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「伝統木造のこれから」住宅瑕疵担保責任保険、伝統構法の扱いは?

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保険のしくみ

住宅瑕疵担保責任保険のしくみ

新築住宅の売り主または建築を請け負ったつくり手は、その住宅を買った人または発注した施主に対して、引き渡し後10年間、瑕疵担保責任を負います。瑕疵が見つかれば、住まい手はつくり手または売り手に、補修や補修期間中の仮住まいの費用などを要求できます。つくり手または売り手は、供託金を法務局に預けておくか「住宅瑕疵担保責任保険」に加入するか、補修費用を確保します。

瑕疵が見つかって補修が必要となると、住まい手はつくり手である建設業者に補修等を要求します。建設業者は着工前に瑕疵担保保険に強制加入し、保険金を保険法人に納めていますので、瑕疵が発生した場合には、保険金請求の手続きをすれば補修費用が保険金として保険法人から建設業者に支払われます。

仮につくり手または売り主が倒産してしまった場合でも、供託金または保険法人から、その費用は住まい手にきちんと支払われます。


出典:「資力確保に関するお知らせチラシ」(平成21年3月 国土交通省 住宅局 住宅生産課住宅瑕疵担保対策室より、業者向けパンフレットとして発行)
全文はこちらよりダウンロードできます

Q 分離発注の場合は?
A 工務店が元請けとなるのではなく、施主が直接各職と契約する直営方式の場合、関わる職人のうちひとりが代表して保険に加入する。(ただし、建設業登録業者がいない場合、住宅瑕疵担保責任保険に加入する必要はない)

Q 建設業登録をとってない場合は?
A 住宅瑕疵担保責任保険加入の対象となるのは建設業者、宅建業者。業者登録していないつくり手は、加入する必要はない。

Q セルフビルドの場合は?
A 加入の必要はない。

住宅について専門知識をもった、国交省大臣が「住宅瑕疵担保責任保険法人」として指定した保険法人だけが、この「住宅瑕疵担保責任保険」を運用することができます。現在は次の5社が以下のような「住宅瑕疵担保責任保険」を扱っています。下記をご参照ください。


(株)住宅あんしん保証
あんしん住宅瑕疵保険

(財)住宅保証機構
まもりすまい保険

(株)日本住宅保証検査機構
JIOわが家の保険

(株)ハウスジーメン
住宅瑕疵担保責任保険

ハウスプラス住宅保証(株)

保険料はいくら?

保険料はいくらぐらいなのかというと、保険法人によってまちまちですが、床面積120平米程度の住宅一戸あたり、6万〜9万円台です。保険法人によって、新規加入時に事業者届出料があったりなかったりします。下記の表も、日々変動していくことと思いますので、最新の情報については各ホームページであらためてご確認ください。この金額を誰が支払うのかというと、保険法人に支払うのは保険加入者となるつくり手、または売り手です。しかし、家を建てるために不可欠な費用ということになるので、結果的には住まい手が支払う住宅の請負金額や購入金額に上乗せされることになります。


出典:「資力確保に関するお知らせチラシ」(平成21年3月 国土交通省 住宅局 住宅生産課住宅瑕疵担保対策室より、業者向けパンフレットとして発行)

保険の場合、保険料は「掛け捨て」となり、瑕疵が発生しなくても戻ってくることはありませんが、供託の場合は、10年間が過ぎれば、供託金は取り戻せます。年間の引き渡し戸数が増えていくごとに供託金の総額は頭打ちになっていくので、マンションデベロッパーや大手住宅メーカーでは供託を選ぶところもありそうです。

建設業者の年間施工戸数 1戸当たりの供託金
5戸 560万円
100戸 100万円
1万戸(=住友林業クラス) 4.4万円
3万戸(=積水ハウスクラス) 2.7万

火災保険や地震保険などとのちがい

住宅にかかわる保険というと、瑕疵担保責任保険以外に「火災保険」「地震保険」などがあります。それらと比較することで、「住宅瑕疵担保責任保険」の特徴をよりよくご理解いただけると思いますので、いくつかのポイントを説明します。

1)加入者は建設業者(つくり手)または宅建業者(売り手)である

加入者となるのは、住まい手のみなさんではなく、建設業者(つくり手)または宅建業者(売り手)です。木の家ネットでいうと、具体的には工務店が加入者とります。設計事務所ではない理由としては、国交省のQ&Aには「紛争となるケースでは、請負業者が訴えられることが大半だから」とあります。

2)強制加入である

品確法しかなかった頃には、「瑕疵担保責任」は義務づけられていたものの、その履行責任を担保する手だてまでは義務づけられていませんでした。そこを義務づけるのが今回の「瑕疵担保責任履行法」ですので、その住宅に瑕疵があった場合に使う供託金(1棟の場合2000万を法務局に供託)を預けない限りは瑕疵担保保険に強制加入となります。「クルマに乗る人は事故を起こさない人であっても、万一ということがあるので、すべての人が自賠責保険に加入する。それと同じです」と、国交省では説明しています。

3)扱うのは、「構造耐力上主要な部分」
「雨水の浸入を防止する部分」である

住宅にはさまざまな要素がありますが、この保険で扱うのは「構造耐力上主要な部分」および「雨水の浸入を防止する部分」です。(品確法が対象にしている分野をそのまま引き継いでいるわけです)

「構造耐力上主要な部分」とは、「住宅の基礎、基礎ぐい、柱、小屋組、土台、斜め材(筋交い、方杖、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版または横架材(はり、けたその他これらに類するもの)で、住宅の自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧、水圧、地震その他の震動もしくは衝撃を支えるもの」、「雨水の浸入を防止する部分」とは、「住宅の屋根もしくは外壁またはこれらの開口部にもうける戸、わくその他の建具」「雨水を排除するため住宅にもうける配水管のうち、住宅の屋根、外壁の内部、屋内にある部分」を指します。

ですから、たとえば「水回りのトラブル」「キッチンでとりつけた設備に不具合がある」というのは、住宅瑕疵担保責任保険の対象とはなりません。民法634条〜640条「請負人の瑕疵担保責任」の範囲で扱われます。


義務付けされる資力確保の範囲(部位) 出典:「よくわかる新法解説ガイド 住宅瑕疵担保履行法」p13

4)建物そのもの瑕疵に起因することしかカバーしない

火災で焼けてしまった時にはこの保険が使えないというのは容易にイメージできるかと思いますが、「シロアリが食った」「台風や暴風雨で雨漏りした」「地震で傾いた」という場合はどうなると思いますか?

正解は「保険金はおりない」です。なぜおりないかというと、この保険が扱うのは「建物そのものの瑕疵」に限られているからです。台風や地震、シロアリなどによる建物の損害は、建物そのものだけで発生するのではなく「外からのインパクト」があってはじめて発生するものです。繰り返しになりますが、瑕疵とは「ある物に対し一般的に備わっていて当然の機能が備わっていないこと。あるべき品質や性能が欠如していること」です。

前の項でこの保険は主に「建物の構造」「雨水の浸入」という2点を対象とするということを言いました。地震や台風は「外部からのインパクト」です。そこまでは住宅瑕疵担保責任保険はカバーしていません。「ただ立っているのに家が傾いて来た」とか「普通の雨なのに建物内に水がたまる」という場合は「当然備わっているべき機能の欠如=瑕疵」ととらえ、住宅瑕疵担保責任保険の対象となる、というわけです。なお、どういう時には免責(保険金はおりない)となるかは「重要事項説明書」に書いてあります。(リンク先は住宅保証機構の例です)

また、少し分かりにくいのですが、その建物の性質として「備わっていなくて当然」な、建物の性質上引き起こされる損害が発生したら、それについても、「瑕疵ではない」ということで、保険金は出ません。これを保険用語では「無責=保険金を支払うケースではない」と呼びます。じつはここに土壁や真壁を採用する伝統構法にかかわる問題が出てくるのですが、これはあとのページで詳しく触れます。

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