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古川 保の熊本市川尻町 震災日誌

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4月29日(金)

土蔵の大壁
危険度判定では「全壊」だが、構造的には「半壊」

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木構造で筋交や合板は硬く、土壁真壁は柔らかいと言われている(異論もあろうが)。土蔵の大壁はどっちだろうか。硬い方に属すると思う。硬くても変形性能のある柔構造と同じく倒壊をまぬがれる。30㎝もある土壁は震度6強に地震に対して半分に割れて15㎝の土が落ちた。中の丸竹は土を保持するための役目で構造強度はない。内部の土壁はヒビだらけだったので、それ以上の損傷はない。土壁が半分落ちたので、重量は60㌧が30㌧の半分になった。残りの土と貫と柱で地震に耐えた。それで倒壊は免れた。危険度判定では「全壊」とされてしまうが、構造的には「半壊」である。人間の片肺と同じで充分存命できる。今から人造片肺を埋め込む。宮本繁雄の発案である。モデルは我が事務所。

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4月29日(金)

足の踏みはずし
礎石の上に柱を置いた石場建ての家は、地震で動きます

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足を踏み外した家である。伝統構法検証委員会で、ある委員から柱の足の踏みはずしは絶対いけないと言われ続けた。柱が石やコンクリートから踏み外すと土部に刺さり、家が転倒するそうだ。当時はそうかなと思っていたが、震災ではそうではなかった。家の廻り1mは、人が良く歩き回るので、土でも結構締め固まっている。2mも踏み外して畑に刺さるなら別だが。

4月28日(木)

4/30(土)-5/1(日)
ボランティアのお願い
屋根に上がれる大工さんを募集します ※募集終了しました

今週末に、熊本市川尻の「瑞鷹酒造所」の初期の蔵である大藏の瓦を撤去します。瑞鷹酒造所は「伝統の町かわしり」の町並みやコミュニティの中心的な存在であり、その築100年の土蔵に、古川設計室は事務所を置かせてもらっています。

大蔵の解体にはプロの手が必要ですが、地元の川尻の職人グループ「川尻六工匠」は家族経営で、身のまわりの修繕で精一杯です。人手が足りません!屋根に上れる大工さん、お忙しいとは思いますが、お助けください。あと二回の行動計画で、瑞鷹の酒造所の一応の手立てには、目途がつきそうです。

【仕事内容】瓦撤去、野地板張り、ルーフィング・ブルーシート張りり 他
【日時】4/30(土),5/1(日)
【宿泊場所】瑞鷹酒造の会議室。寝袋持参。テントあり。
【集合場所】9:00 古川設計室 現地集合
【住所】熊本市南区川尻4丁目10-5
【必須用具】ヘルメット、作業靴、雨具、寝袋
【連絡先】FAX:0946-21-5076、メール:yuuzansou@h2.dion.ne.jp(悠山想 宮本)

4月28日(木)

石場建ての足元
木と石、どっちが強い?
柱は動き、石パッキンが礎石を守った

なぞなぞです。木と石はどちらが強いと問えば、誰でも石と答える。石にも種類があり砂岩等は弱いので、石も種類しだいと言うだろう。では、杉の木と御影石ではどうかと問えば、100人中99人の人が、石が強いと答えるだろう。

瞬間的な荷力を受けて、木は若干のクッションで衝撃を吸収したが、礎石と柱の間においた石のパッキンは、衝撃で粉々に割れてしまった。(25㎜であるがもっと厚ければ違うだろう)。カナズチの柄が木で衝撃を吸収する原理と同じだろう。

逆に、石の替りに25㎜の鉄にしたらどうなるだろうか。そうすると、木の柱に被害が出る。の角に裂け目が入ると思う。振動台実験の時、確か柱に亀裂の損傷が出た。どういう条件だったかは忘れた。(後日修正します)

石場建ての礎石と柱の間に置いた石パッキンは水を柱が吸い上げない効果と別に、トカゲのしっぽ切りと同じく、柱と礎石を守るために役立つ。石パッキンは壊れやすいが交換がしやすい。足固めをジャッキで上げて交換すれば300円ですむ。

4月27日(水)

大工さんたちの支援が新聞に

昨日の夕刊に載った、前回のボランティアに大阪から駆けつけてくれた羽根建築工房の大工さんの記事をご紹介します。

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4月27日(水)

土蔵造りの事務所の外と内
伝統構法だから弱いのではない

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わが設計事務所は100年経過した土蔵の建物である。屋根は90年目に瓦を替えたが、構造壁は変えていないので、100年前の相場の耐震基準でつくったと思ってよい。スジカイの壁倍率換算でいえば延べ面積×20ぐらいの基準だろう。現在は、延べ面積×33である。土蔵の家が弱いのではない。伝統構法の家が弱いのではない。設計基準を昔は低く見ていたのだ。言っては悪いが、洋風建築のジェーンズ邸が倒壊した。その隣に私が設計した家は、瓦1枚落下しただけだ。西洋建築と伝統建築の違いではない。設計基準を20にしたか33にしたかの違いである。

我が事務所の土蔵は耐震性が低いと織り込み済みだったので、蔵の中にシェルターを仕込んでおいた。6方体のフレームを入れ込んで、建物は崩れても命は守る考えであった。

震度6弱の時、私はそのシェルターの中に居た。イーディフェンスの振動台実験と全く同じ揺れだった。机の下に隠れた。日奈久断層が破裂したと思った。ものすごい揺れだったが本棚は健全で棚に並べていた模型は一つも落ちなかった。不思議だ。震度6弱と6強の二つの地震を受けて模型が落ちないとは、腑に落ちない。

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4月26日(火)

9万人の避難
続く余震、どれが本震だか分からない不安

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全員が家に住めなくて避難しているのではない。家が損傷し住むのに危険な状態な人は、確かに2万人前後は居る。残りの8割の人は「余震」への恐怖である。映像に映る8割の人は本当の難民ではない。家に帰れば冷蔵庫にはビールもあるし、暖かい布団もある。9万人と別に、車の中で避難している人も同数以上は居る。私の知り合いはほとんどが車中泊避難だ。

今回は「本震」の前に「前震」と発表され、どれが本震か分からない。ひょっとしたら本当の「本震」が次に来るかもしれないという学者さんもいるものだから不安なのだ。これから先、預言者がたくさん出現するでしょう。「本当は予言したが混乱するので発言しなかった預言者」がたくさん出てくる。その預言者に「本震」を当てて欲しいものだ。

「本震」が出現して「余震」は段々小さくなり、危険な余震は1週間というが、「1週間は、予断は許さない」と気象庁の記者会見があった。14日から数えて1週間が過ぎた。そして「1週間は、予断は許さない」と又、気象庁の会見発表である。みんないつまで続くのかと不安がった。そのうちTVの記者会見が放映されなくなくなった。避難所から人々は、家に帰り始めた。私も農業高校の体育館で9日間過ごした。今日帰るが、寂しいような気もする。キャンプ気分で結構楽しくも思えた。10日ぶりに風呂に入るが、10日風呂に入っていないが臭いとは思わない。自分が臭わないだけかも。

4月25日(月)

応援隊、瓦をおろす
瓦を批判しないでほしいのです!

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本日も40数名の応援隊の作業だった。そのうち15人は大阪の羽根建築工房の人たちだ。トビ職でもない。瓦職でのない。普通の大工だ。雨の中の軽業士。一般的に行われる被害瓦にブルーシートを掛けるのは1次しのぎである。建物が大きいので補修には長期化する。復興が早く進むようにと、瓦を全ておろし、葺き土をおろし、杉皮まで降ろした。そしてブルーシートを掛けた。施主の要望はシートかけ程度だったのに、大工職の判断で行った。シートを被せるだけの10倍の手間だ。

もうひとつ、土壁補修のモデルを早く造っておこうということになった、土蔵の本来の補修にはお金と期間が掛かる。短期間で簡易改修法を考えようということになった。土蔵の耐力を土壁には期待せず、足場板で板耐力をとることにした。足場板を3尺毎の通し柱に縫い付けるのである。福岡の建築工房 悠山想の宮本氏の考えである。この試行を瑞鷹全体の建物に広めていく。(写真は後日)

瓦が弱いのではない。100年もつ屋根材が瓦以外にあるだろうか。130年前の耐用年数を過ぎた瓦が今壊れただけだ。批判しないでほしい。

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4月24日(日)

瓦屋根だからダメなのではない
ガイドライン以降の施工事例の瓦は、落ちていない

地震や台風の後は、瓦屋根がいつも批判に晒される。神戸では瓦屋根の家は極まれと聞く。瓦屋根は本当に地震に対して不利なのだろうか。家の重さは重くなるので、比例して耐震壁はその分増やす。瓦屋根の施工仕様にはガイドラインがある。ガイドラインは地震対策ではなく、主に台風対策で、地域の風荷重に1.6(不確かさ)を掛けたものである。よって、台風常襲地の九州では、留付け施行は厳しいガイドラインになっている。

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震度7を2回受けた激震地の建物である。建物は80㎝ずれているものの上部構造は至って健全である。瓦の被害はない。赤紙は貼ってあるものの、傷みは少ないので修復可能だ。ガイドライン施行前の仕様での施工はまずかったと反省しよう。施行前と施行後では被害は1対10ぐらいの開きがあると認識して、瓦を見よう。

4月24日(日)

応援隊が入る
アピールしたい瓦屋根の修理のしやすさ

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福岡の建築工房 悠山想の宮本繁雄さんが、木の家ネット、民家再生協会伝統木構造の会、に応援を呼びかけた。大工塾のメンバーも加わり、70名近くの応援の要請があったが、受け入れ体制がとれていないので、46名に減らってもらった。名古屋、高山、大阪からの応援部隊だ。主に瑞鷹酒造の応急処置をメインにしてもらった。瓦屋根の家の被害は多い。そのことで伝統構法は駄目だという烙印が押されたら困るので、修理のしやすさをアピールしなければならないという思いからである。

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