「コロナで売上が落ちた」とお困りのみなさま、持続化給付金の申請はもうお済みでしょうか?(まだの方はこちら)
給付資格がある事業者が、申請をすると国から支払われる給付金。ありがたいとはいえ、個人で100万円、法人でも200万円が限度なので「事業を回すまでには、おぼつかない…」という方も多いかと思います。そんな悩みに応える「実質無利子・無担保」という有利な条件の融資が、国の政策として実施されています。前回の「コロナ時代を生き抜く」特集でご紹介した、「コロナウィルス感染症特別貸付」がそうです。困っている事業者にとっては有利な融資は、4月末までは、日本政策金融公庫しかこの融資を提供していなかったのですが、5月1日以降、「セーフティネット保証」として民間金融機関(主に地銀・信金)にまで提供元が広がっています。
対象者 | 前年、または前々年との売上比較 |
個人事業主 | 5%以上悪化 |
中小企業 | 5%以上悪化(保証料半額補填) 15%以上悪化(保証料全額補填) |
名称 | 「コロナウィルス感染症特別貸付」 | 「セーフティーネット保証」 |
融資元 | 日本政策金融公庫 | 民間金融機関(主に地銀・信金など) |
担保、保証 | 無担保・無保証 | 無担保、保証協会による保証 (保証料は売上5%減少の場合、半額が 売上15%以上減少の場合、全額が補填) |
限度額 | 6,000万円 | 4,000万円 |
返済期間 | 運転資金なら 15年以内、設備資金なら20年以内 | 10年以内 |
元本返済の据置期間 | 5年以内 | 5年以内 |
利子 | 3年間 実質無利子(共通) |
※ 実質無利子とは、3年間分の利子については国が「特別利子補給制度」で肩代わりしてくれることを指します。
※セーフティーネット保証とは、国が都道府県を補助し、各都道府県で地銀や信用金庫等をサポートする制度融資なので、細かな条件は地域によってちがいます。
*保証料は国からの財源で、県と市とが補填します。個人事業主の場合は全額補填、中小企業の場合、売上5%以上減だと半額、15%以上減だと全額が補填されます。
経済産業省が制作した、民間金融機関による実質無利子・無担保融資の解説ビデオ。(別ウインドウが開きます)
建設業において、注文主(施主)から請負(工務店)へのお金の流れは、それぞれに違いはあるとしてもおおむね「契約時、着工時、上棟時、完成時」など、何回かに分けて支払われるのが一般的です。一方、元請である工務店からは、各職方への支払いや材料費など、出費は毎月発生します。元請けである工務店は、「もらうより前に支払いがある」のが、つらいところ。支払いをきちんきちんとしていくためには、月々の資金繰りができるだけの現金が手元になければなりません。
月々の支払いをしていけるだけの現金がない場合に頼りになるのが、金融機関からの融資です。「500万借金をしてでも、500万の貯金をもっている方が、借金もないが貯金もないよりは健全な経営ができる」と言われるのは、そのためです。とはいえ、借金をすれば、元本のほかに利子をつけて返済をしなければならない恐れから、借入することに躊躇する人もいるでしょう。
今回、国がコロナ対策の政策として実施する「実質無利子・無担保」融資は、借入のリスクを実質ゼロにし、経営の安定化の助けとなるものです。これまで金融機関から借入をしたことがなく、現在、資金繰りが不安定になっている人にとっては、金融機関とつきあいながら経営を立て直すことを考える、良いチャンスとなるかもしれません。
今回は、ふだんから地元の銀行・信金とつきあいがあり、今回の「実質無利子・無担保」の貸付制度を上手に利用している木の家ネットの3人の会員にインタビューしてみました。
Aさん:今年は大きな仕事があり、運転資金をまわしていくための資金繰りが心配だったので、2000万を10年返済で信用金庫から借入れました。
Bさん:うちも大きな現場を抱え、資金繰りが心配だったので、バッファーとして3000万を、実質無利子となる期間に1ヶ月を足した3年1ヶ月返済で地銀から借り入れた。
Cさん:コロナの影響で、無くなったり止まったりした現場があり、今後の資金繰りに不安を感じたので、これまで借り入れていた3000万を、この制度を活用した融資につけかえ、さらに追加で1500万を10年返済で借り足した。
Aさん:10年の返済期間の間、ずっと無利子(おどろき! 都道府県による制度融資のおかげ)
Bさん:年利1.2%だが、3年間は全額、国から支払われる。その期間にほぼ終わらせるために返済期間を3年と1ヶ月とした。1ヶ月長いのは、実際に利子を払う期間が少しでもいいので欲しいと、金融機関から言われたため
Cさん:追加融資分は、10年間ずっと年利1.0%だが、最初の3年間分の利息は、払った分が後払いで還付される。
※このリンク集は2020年7月15日現在のものです。アクセス時期によっては、URLの変更によるリンク切れ等が生じる場合があることをご了承ください。
Aさん:約166,000円 x 120回
Bさん:800,000円 x 36回 + 1,200,000円x1回
Cさん:約137,500円 x 120回
普段だと、銀行からお金を借りるには、事業計画や返済計画など、さまざまな書類を求められ、そのハードルは低くはありません。ところが、今回に関しては、かなり楽だったようです。日本政策金融公庫から借りる場合、必要書類は、前回の特集でとりあげた通りです。
個人 | 法人 | |
1 | 借入申込書 | |
2 | 事業税の納税証明書 | |
3 | 事業主の住民税の納税証明書 | 代表者の住民税の納税証明書 |
4 | 事業主の住民票 | 法人の履歴事項全部証明書 |
5 | 直近2期分の確定申告書の控え | 直近2期分の申告決算書の控え |
6 | 月次試算表、売上減少を説明する資料 | |
7 | 事業主の実印、印鑑証明書 | 法人の実印、印鑑証明書 |
8 | 指定業種に関する許認可証、登録証など | |
9 | 事業の概要を説明する資料 | |
10 | 融資額の使途の説明資料 |
上記のうち、作文が必要となるのは、10 融資額の使途の説明資料ぐらい。あとは担当の役所から出してもらったり、会計担当の人に揃えてもらうぐらいで、そう難しいものではありません。9 事業の概要を説明する資料は、これまでに借入をしたり、補助金を申請していれば、既につくったものがあるでしょう。もし、初めてでしたら、金融機関の担当者と相談して作成しましょう。
申請書類の作成については「信金のサポートもあり、簡単でした」「自分で取りに行ったのは印鑑証明と納税証明書くらい」「記名捺印する書類は10種類くらいあって、住所や電話番号などを繰り返し書くのがつらかったくらい」と、大変ではなかったようです。
この融資制度、3年間の実質無利子とはいえ、金融機関が「利子をとらない」わけではなく、「借り手の代わりに、国が利子を払う」のであり、保証についても国が肩代わりしているので、銀行としては「リスクなく融資できて、利益が上がる」おいしいチャンスなのです。そのため「『今だと無利子無担保で借入できるけど、どう?』と、信金から声をかけてくれた」「弊社担当の銀行の営業がいろいろとサポートしてくれた」「これまで借入をしてきた地銀の支店長と次長が素早く対応してくれた」と、手続きがスムーズに運んだそうです。
これまでも地銀・信金から借入をしたことのある3人。金利がうんと低く、3年間は利子を国が支払ってくれる今回の融資の恩恵は、ことのほか大きいようです。月々の運転資金が安定的にあること、これまでにしてきた借金を、より利率が低いものに借り換えできて、経営が楽になったことが、それぞれの発言からうかがえます。
Aさん:月々の固定費の支払いのための資金繰りを考えなくてよくなったので、楽。設備投資まではできなくても、職方への支払いが確実にできるので安心。実質無利子もだが、いつもかなりの金額をもっていかれる保証料がかからないのもとても助かる。
Bさん:早速、資金繰りに利用する予定が生じて、あってよかった。
Cさん:同じ金融機関からこれまで3000万を金利3.6%で借りていたのを、借り換えできて金利は1.5%。月々の返済の固定費が減った。
制度として、最大4,000万円(民間金融機関の場合)借りられることになっているからといって、誰でも限度額まで借りられるわけではありません。保証がついてはいても、金融機関としては基本的にきちんと返済してもらいたいので、返済の見込みがない額の借入は承認してくれません。およその目安として、平均月商の3ヶ月から6ヶ月分と考えておくと良いでしょう。すでに他からの借入がある場合は減額されますし、これまでに返済実績があったり、事業に将来性があると判断されれば、より多くの額が認められるでしょう。取引実績がなければ金融機関の側も慎重な判断になりがちなので、借入額を決める時は先方とよく相談をし、無理のない金額にすることが大切です。
借入をしたことのない人のなかには「借金は悪いこと。できればしない方がいい」と思っている人もいるかもしれません。しかし、金利が低い時に適切な借入をすることで、資金繰りの心配を減らし、払うべきものをきちんと支払っていけるようになるのであれば、経営の健全化につながります。
今回のようにリスクなしに運転資金の融資を受けることができる機会に金融機関とのつきあいをはじめ、金融機関との信頼関係を築いていくことを、3人とも勧めています。その生の言葉をご紹介して、今回の特集の締めくくりとさせていただきます。
Aさん:コロナ対策としてお金を借りやすい状態を国がせっかくつくってくれているので、経営に不安があるようなら、このよい条件の時に借りられるものは借りた方がいい。お金を借りながら、余裕をもって安定的に経営していくことも、学ぶべきことのひとつです。
Bさん:保証料と利息を国や県が負担してくれる今は、金融機関にとってもチャンスで「どうせ金利ゼロなんだから最高額までいきましょうよ」なんて言ってきます。こんなに簡単に貸してくれることはめったにありません。借りても使い込まず、運転資金としておいておけば、無利子なので健全に返していくことができます。運転資金に不安がある人は、ぜひ利用するのがいいと思います。
Cさん:これまで借入なしでがんばってきた人は、無利子とはいえお金を借りるのは怖いことかもしれない。けれど、貸したい銀行と借りて助かる工務店と、お互いにWinWinになるような助け合いの関係を築いておけば、次のイザという時に安心です。これまで借金をしてきた人は、さらに借金をするのは悪いこと、と思うかもしれない。けれど、以前の借入をより低金利のものに借り換えることで、返済がずいぶんとラクになるのです。大きなお金を動かす工務店経営を続けていくために、銀行とのパートナーシップを築いておくことは必要だし、大事なことです。
以上、地銀・信金との関係の中で、うまく借入をした3人の生の声をお届けしました。「運転資金が途切れそうで、怖い。けれど、借入をするのも、怖い」という方にとって、健全な経営のための借入について知っていただくために、この特集が役にたってくれたらと思います。日本政策金融公庫での借入をするなら近くの商工会議所や商工会へ。民間金融機関から借入するなら、お近くの地銀や信用金庫へ。これからの経営について長い目で相談するために、勇気を出して連絡をとって、出かけてみてはいかがでしょうか。
※5月30日、第2次補正予算案で追加された政策のことを追記しました。
木の家ネット会員のみなさん、個人事業主として働いているみなさん、中小企業にお勤めのみなさん、緊急事態宣言が出された日本で、今、どのように暮らしておられるでしょうか。
今回の特集では、政府の様々な支援策の中から、手続きが比較的簡単で、実用性の高いものを厳選して、その利用方法をまとめました。個人事業主や中小企業が多い木の家づくりの世界では、たとえ今は大丈夫でも、半年後、1年後に受注が激減する可能性があります。そのような事態を一件でも少なくし、共に生き抜くことを目指して、今回の特集を企画しました。
支援策は日々改定されており、4月30日の補正予算成立をうけて、ようやく具体的な手続きが決まるものがたくさんあります。そこで、5月中は特集記事の改定を随時続け、正しい情報をお伝えできる体制で臨みます。支援策の利用をお考えの方は、時々、このページを見直されることをおすすめします。また、情報が古いことに気づかれた方は、ご一報いただけると助かります。
コロナ支援策は多くの省庁が行っています。既存の事業を改良したものから、新たに立ち上げたものまで、大小合わせると総数は100を越えました。経済産業省が支援策をまとめたパンフレットをつくっていますが、全体で60ページ以上あり、どこから読んだらよいか迷うほどです。支援の方法も、給付、融資、猶予、軽減、助成、補償...とたくさんあり、例えば金融機関では、融資のことはわかるが、給付や猶予のことは自分たちの事業ではないので情報が少ないということがあります。
そこで頼りになるのが、地域の商工会議所・商工会です。「事業の総合医」のような存在の彼らは、地域の商工業を健全に経営し、成長させるための施策を横断的にサポートしているため、たくさんあるメニューの中から、その事業者にあったものを勧めてくれます。例えば、商工会からは、Aという融資と、Bという助成を組み合わせることを提案され、融資Aの具体的な条件については地銀と相談するといった具合です。
後述する「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を利用する場合、何千万円という額の融資をうけるには、沢山の書類を用意し、現実的な返済計画を組み立てないといけませんが、この窓口となっている日本政策金融公庫は全国に限られた数しかなく、今となっては予約を取ろうとすると何週間も先になってしまいます。そんな時、地元の商工会にいけば事前に必要な書類を揃えることができ、借入額と返済計画の草案を相談しながらつくることができます。結果、公庫とのやりとりがスムーズに進み、素早く融資を受けることができるのです。経産省のWebサイトでは、専門家が何度でも無料で、様々な経営相談に対応する「よろず支援拠点」として、全国の商工会議所を紹介しています。
上記のこのリンク先で、お近くの商工会議所・商工会を検索できます。
マスメディアでは、住民1人10万円給付や、いわゆる「アベノマスク」が話題にのぼることが多いですが、他にも支援策はたくさんあり、本記事では次の4つを取り上げます。
新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮している世帯を対象とした融資制度です。典型的な状況としては例えば、現場で感染者が出て工事がストップし、フリーで働いていた職人が、他の仕事も見つからず収入が途絶えたという場合でしょうか。特徴は、無利子、無担保、無保証、据置1年以内(借り入れ日から最長1年間は返済なし)、返済2年以内という、破格の好条件。個人事業者の場合は最大20万円を「緊急小口資金」として借りることができます。地域の社会福祉協議会に面談の予約をとり(とても混雑しており、2週間から1ヶ月後になるところが多いようです)、窓口で書類作成をして申し込みます。審査が通れば7〜14日でお金が振り込まれるとのこと。それから一ヶ月後、まだ経済状況が好転していなければ、追加で「総合支援資金」の融資を相談するための予約をとることができます。融資額は2人以上の世帯の場合、月20万円、単身の場合は月15万円を最長3ヶ月連続で借りることが可能です。手続きのオンライン化も検討中だそうですが、開始時期は未定。
クレジットカードや消費者金融のキャッシングサービスの金利は実質年率3.0%~18.0%程度。面倒な手続きなしで、手軽にATMで現金を手に入れられることから利用したくなるかもしれませんが、生活福祉資金貸付制度を使えば、利子を払うことなく借りることができ、しかも借り入れ日から最長1年間は返済なし。コロナウイルスの影響は当分続くでしょうから、その間、返済の心配がないのはとても安心です。返済期間は最長2年なので、月々の返済負担を低く押さえることが可能。さらに返済開始時に住民税非課税程度の収入であれば、返済自体の免除の可能性もあります。緊急小口資金の20万、総合支援資金の20万x3ヶ月で60万、合計80万円の給付を受けられるかもしれません。申請から受け取りまで時間はかかりますが、それを待つことができれば、検討してみてはいかがでしょうか。
「社会福祉協議会」に加え、
「ろうきん」でも申し込みができるようになりました。
(ただし、緊急小口資金のみ。総合支援資金は社会福祉協議会へ)
このリンク先で、お近くの窓口を探して、連絡してみてください。
新型コロナウイルスの影響で売上が大きく減少した個人事業主と中小企業を対象にした給付金です。要件は2020年の1月から12月の間で、1ヶ月の売上が、前年同月の50%以下の月があること。その月の売上を12倍した金額と、昨年の総売上額との差額が給付されます。給付金額には上限があり、個人事業者は最大100万円、法人は最大200万円。下の計算式を参照してください。
給付なので返済の必要はありません。工務店や設計事務所の場合、お客様から支払いを受けるのが、契約、上棟、引渡し時と間隔が空いていて、月々の売上額の増減が比較的大きくなる傾向がありますから、要件を満足するところは多いのではないでしょうか。
申し込み時に必要なものは、次の4つ。
経済産業省が配布しているPDFファイルを元に制作
オンライン手続きが基本なので、印鑑はいりません! ネット受付は、5/1に専用のWebサイトで始まりました。最も早い場合で大型連休開けの8日に支給される見通しだそうです。
気をつけなければならないのは、確定申告書類の控えに、収受日付印が必要なこと。自分で申告をした人で、控えを残していなければ、「開示請求」をして、取り寄せないといけません。その手続をして、書類が届くまでには一ヶ月ほどかかる可能性があります。該当する人はすぐに手続きをはじめましょう。また、Webでの手続きにはメールアドレスでのやり取りも必要なので、携帯メールアドレスしか持っていない人は、パソコンからのメールも受け取れるよう、事前に設定の変更をお忘れなく。
5月10日追記: 受付当初は「10万未満の額は切り捨てて給付」と告知されていましたが、10万円未満の額も給付を希望する声が多く寄せられたため、「10万円未満の額についても支給する」と、8日に経済産業省が発表しました。計算では99万になるのに切り捨てで90万になっていたところも、ちゃんと99万円振り込まれることになったわけです。8日から振り込みは始まっており、差額が発生するところは、後日追加で振り込みされるそうです。追加給付を受けるための再度の申請は不要です。
5月7日の時点で約50万件の申請を受け付けたそうです。4月30日に成立した補正予算では、持続化給付金のために2兆3176億円を確保しており、法人200万円、個人事業主100万円を上限とする給付なので、およそ170万件前後の給付が可能な計算となります。日本には、中小企業と個人事業主はおよそ350万あり、事業登録をしていないフリーランスの人を含めると450万ほどになる可能性があります。給付申請は今年1年間受け付けることになっているので、予算が足りなくなれば2次補正、3次補正予算を成立させるでしょう。ただし、それには時間がかかる可能性があるので、支給額を計算して十分な額に達する人は早めの申請をおすすめします。
経済産業省が制作した、持続化給付金の解説ビデオ。給付条件や給付額など、とてもわかりやすく解説しているので、ぜひ御覧ください。
持続化給付金の申し込みはこちらから。いますぐ始められます!
新型コロナウイルスの影響で、最近1ヶ月の売上高が前年、又は前々年同期に比べ5%以上悪化した個人事業者、15%以上悪化した中小企業を対象とする融資制度です。
無担保、無保証で融資をうけることができ、限度額は6,000万円。運転資金の場合、返済期間15年以内で、そのうちの据置期間は5年以内。設備資金の場合は返済期間20年以内で、そのうちの据置期間は5年以内。
金利は基準利率(2020年4月1日現在:1.36~1.65%)ですが、融資後3年目までは3,000万円を限度として基準利率から0.9%マイナス。さらに、後述する特別利子補給制度と組み合わせると、利子分が国から補給されるので、実質無利子で借りることができます。しかも、公庫から既に借りているお金があれば、それと一本化することもでき、返済負担をうんと軽くすることができる、破格に好条件の制度です。
公庫は、既にこの特別貸付の受付を開始していますが、幅広く支援を行うため、同様の条件で地銀や信金などの民間金融機関が融資できるように準備を進めています。4/30に補正予算が成立したので、これから急速に融資環境が整ってくることでしょう。既存の地銀などからの借り入れは、同じ金融機関で特別貸付制度を利用する場合でしか一本化できないため、既に多額の借り入れがある場合は、その金融機関を利用することをおすすめします。
(2020/5/30 追記) 民間金融機関での融資は既に始まっていますが、日本政策金融公庫等と違い、それぞれの都道府県による制度融資を使って運用されるために、地域によって細かな違いがあります。各都道府県の制度融資案内等のページ一覧をつくりましたので、参考までに御覧ください。
※このリンク集は2020年5月30日現在のものです。アクセス時期によっては、URLの変更によるリンク切れ等が生じる場合があることをご了承ください。
ただし、利子が優遇されるのは最初の3年間だけです。むやみに据置期間と返済期間を長くすると、利子優遇の利点が薄れてしまうことにご注意ください。例えば新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が実用化され、単なる風邪のようになるまでの1年から2年間は据置にし、その間に十分に事業回復の準備をして、短期間のうちに業績を回復、返済を終わらせる計画を建てる、といったことです。このあたりは融資を受ける金融機関とじっくり相談されることをおすすめします。
申し込みは、日本政策金融公庫、
もしくは、これまでお付き合いのある、地域の金融機関まで。
公庫は窓口が混雑しているので、事前に商工会議所・商工会に相談することをおすすめします。
コロナウイルス感染症特別貸付と組み合わせて利用する制度です。ようやく4/30に補正予算が成立したので、これから正式に運用が開始されます。公庫等の融資で発生する利子分を補給することで、実質無利子化を実現します。
個人事業主は適用要件なし、小規模事業者の適用要件は売上高15%減少、中小企業者は売上高の20%減少です。利子補給期間は借入後当初3年間限定。コロナウイルス感染症特別貸付などと同時に申し込むので、必要書類とアクション先は省略します。
5月30日 追記
第2次補正予算案が5月27日に閣議決定されました。政府与党は6月17日までの今国会中の成立を目指しています。まだ詳細が決まっていなかったり、変更になる可能性がありますが、現時点(5月30日)でわかっていることを追記します。
第2次補正予算案の追加歳出は31兆9114億円で、補正予算としては過去最大規模となります。財政投融資や金融機関の融資などを合わせた「事業規模」は117兆1000億円程。4月30日に成立した1次補正予算の事業規模と合わせると、総額でおよそ233兆9000億円となり、日本のGDP(国内総生産)のおよそ4割にもなる世界最大のコロナ対策だとのことです。
主な政策を並べてみます。
このうち、建築関係者にも関係する、1、2、3、4、5、6 について紹介します。
5月1日から受付を開始した「持続化給付金」。前年同月の売上と比べ、半分以下になっている月があれば、受給の資格があるという制度です。この判定基準の関係上、創業1年以内だとそもそも比較する前年同月の売上が存在しないので、検討対象にすらなりません。
そこで、今年1月から3月末までに創業し、創業後のいずれかの月の売上が1月から3月までの平均より50%以上減少していれば、申請できるように制度が変更されます。申請は原則オンラインで、受付は第2次補正予算案成立後、6月中に開始される予定です。
売上が無くなった飲食店が家賃負担に苦しんでいるというニュースがよく流れていますが、そういった状況への対策です。対象となるのは、今年の5月〜12月において以下のいずれかに該当する事業者です。
1. いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
2. 連続する3ヶ月の売上高が前年同期比で30%以上減少
個人事業主は25万円、中小企業は月に50万円を上限に、賃料の3分の2が半年間給付されます。加えて、複数店舗を所有する場合など、家賃の総支払い額が高い事業者を考慮して、上限を超える場合の例外措置が設けられます。その場合、支払家賃(月額)のうち給付上限超過額の1/3が給付され、給付上限額(月額)は個人事業者50万円、法人100万円に引き上げられます。事業内容に飲食の制限はないので、営業所や事務所の家賃負担がある建設業でも、売上減少が認められれば対象となります。
第1次補正予算の時から実施している実質無利子・無担保融資ですが、日本政策金融公庫と民間金融機関共に、より多くの融資枠が確保されます。日本政策金融公庫の場合、融資限度額が6000万から8000万に、民間金融機関の場合、制度融資を通じた利子補給額の上限が3000万から4000万に拡充されます。
また、財務基盤の強化策として、金融機関の審査では資本金としてみなされる「資本性劣後ローン」が導入されます。見かけ上の財務基盤が強化され、金融機関から融資が受けやすくなります。貸付限度の上限は7.2億円で、貸付期間は最長で20年。
持続化補助金(持続化給付金とは別の制度です)と、ものづくり補助金について、感染防止対策の取組に関する定額補助・補助上限50万円の別枠(事業再開枠) が上乗せされます。
・ 事業再開枠(新設)の対象
消毒、マスク、清掃、飛沫防止対策、換気設備、その他衛生管理、掲示・アナウンス
・ 特別枠の申請要件
類型A:サプライチェーンの毀損への対応
類型B:非対面型ビジネスモデルへの転換
類型C:テレワーク環境の整備
4~9月は特例で日額上限が8330円から1万5千円に引き上げられます。休校に伴って仕事を休む保護者向け支援も拡充。本人が申請するフリーランス向け支援金も一律4100円から7500円に引き上げられます。4月1日以降の休業にさかのぼって支給され、対象期間は6月末までから9月末までに延長の予定。
また、手続きも大幅に簡素化され、休業等計画届の提出が不要となり、オンラインによる申請受付も始まります。
企業側で手続きが出来ない・されない場合に、「国が直接、労働者に給付する休業支援金の制度」が新設されます。中小企業で働く人が対象で、給付率は休業前の賃金の8割。雇用調整助成金と同じく、上限額は月額33万円で、給付期間は最長で今年4月から9月末までとなります。
順調に国会での審議が進めば、6月17日までの国会会期中に成立し、間をおかず随時実行されます。欧米諸国に比べると、日本はコロナの直接の被害を低く抑えることができましたが、経済の回復には時間がかかるかもしれません。政府からの支援を得るためには、自分から手を挙げないといけませんが、用意されている政策は比較的手厚いのではと思います。事業者によっては、影響が遅れて顕在化することもあります。できるだけの備えをしておきましょう。
木の家ネット代表の大江忍です。
まずは、コロナウイルス感染症にて、命をかけて医療に従事しておられる方、また、この状況下で、その補助に働いておられる方々に敬意を表し、感謝申し上げます。また、現在コロナウイルスに感染してしまい病魔と闘っておられる方々にお見舞いと、お亡くなりになりました方々、そのご家族にお悔やみを申し上げます。
現在、第二次世界大戦以来といわれるほどの、社会的に困難な状況です。緊急事態宣言の最中であり、まだ、どうやって、いつ収束していくのか、特にこの日本においては、不明な状態であります。我々のような中小企業あるいは個人で建築業を営むものにとっても、少しずつ影響がでてきております。新建材や衛生器具などの納品時期が遅れてきており、工期が長くなりがちです。
今回、政府の補正予算も通り、本日5月1日より、いろいろな支援策が動き出したことにあわせて、木の家ネットでは、特集を組むことにいたしました。まだ、情報としては不十分な点や間違った点などあるかもしれませんが、現在わかることをまとめてみましたので、参考にしていただければと思います。
また、現場では、各業種の交わりを減らし、なるべく職人同士が少人数で離れて作業する環境へと改善し、入場の際の手や靴の裏の消毒や、休憩時の会話もソーシャルディスタンスをとるようにすべきと思います。
今後新しい情報があれば今回の特集に追記していく予定です。
ステイホームということで、今まで家族と過ごす時間がなかったお父さんやお母さんも、家族の在り方を見直すいい機会になっていると思います。
また、社会システムへの影響も大きく、何が当たり前かを問い直すいい機会になっております。恐怖におびえるのではなく、家にいて、内側を見直し、改善できることも多くあるのではないでしょうか。
とりあえず、家の大掃除や日曜大工、断捨離、読書など、家族の絆を深める機会として、この苦境を感染することなく、乗り越えていきましょう。
きっと、新しい世界がアフターコロナには待っていることを信じております。
2020年5月1日 公開
5月10日 追記
5月30日 追記
取材協力:関口哲人(北杜市商工会)、石田恵美(Terroir愛と胃袋)