1 2 3 4

つくり手の声:暑さ寒さとつきあう知恵

Pocket

基本は風と日差しとのつきあい方

さて、それでは、どのようにして「複合的に」暑さ・寒さとつき合えばよいのでしょうか? まずは、ほとんどの回答を占めた暑さと湿気対策について、まとめました。かいつまんでいうと、軒を出して夏の太陽をさえぎり、家の外から内へ、そして外へと蒸し暑い空気が抜けていく風の通り道をつくること、そして自然素材の調温調湿機能を引き出す、ということでした。

基本的なアウトライン

当たり前のことばかりですが、冬の日射を入れ、夏の陽を遮る庇の出。屋根通気、各室及び家全体の風通し。すだれや植物による遮光。開口部は雨戸、ガラス戸、障子、襖などの建具を複合的に組み合わせて室内気候を調節すること。熱容量の大きい材料、ボリュームのある木材、土壁、漆喰等の塗り壁を室内側に露出させて多く使う。

東京、長谷川さん

長い庇を造り、風通しの良い間取りを考えるという昔の日本の住まいの形をそのまま踏襲すれば、日本の夏とはうまく付き合いえる。これでかなりの不快感から逃れることが可能です。

滋賀、岩波さん

空気の流れを作り、日射を遮ることで暑さをしのぐ。

埼玉、宮越さん

風通しと庇による日照の調整。室内の調湿機能を高める土や木材などの自然素材だけの室内の内装。

愛知、大江さん

以下、みなさんの発言を、要素別に整理してみました。


[1]なにで作るか?湿度を吸収する自然素材。蓄熱性と気化熱を期待できる土壁。

素材

調湿効果のある素材で造ることです。 杉や檜の無垢板と土壁。これが一番です。

愛知、丹羽さん

とにかく多湿な我が風土では、ビニールに包まれ、塗装されたフローリングでは湿度の高い日には室内はべとべとします。それらと比べて、やっぱり木の家は最高ですよ。ほどほどの断熱、気密、しっかり通風の私の事務所で比較体験済みです。

東京、林さん

ナイロンの肌着と木綿の肌着を着ればとどちらが爽やかかと問えば、全員木綿の肌着と答える。吸湿効果で体感湿度を下げるからだ。最近の住宅は結露防止対策で、部屋内にビニールを目貼りする。ナイロンの肌着を着ているようなもの。珪藻土で吸湿効果があるという人がいるが、下地にビニールがあれば効果薄。 image古川さん自作の実験装置。右側がビニールクロスを貼ったもの 木の家と、ビニール目貼りの家を比較するに、実験装置をつくった。内装に木で仕上げた箱と、ビニールクロスを貼った箱に、夫々、人と見たてたお湯を入れて比較してみた。木で仕上げたもの方がビニールで仕上げたものより湿度は12%低い。木の箱が吸湿効果が高い証明である。この木綿の肌着や木の仕上げと同等の建築内装材は、三和土・藁畳・漆喰・板壁である。なんだ、昔の日本の家だ。

熊本、古川さん

湿度を下げるため、素材は土壁、杉を主とする。

山口、久良さん

無垢材、漆喰等で仕上げる室内環境の心地良さ(蓄熱性、湿度の調整等)

三重、高橋さん

土壁

image 温湿度調整をしてくれるので、私は土壁を「働く壁」とは呼んでいます。「耐力壁」としての機能を主として考えられる方、土壁の質感やナチュラルなイメージ素材として扱われる方など多様だと思いますが、私にとっては土壁こそ住み心地の良い室内環境をつくってくれる最高の素材ではないかと思っています。また、国産杉材をつかった貫構造は、土壁実現のためにも必須。また、土壁にすることで準防火地域でも(高価な防火処理をした木材を使わずに)下見板張りとできるのはうれしいこと。

東京、林さん

壁というものを見直し、土壁の家作りに取り組んでいます。

三重、高橋さん

壁の断熱に関しては土壁を基本に考えます。構造体としての耐力壁でもあることと、壁の中からの水分の蒸発時の気化熱によって室温の上昇が抑えられるため、土壁を。高温多湿の地方には有効な壁。

愛知、中村さん

土壁の熱容量の効果は、 冬にも夏にも効果的に働いてくれていると実感しています。

愛知、丹羽さん

三重地区では、まだまだ「荒壁」が、減ってきてはいるものの、普通に施工されています。資源そのものの循環にもなるし、荒壁の「夏のひんやり感」は、温暖化の中での、いろんな意味で救世主です

三重、池山さん

残念ながら、費用の関係で土壁の蓄熱性能を活かすはできていませんが、余裕があれば土壁の蓄熱性能を活かすことが出来れば、夜と昼との熱の移動を平滑化することも可能になります。

滋賀、岩波さん

長野県臼田で、小舞土壁とラスモルタル漆喰塗りとの二重外壁にし、両者の間に閉じ込めた空気層をもうけた家を建てました。壁は断熱材なし、メイン暖房はいずれも全館サンポットストーブ1台でまかなっています。冬、ストーブを前の晩10時ごろ消しても、朝、例えば外気温?10℃位の日、室内は10℃を下がらないとのこと。ちなみに、同じ仕様の家を横浜市保土ヶ谷区でもつくったところ、夏の昼外気温34℃、室温32℃でもクーラーなしで過ごしているとのこと。土壁が湿気を吸ってくれるせいか耐え難いということはないそうです。 暑さにつけ、寒さにつけ、土壁は熱容量が大きく快適な室内環境をつくるには絶好の材料です。一部の地域を除いて、手間や技術、材料等の問題で、なかなか使えないのが残念ですが・・。これを多くの野次馬的助っ人(?)、いえもっと真面目に勉強しようという人々を集めて人海戦術で造ってしまう「ワークショップで造る土壁の家」をこの間見学してきました。これは建築家の金田さんが左官の勝又さんの多大な協力と指導、施主の理解を得てやっているものですが、もう数棟目だそうで感服しました。都会ですら土壁をやる結のような方法があるのだ!これは又、いつか話題に・・・。

東京、長谷川さん

浜松に移り住んでまだ7年。その前は愛知県岡崎市に住んでいました。東名高速でたった1時間東に来ただけですので、気候的にはさほど変わりが無いと思うのですが、家に入った時の室温がまるで違います。エヤコンのスイッチを入れたのは年に1?2回。あまり使わないので、ドレイン管に虫が巣をつくり、久しぶりに使ったとき、排水が室内にあふれてきました。岡崎の家はグラスウール。浜松の家は土壁がついています。この涼しさの違いは土壁のおかげ!!!

静岡、寺川さん


[2]日差しコントロールに「軒の出」は必須

軒の出

image 日本の気候風土を活かした住まい この図表は夏や冬における太陽高度の違いと建物の庇の関係を表したものです。夏は太陽高度が高くなり、長い庇があれば、太陽の熱が直接室内に入ってこないようになります。冬は太陽高度が低いため、長い庇があっても室内の奥まで太陽光を取り込むことができ、自然エネルギーの利用を高めることにより、より少ないエネルギーで生活することが可能になります。長い庇は、外壁に雨が当たることなどを防ぐこともでき、住まいの耐久性を高めることも実は出来るのですが、住まいのコストを目先のことだけで考えると違った答えを選択してしまうことになってしまいます。

滋賀、岩波さん

軒下空間をつくることで、夏の時期に建物廻りに日陰が落ちるようにし、太陽からの輻射を少なくします。総二階建ての場合は1m35cmほどにすることも。 雨から建物を守るためでもあり、 とっさの雨に洗濯物を軒下に取り込むなどの便利もありす。

愛知、丹羽さん

軒の出を深くする

三重、高橋さん

真夏の太陽からの熱射を室内に入れないよう軒の出をできるだけ深く(90cm?150cm)とります。

愛知、中村さん

軒の出、ケラバの出は3尺を標準としています。

三重、池山さん

真夏の太陽の熱射を部屋に入れないよう、軒を深くします。

静岡、寺川さん

庇の出を大きくとることで、日射を遮る。外壁面に影を落しますからその分、壁に熱を蓄えにくくなります。

埼玉、宮越さん

輻射熱を緩和しているのが縁である。最近の庇の無い洋風住宅は、この輻射熱の41度を直接家の中にいれている。輻射熱の影響を受けないためには、軒の出と縁側で、2Mは欲しい。なんだ、昔の日本の家だ。

熊本、古川さん

名古屋の温熱環境を研究している先生から、1年間を通じての室温の調査を依頼され、エヤコンの噴出し口の前と居間の中央部、廊下の3箇所に温度センサーをぶら下げてあります。そのうち結果が出ると思いますので、データーをもらい次第お知らせしましょう。

静岡、寺川さん

なぜ今の住宅は軒の出が少ない?
image

最近では、特にメーカーや建売住宅の屋根の軒の出が極端に短い。かつ、高気密に設計されていることが多いため、特に夏では日射を遮蔽することが出来ず、室内が高温となり、魔法瓶効果で非常に寝苦しい状況になることが多いのです。洋風のデザインが好まれるということもありますが、とりあえず屋根にかかる費用を少しでも抑えるというのが本音なのではないでしょうか。建物の費用を坪単価で表現するのが一般的になっていますから、屋根の軒の出は短ければ短いほど、住宅供給者の儲けになるのです。住まい造りがお金儲けの手段になり、日本の住まいとして当たり前にされていた工夫が捨てられているのは寂しいことですね。昔ながらの知恵のほかにも、現代ならではの問題に対応する解決方法を見つけることも大切なことだと思います。

滋賀、岩波さん

西陽対策

西陽に対して考慮も忘れないようにしないと夜間への残留熱がきつい。

愛知、中村さん

真夏の太陽の熱射を部屋に入れないよう、西側の窓は低く小さくしています。我が家の場合は玄関が西に向いているので、夏場は玄関の庇に簾を垂らします。梅雨明けが近づくと、玄関の外に簾を垂らし、網戸を設置して、暑さ対策は完了。「さあ夏よ来い!」といった気分です。

静岡、寺川さん

西日と冬の北風を入れないよう、北西側には大きな開口部を作らない。どうしても作る場合は西日を避けるよしずとか、北風を避ける防風壁を作るとか・・

三重、高橋さん

日中、家にいられない人のために

共働きの我が家では外出時ガラス戸を開けておき、外側の電動シャッターを下ろしてスリットを空けておきます。すると留守中でも家に風が通っていて、いつ帰宅しても快適です。

静岡、寺川さん

imageまるで「すのこ」を立てたような雨戸 現代社会では共働きの家庭も多く、日中風通しを確保するために窓を開けておくことも難しい状況ですし、夜であっても網戸のままで鍵をかけずに寝ることも少し物騒です。 そこで、私の自宅では少し工夫をしてみました。既製品のアルミの雨戸枠にヒノキの枠材をはめ込み、ガラリ状に組み立て風通しを確保できるようにしました。また、2階が居間であるプランとし、戸締りにも配慮しながら、夜や外出中でも雨戸を閉めながらも風通しを確保できるようにしてみました。日中の室内への日射の侵入を防いだり、風通しの確保をすることで夜の寝苦しさはかなり防ぐことが出来ます。

滋賀、岩波さん

最近のプレファブのような家は、夏は、留守にして帰るとムッとするが、この家は、ホッとするほど涼しい。夏の日中は、窓(できれば雨戸も)しめて、極力日射を避けることと戸外の熱い空気の流入をさせないほうが、かえって室内が涼しい。

愛知、大江さん

共働きのご夫婦。夏の夕方、仕事から家に帰って玄関を開けたときの、 ひんやりさらっとした室内の空気感、檜と杉のブレンドされた香りがとても気持ちがよく、 その日の緊張感も一気にとれて癒されるとのこと。日中の暑い外気を遮断し、土壁に蓄熱させていないことが、冷熱感に繋がっている。

愛知、丹羽さん

Pocket

1 2 3 4