東京の土壁の家
東京都練馬区
暮らし・景観・つながり 始まりとしての建築
東京都内にあって、未だ都市農業が盛んな地域の景観に溶け込むように、1階は土壁下地焼杉羽目板張り、2階は土壁下地土佐漆喰塗りの真壁、屋根はいぶし銀和瓦葺きとし、シンプルで品のある外観でまとめた。建物の周囲を黒ベンガラ塗りの大和塀で囲い、道路側駐車場は芝緑化ブロックを敷き詰め、落葉高木植栽などの外構工事が、建物周辺の微気候調整向上に効果を上げている。生活の質の満足度と環境負荷低減の実現に向けて、使用する素材は安全で生産エネルギーの少ない地域の自然素材とし、長期的な維持管理を考えて、この国の普遍的な職人技術で建設した。環境と共生するこの住宅が100年という単位で地域に残っていくかどうかは、住み手家族の建物への愛情の深さによって決まる。建て主直営という施工体制と、焼杉製作や塗装工事となどの経験が、今後の住み継ぎの力になっていくことを祈りたい。

広間南側の木製全開建具(外側から雨戸+網戸+ガラス戸+障子の多層構成)

矩形図
ポイント
POINT
1
地域の材を使い、手仕事で建てる
POINT
2
POINT
3
建物の概要
東京都練馬区
6地域
2019年月1月
2階建て
100.66㎡
【柱・梁】埼玉県産西川材 桧・杉 【壁】埼玉県産荒木田土
【種類】べた基礎 【柱脚】土台仕様
【屋根】三洲いぶし瓦葺き・トントン下葺き(コロシート) 【壁】漆喰仕上・焼杉目板張り 【主な窓】地場製作木製建具
【床】サワラ板張り・藁畳敷き 【壁】漆喰仕上 【天井】サワラ野地板現し
【床】フォレストボード50mm 【壁】フォレストボード40mm 【天井】ウッドファイバー90mm
1.24W/㎡K
0.92
1項一号ハ(1)(ⅰ)及び(2)(ⅰ)(ⅱ)
テーマと要素
1
様式・形態・空間構成
天井を高く設定し、引き戸形式の内部建具で空間を仕切り、多目的な使用に対応できる様にした。内外の境界部は、庭との一体感、採光・通風効果に有利な大きな窓を設けた。
2
構工法
大きな断面の材を部材を現して使い、外壁を竹小舞土壁とした。屋根は和瓦葺き、外壁は2階漆喰塗り1階焼杉羽目板張り、室内床は厚板張りと藁床畳敷とした。窓には明かり障子を設けた。
3
材料・生産体制
材木は江戸時代からの地域材である埼玉県西川材を使い地域の大工が中心となって建てた。将来の維持管理の為に建て主と各職方んが直接契約を結ぶ建て主直営方式で工事を進めた。
4
景観形成
東京都23区内にあって未だ都市農業を支える畑や緑地が広がる地域にあって、100年経っても美しい佇まいとなるような材料で仕上げ、シンプルに家形にまとめた。
5
住まい方
家族4人で暮らすための住まいを、個室で引き戸で暮らし方を変えられるようにまとめた。道路側緑化舗装や窓外の庭の植栽の手入れなど季節に応じた生活を楽しんでいる。
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