する要素が多くあります。そういう住宅の住まい手の多くは、化石燃料や建材、機械設備に頼らない省エネルギーな暮らしを希望するが故に伝統的構法を選択するのではないでしょうか。調査をしていただければ、伝統的構法には不向きな「全館冷暖房」より「必要箇所のみの局所冷暖房」や「採暖・採涼」を行っている実態が多く見られると思います。生産時消費エネルギーや廃棄時消費エネルギーについても、高断熱・高気密を実現するための建材を多用する住宅と比較すれば、格段に少ないはずです。

ただ単に「地域の気候及び風土に応じた住まいづくり」であるので外皮性能を問わないだけではなく、「外皮性能に頼らずとも省エネルギー化が可能」であるため、「高断熱・高気密を是とする基準での外皮性能は問わない」という道筋も作っていただきたいと願います。

義務化のあり方検討、解説書等、所管行政庁への指導にあたっては、実務者の意見を反映してほしい

平成24年の10月から11月に行われた「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準案に関する意見の募集」では、「伝統的木造住宅の省エネ基準の義務化のあり方については実務者の意見も聞いて検討を進めるべき」という意見に対し、「ご指摘も踏まえ、実務者の方々の意見も伺いながら、伝統的木造住宅の省エネ基準の義務化のあり方について検討を進めていく予定です」とご回答をいただきました。

また「土壁住宅などの伝統的木造住宅においては、断熱材を入れることが難しいため、外皮基準を除外する項目を明示すべきではないか」という意見に対し「『地域の気候及び風土に応じた住まい』には、土壁住宅などの伝統的木造住宅が含まれるものと考えており、解説書等において、その旨を明示していく予定です」とご回答をいただきました。実際、平成25年経済産業省・国土交通省告示第1号「エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」第2,1-2(3)に、「所管行政庁が地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切と認めた場合」は外壁、窓等に関しての除外規定が設けられています。

義務化のあり方検討、解説書等、所管行政庁への指導を、説得力と実効性があるものにするために、伝統的木造住宅の実践を行っている実務者の意見を反映できる仕組みを作って下さい。

山田 貴宏

山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)

外皮性能で一律に評価すると、伝統的構法がもつ多様な価値はないがしろになる

住宅建築の伝統的構法は、温熱環境的に弱い部分は今後も知見を積み重ねて改良していく余地があると思われるが、どうしても外皮性能という一律的な評価だけだと、伝統的構法がもつ多様な価値がないがしろになる。検討には十分な時間と議論を重ねて欲しい。

丹羽 明人

丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)

土壁ができなくなれば、日本の建築文化は滅びる

土壁は伝統木造に必須の要素です。外皮性能規定は「断熱材を入れる」ことを前提としています。断熱材の入らない土壁ができなくなる基準がすべてにかかるようになれば、日本の建築文化は滅びます。平成の時代に省エネのために日本の建築文化を絶やすことがあってはなりません。

伝統工法に携わる実務者も入れた検討委員会を

「伝統構法の継承を可能とする仕組みについても検討する」と有りますが、そこには是非、伝統工法に携わる実務者も入れた検討委員会をつくって下さい。伝統工法には千年を超える実績が有りますが、しかし、まだ学術的に確立されていないなかで、官僚や一部の研究者だけで議論が尽くせるものではないと思われます。

1 民生部門の省エネルギー化に向けた規制的手法のあり方関連
(2)段階的な基準適合義務化のあり方
2)義務化対象範囲の拡大に向けた対応関連

【住宅における義務化拡大について】

山田 貴宏

山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)

住宅については、義務化でなく、性能表示で

住宅建築については、「義務化」ありきの議論はしないでほしい。誘導策としては、「性能表示」だけでよい。あとは市場と住まい手と社会価値観が判断する。

【基準への適合性をチェックするプログラム等の改善について】

丹羽 明人

丹羽 明人丹羽 明人アトリエ(愛知県)

エアコンを使わない家庭、薪ストーブを選ぶ家庭に、正当な評価を

「基準への適合性をチェックするプログラム等の使い勝手の改善を図る」とありますが、扇風機を選択し、エアコンは使用しない家庭もかなりの割合で存在します。また、薪ストーブを選ぶ家庭も増えています。住まい手は、省エネの観点からそれらを選択し、また、生理的にそれらを好んでもいます。しかし、今出されているプログラムでは、それらが正当に評価されていません。この点は是非改善するべきです。

【建築主の特性に応じた規制のあり方について】

和田洋子

和田 洋子 一級建築士事務所 バジャン(岡山県)

建売りと注文住宅とを分けて考えるべき

人の暮らし方は様々です。特に住宅建設において、国が基準を設けて規制をする場合は出来る限り「建築主の特性に応じた」規制であるべきという姿勢は最もだと思います。

「誰が住むかわからない」建売住宅(分譲マンション含む)の場合には「最大公約数的」「平均的」な規制があっても良いと思いますが、個人が特定される注文住宅においては、行き過ぎた規制は国民の豊かな暮らしを阻害しかねません。外壁や窓の断熱性能が低い住宅で「全館冷暖房」をするのはエネルギーの無駄遣いですが、消費エネルギーを抑えた暮らしを選択する自由もあるべきではないでしょうか。例えば、炬燵や扇風機で採暖採涼、家電や照明も最低限という方法での省エネ生活を望む建築主にとっては、法によって、望む暮らしが有無をいわさず阻止されてしまいます。

具体的には、「高気密・高断熱+全館冷暖房」のみを是とせず、採暖・採涼も認めながら、丁寧な規制を望みます。

単身世帯では、局所冷暖房・採暖採涼の方が省エネでは?

また、これから増えるであろう単身世帯や二人世帯も考慮すべきではないでしょうか。少人数の場合、特に温暖地では「高気密・高断熱+全館冷暖房」より、局所冷暖房や、炬燵・扇風機等による採暖・採涼の方が、はるかに省エネルギーに貢献すると思います。高額な費用を掛けて外皮性能を高くし、誰も居ない部屋まで冷暖房するのは費用もエネルギーも無駄使いです。

2 新築時の高度な省エネルキー対応、既存建築物の省エネ性能向上、エネルキー使用の合理化を誘導する方策のあり方関連

[外皮性能の確保] について

山田 貴宏

山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)

住宅建物の温熱環境は外皮だけで成立するものではない。あたたかい=健康とも限らない

外皮性能については、もっと精緻で丁寧な議論をお願いしたい。外皮性能をあげれば熱貫流率が下がるのは当たり前のことであるが、住宅建物の温熱環境は外皮だけの単純な仕組みだけで成立しているとは考えにくい。特に住宅という暮らしの場での、現在の温熱環境の研究はまだまだ解明すべき点が多々あると思われ、今後そうした研究、知見を重ねた上で、基準を検討すべき。時期尚早。

健康面にも言及されているが、「あたたかい」=健康 本当かどうか?いい面もあれば、デメリットもあるのではないか?非常に難しい問題であるゆえ、これもまだ医学的な見地からの研究がまだ必要であると思われる。

[(3)その他(都市の低炭素化等に向けた取組みの推進) (検討趣旨)  について

山田 貴宏ビオフォルム環境デザイン室(東京都)

「スマートウェルネス住宅・シティ」は社会的コンセンサスを得た価値観ではない

「スマートウェルネス住宅・シティ」とは?そんな造語はまだ社会的に認知されていないのではないか?響きの良い言葉でなんとなく方針が決まるのではなく、社会的コンセンサスを得た価値観とことばをつかっていただきたい。