敷地は瀬戸内海に面した鷲羽山の山裾にあります。倉敷市の気候は温暖で降水量は少なく、気温が氷点下になればニュースになるような地域です。20年前に奥様のご実家を木組みと土壁で設計させていただきました。時間とともに味わいが増していく無垢の木や土壁、それらが醸し出す爽やかな空気、心地よい住み心地をご夫妻ともに気に入ってくださって「実家のような家」を希望されました。20年前には「気候風土適応住宅」というカテゴリーはありませんでしたが、まさに「気候風土適応住宅」です。真壁で不具合が見つかりやすいところや耐久性の高さも安心に繋がっているそうです。敷地のすぐ横に小川があり、子どもたちは釣りを楽しんでいます。一方で過去に浸水を経験した地域であり、自然と共存するため、敷地を元地盤より300㎜嵩上げをしました。川の近くなので湿度が高いのが難点です。そのため、床下の通気が確保できるよう、石場建てにしました。室内は木と土壁が調湿をしてくれるので安心です。260坪と敷地が広いので、最初に完璧を目指すのではなく、みんなで少しずつ庭も家も育てていくのも楽しみです。