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熊本震災調査レポート

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宮本 繁雄

悠山想 (福岡県)

熊本地震 ボランティア活動の経過

地震発生から、応援要請まで

4月14日(木)

熊本県で地震発生。古川保さんのご子息、亮君へ電話する。
「上棟後で呑んでいました」と余裕のある返事に一安心。

4月16日(土)

未明の就寝中、飛び起きる。“地震”ここは二階だから圧死はなかろうと踏む。東西方向への揺れ。11年前の福岡県西方沖地震より大きいとの印象、揺れが長い時間続いた気がする。

4月17日(日)

古川亮君より電話、前回の余裕はない。父上、保さんも元気がないとのこと。17日中の水と食料はあるが、18日以降の分が不足のため応援要請。

大分県中津市の大工、橋本さん(伝統木構造の会)より電話。熊本市内に向かっていたが、阿蘇方面で道路決壊のため途中で引き返したとのこと。橋本さんと18日の応援の件を打ち合わせ。飲料水用のポリタンクを購入するためホームセンターをまわるが、どこも売り切れで在庫なし。農業用のタンクを購入し、計800リットルの飲料水を準備。水を使わずに済む食料(まだ現地は断水状態が続いたため)を確保し、明日への準備を終える。

4月18日(月)

息子と共にトラックにて熊本市内へ。途中、道路の凹凸や屋根のブルーシートが目立つ。亮君の案内で、橋本さんと共に近隣の方や支援活動の中心となっている地元の方々、ラーメン屋さん、デイケアセンターへ水と食料を届ける。
その後、古川設計室の事務所(「瑞鷹酒造」の土蔵のひとつ)と瑞鷹酒造の本蔵を見る。

どうする…。瑞鷹が被災した建物を壊すという…どうする…

この、川尻地区のシンボルであり町並みを形成している瑞鷹がなくなっては、川尻はどうなる…。古川さんと話をし、全国への支援を訴えることにする。


以上が、各方面へ支援を要請するまでの経緯です。その後、全国からの様々な反応を戴き、心強い支援に助けられ感動しました次第です。具体的な支援の様子は、特集記事「古川保の震災日誌」にて紹介していますので割愛しますが、その中で私の印象に残ったものを以下に列記します。

瓦と壁土が落ちた「瑞鷹酒造」の土蔵を直す!

まず「瑞鷹酒造」の建物群の被害状況は、瓦と土蔵の壁土が落ちていますので、見た目には酷いのですが、土蔵の被害としては当然かと思いました。生物劣化(蟻害と腐朽)による柱の強度低下と耐震補強をどうするかが課題だと感じました。酒蔵・土蔵棟に比較して住居棟の被害は瓦が落下している程度で、これは土葺きであれば仕方がありません。ちなみに、隣にある「ガイドライン工法」で葺いた瓦は落ちていません。

土蔵は少し傾いていますが、130年以上経った建物としては立派なもの。修復・再生はそう難しくない。私はそう見たのですが、やはり当事者である瑞鷹の方々は、今後の再建に悲観的でした。

4/23-24:第一弾ボランティア

しかし4月23日、24日の第一弾のボランティア集団の活躍、特に大阪から駆けつけて戴いた羽根建築工房の総勢14名の仕事ぶりには目を見張るものがあり、私達のみならず瑞鷹の方々にも感動を与えたようです。

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写真1:「瑞鷹」の建物の屋根の応急処置
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写真2:昼食の風景

延べ46名の有志、瓦職人、左官、大工、設計者そしてユニック、クレーンのオペレータとの連携した仕事が、二日間で古川事務所、瑞鷹の姿を大きく変えました。23日の夜、夕食の前に我々の前でお話しされた瑞鷹酒造副社長のお姿は忘れられません。希望とやる気を甦らせた瞬間でした。いつもの古川節も戻り、その場は和みました。

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写真3:夜、かけつけたみんなと語り合う古川さん。中央に座っているのが、宮本さん。

4/30-5/1:第二弾ボランティア

その翌週4月30日、5月1日の第二弾のボランティアでは、名古屋から江口材木店の4名と長野の三浦創建から女性大工、門馬さんも駆けつけて戴きました。大卒3年目の門馬さんは、橋本さんや宮崎の大工、中村さんからの評価が非常に高く、「男どもはこんままじゃ数年後に追い抜かれるばい!」と檄が飛んでいました。

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写真4:5月8日の瑞鷹

この時点で、「職人がつくる木の家ネット」、「伝統木構造の会」、「日本民家再生協会」、「大工志の会」(大工育成塾卒塾生有志)、「九州大工塾」(建築家丹呉明恭さんの繋がり)と連携の輪が拡がっていました。

ここで初めて会った職人、設計者同士が、伝統構法の火を消してはならんの一点でまとまり仕事をこなしていきました。そこには何の違和感もありません。

瑞鷹の営業拠点である「東肥蔵」の瓦屋根の修復が終わった時には、瑞鷹の社員の方から拍手が巻き起こりました。なかなか私に笑顔を見せて戴けなかった専務も、この時ばかりは満面の笑みを返して戴きました。再建を確信した瞬間でした。

5/7-8:第三弾ボランティア

第三弾のボランティアを7日、8日に行い、やり残した仕事を終わらせました。一連のボランティア参加者は延べ200名を超えました。古川事務所の耐震補強が若干残りましたが、あとは地元の職人集団「川尻六工匠」へとバトンを繋ぎます。私達の現段階でのボランティア活動は、ひとまずここで終了します。

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