東京都国立市に建つ、延べ約29坪の木組み土壁の建物です。
一階は子供達が楽しく音楽を体験できるミュージックスクール。そして二階が音楽家 山下真木子さんの住まいです。彼女は子供のための曲の作曲や、NHKの幼児番組の音楽を担当するなど、子供の感性を育てる音楽活動を熱心進める音楽家です。
“ミュージックドーナツ”とは、楽しく歌い、遊び、音楽を奏でる体験を通して感受性を育てる音楽教室です。そして、そのイメージは子供達が輪になってつながり、みんなで歌って踊って楽しむ、というもの。
ですので、レッスンのための空間は・・・、そう! ドーナツのように丸いホール、真木子さんからのリクエストです。建物の中央に直径4.5メートルの丸い部屋をつくり、その周りにオフィスや楽器庫などを配置しました。
ホールの床には、子供達が安心してのびのびと楽しめるように畳を敷いています。畳は柔らかいのでころんでも大丈夫。素足に心地良く滑りにくいので、飛んだり跳ねたりする空間にはうってつけ。これも彼女の、子供たちへ向けた心遣いからの発想です。
さらに、この建物に必要な性能。それは近隣に対しての防音です。子供達が元気に大きな声で歌ったり演奏する音を外に漏らさないためには、やはりここでも“土壁”を採用することにしました。
土壁には蓄熱や調湿だけでなく、大きな音を遮断する働きが有ります。それをこの音楽ホールにも活かすことにしました。また合わせて、準防火地域に必要な防火性能も備えることができるので一石二鳥です。
二階はリビングダイニングとキッチ、仕事室、寝室、そして水回りをコンパクトにまとめました。
外観は真っ白な左官壁で、その上には三角の屋根が乗っていて、一部は天然スレート(石板)で葺いています。
人通りが多い通りに面するこの建物が、国立市の新しいランドマークになったら素敵だなと思っています。

音楽ホール 直径4.5mの丸い空間。子どもたちが安心して裸足で走りまわれるように畳敷きにしました。山下さんのイメージをカタチにしたカラーパイプの建具が程よく透けていて閉塞感のない愉しい雰囲気をつくります。

音楽ホール 直径4.5mの丸い空間。子どもたちが安心して裸足で走りまわれるように畳敷きにしました。山下さんのイメージをカタチにしたカラーパイプの建具が程よく透けていて閉塞感のない愉しい雰囲気をつくります。

待合室 カラーパイプの引き戸を開けるとホールへ繋がります。また、東面のガラスブロックからは明るくて気持ちの良い光が差し込みます。

待合室 カラーパイプの引き戸を開けるとホールへ繋がります。また、東面のガラスブロックからは明るくて気持ちの良い光が差し込みます。

イベントのときには控室として利用します。

イベントのときには控室として利用します。

敷地の東側にある一橋大学の木々を借景に、大きく窓を開きました。

敷地の東側にある一橋大学の木々を借景に、大きく窓を開きました。

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